聞いてください!ようやく膝のACL、PCL、MCL、LCLを完璧に覚えました!
グッド! でもその前に質問や。
自分、ホンマに国試通ってるん?
もくじ
側副靱帯断裂(medial collateral ligament tear)とは
側副靱帯断裂の概要
まぁええか。今日は膝の側副靭帯についてレクチャーしてくで。
もうちょっと詳しく言うと側副靱帯断裂やな。損傷に置き換えてもらってもええで。
側副靱帯断裂はスポーツ外傷が多いねん。サッカーとか、バスケとか、バレーとか、膝をよく使って、かつ捻る動作があるスポーツに多いな。せかやら若い子らに多いで。
そもそも膝の靱帯にはメインの靱帯が4本あって、次の通りや。
- 前十字靱帯(ACL)・・・大腿骨と脛骨の前後(特に前)方向の制御、捻った時(回旋時)の制御
- 後十字靱帯(PCL)・・・大腿骨と脛骨の前後(特に後)方向の制御、捻った時の制御
- 内側側副靱帯(MCL)・・・回旋(特に内側)方向の制御
- 外側側副靱帯(LCL)・・・回旋(特に外側)方向の制御
これらがあるために膝が変な方向に曲がらへんようになってんねん。
MCLとLCLは内外側からの外力がかかった時に損傷する靱帯で、コンタクトスポーツに多いのはACL/PCL損傷と一緒や。外側から内側に外力がかかるとMCLが損傷するし、逆に内側から外側に外力がかかるとLCLが損傷するで。
ほんで、4本の靭帯の中でMCLが一番損傷頻度が高いねん。逆にLCL損傷の頻度は最も低いで。
また側副靱帯単独での損傷は少なくて、他の靱帯や半月板も損傷する事が多いのも特徴や。MCLとACL、MM(内側半月板)損傷の組み合わせを O'Donoghue's unhappy triad と呼ぶ事もあって、整形では比較的有名やな。
ACL/PCL損傷(断裂)についてはこっちを参考にしてみてくれや。
内側側副靭帯損傷のGrade分類
断裂の程度は以下のように3つに分かれとる。ただ画像上、Grade2と3の判断が難しい場合も多いんや。
- Grade1:軽度の部分断裂で不安定性を伴わない
- Grade2:部分断裂で不安定性を伴う
- Grade3:完全断裂で著明な不安定性を伴う
膝(側副靱帯)の解剖
次に側副靱帯を含む、メインの靱帯4本の解剖や。下の画像は右足になるで。左の場合は左右が逆になるから注意や。
略語については次の通りや。まぁ基本やからサラッとにしとくで。
- LCL(外側側副靱帯):Fibular collateral ligament
- MCL(内側側副靱帯):Medial collateral ligament
- ACL(前十字靱帯):Anterior cruciate ligamet
- PCL(後縦靱帯):Posterior cruciate ligament

内側側副靱帯断裂の原因と臨床症状
原因
MCLは膝を捻った時に起きるんや。スポーツや部活動など運動している時にやってまう事が多いな。大人になって運動不足解消のために運動して捻るってのもよくあるパターンや。
他には交通外傷や慢性的なストレス負荷でも損傷する事があるで。それゆえに学生から社会人まで幅広い年代の人がなるな。
ちなみにMCL断裂の半数以上は大腿骨側で起きると言われてて、合併症状として次のようなものがあんねん。骨折(挫傷)を認めるのも半数近くあって、これも大腿骨側に多いわ。
- 半月板損傷
- 半月板関節包分離
- 十字靱帯損傷
- 骨挫傷や骨折
後はマメ知識としてMCLは関節外にあるから、MCL単独断裂やと関節液貯留はあらへん。逆に関節液がある場合は他の損傷も疑うべきやな。
臨床症状
臨床症状としては、疼痛、腫脹、可動域の低下、歩行困難なんかがあるで。初期には膝の違和感がメインで、関節内で異音(パチパチなど)が聞こえる事もあるらしいで。
またLCL損傷の特徴としては違和感、膝が抜けるような感じと言う人もおるな。
治療法
MCL損傷のgrade1に該当する場合は、ほとんど保存的療法や。Grade3でACL損傷を合併してる場合は再建術の適応になるで。
画像所見
側副靱帯断裂の画像所見
次に画像所見についてや。靱帯のMRIでの見え方ははACL断裂の時にやった通り下記のような所見になるで。
浮腫性変化を見るのには脂肪抑制画像を撮影してみると一発やで。ちなみに単純写真やCT画像では靱帯損傷は分かりづらいわ。っていうか(ワシは)分からん。
- 急性期画像所見
- 靱帯の辺縁不整
- T2強調像での靱帯内の高信号
- 靱帯の不連続
- 靱帯周囲の浮腫性変化
- 陳旧性画像所見
- 靱帯の欠損
- 狭細化やたるみ
- 線維性瘢痕
- 断裂した靱帯が周囲と癒着する事がある
実際の症例
次に実際の画像や。
次の症例は10代のスポーツ少年の例や。試合中に右膝を捻ったって事で検査になった例や。MCLが大腿骨側で腫大しているのが分かるやろ。損傷部位の脂肪抑制の横断像やと浮腫を伴っているのが分かると思うで。


こっちは別症例で完全断裂や。Grade3相当になるな。

こう見ると冠状断が有効なのがよく分かるやろ。必要に応じて横断像も追加してもらえるとええな。
MCL断裂の合併損傷
MCL断裂の合併損傷として、半月板損傷や十字靱帯損傷、骨挫傷や骨折も半数程度で合併するのは上は話した通りやけど、受傷エピソードと照らし合わせると、下記の部位が特徴的な所見になる事もあるんや。
大腿骨外顆に外側からの力が加わる事で同部位に骨挫傷、反対側のMCLに損傷を来すのが①、外側の上下方向の外力によって大腿骨外顆と脛骨外顆軟骨下骨が衝突し、膝が捻られる事でMCL損傷を来すのが②、③は下方に引っ張られる事で大腿骨内顆部分の剥離骨折が生じた状態や。
これらも副次的所見やから覚えておくとええで。画像所見から原因を推察する事も出来るかもしれんしな。

鑑別診断のポイント
滑液包炎や半月板嚢胞など
鑑別診断や。MCLの滑液包炎や半月板嚢胞、リウマチなんかによる靱帯浮腫があるんやけど、これらは病歴やエピソードなどから鑑別可能な事が多いで。
まぁエピソードと画像所見を照らし合わせれば、そんなに迷う事もあらへんと思うわ。
まとめ
今日はMCL断裂についてレクチャーしたで。ポイントは3つや。
内外からの外力(特に外/回旋)によりMCL、LCLが損傷する
膝の靱帯損傷の中でMCL損傷が最も高頻度に発生し、かつ大腿骨側で起きる事が多い
MCL損傷や断裂には特徴的な副次的所見もあるので覚えておく
今日もまた1つ知識が増えたやろ。でも知恵と知識は違うからな。知識が使えるようになって知恵になんねんで。この積み重ねが読影力アップに繋がんねん。知ってるだけの頭でっかちはアカンって事や。
僕も明日からの膝の検査は4本の靭帯に注目します。
っていうかそれしか見ません!
何がどうなったらそういう結論になんねん。
まぁええわ。精進しいやー!