シンスプリント(medial tibial stress syndrome)

なんか4月になるとスポーツ外傷が多くならへん?気のせいかな?

実際、多いですよ。部活動が始まるのがあるんでしょうね。

なるほど、確かにそうやな。4月で新入生として入部して怪我してまうパターンやな。学生なんて、もう何十年も前の事やから忘れとったわ。
しかし、ええな。若いってええな。おっちゃん、羨ましいで。

シンスプリント(medial tibial stress syndrome)とは

さてと、いつまでも過去を懐かしがってても仕方があらへんからレクチャー始めるで。

今日はみんなを困らせる脛の痛み、シンスプリントや。やっぱり部活動などのスポーツには怪我がつきものや。特に十分な準備運動無しに急激に体を動かしたりすると、どこかしら不具合が出てくるっちゅーのは世の中の常や。

そんな中で下腿が痛くなる事もあると思う。特に走ったりジャンプしたりして自分の体重負荷が大きくかかる場所でもあるからな。下腿痛にはいくつか原因があって、筋肉痛や筋挫傷、肉離れ、打撲、骨挫傷、膝痛など、挙げたらキリがあらへん。その中でもシンスプリントは比較的よく遭遇する病態やで。

シンスプリントの概要

まずシンスプリントってのは、そもそもどういう状態の事を言うかからや。

シンスプリントは、脛骨周囲の骨膜に炎症が起きた状態の事を指すで。脛骨過労性骨膜炎とも呼んだりすんねん。「使いすぎ症候群(オーバーユース)」って言った方がピンとくるかもしれんな。

走ったり、飛んだり、急激に止まったりするような運動を繰り返していると発症すると言われてんねん。サッカーやバスケットボールなんかのスポーツに多いな。後脛骨筋、長趾屈筋、ヒラメ筋なんかが関係してると言われてるで。

下腿の解剖

原因には内的要因と外的要因の2つがあって、内的要因は激しい運動や扁平足、筋力不足なんかで、外的要因は硬いグラウンドでのスポーツなんかや。

普通は土踏まずでジャンプなんかの衝撃を吸収してんねんけど、上記のような原因で土踏まずが低くなると衝撃を吸収しきれんくなって脛骨に炎症が起きてしまうんや。他には後脛骨筋、長趾屈筋、ヒラメ筋なんかを繰り返し酷使する事で、筋肉自体が硬くなって骨膜を引っ張る事で骨膜炎が起きんねん。

原因がこんな感じやからな、必然的にスポーツをしている若い人に多いで。

臨床症状

シンスプリントの症状は、脛の内側の下1/3に痛みが発生するのが特徴や。疲労骨折のようにピンポイントの痛みやなくて、脛骨に沿った形で痛みが出るっちゅー話しや。これが両者を鑑別するヒントになったりする事もあるで。

シンスプリント

重症度分類にはWalsh分類があって、それは下記の通りや。

  • Stage1:運動時のみ痛みがある
  • Stage2:運動前後に痛むがスポーツは可能
  • Stage3:運動中を含め痛みがありスポーツに支障をきたす
  • Stage4:痛みのためスポーツ不可

この中でStage3以上になると、運動を休止する必要が出てくるらしいな。

治療法

治療法は基本的に安静保存やな。症状が出たら、まずはアイシングなんかで炎症を抑えるのが先決や。ケースによっては投薬や湿布なんかも使われるで。

また、それと並行してシンスプリントの原因となるもの改善も行っていくねん。この原因が解決されんと、いつまでたってもイタチごっこになってまうからな。

シンスプリントが難治化すると、年単位レベルで痛みが出現する事もあるらしいから、早めの治療が重要やで。

他にはマッサージやストレッチなどのリハビリも有効らしいな。

画像所見

シンスプリントの画像所見

さて、次にシンスプリントの画像所見について見ていこか。これは脂肪抑制画像で見るのが一番や。シンスプリントがあれば、その疼痛部位付近の骨膜が高信号で描出されるで。まぁこれは言葉で説明するよりも、実際の画像を見てもらった方が早いやろ。

ちなみに単純写真やCT検査ではなかなか分からへんで。

実際の症例

10代のスポーツをやっている学生さんや。左の下肢痛の精査でMRIを実施したんや。左脛骨骨幹前方に脂肪抑制画像で高信号を認めるで。

シンスプリント MRI画像
左からT2-FS、T2WI、T1WI

別の症例や。こっちも10代のスポーツをしている学生さんや。両脛骨の遠位側に脂肪抑制画像で骨膜に沿って高信号を認め、シンスプリントの診断になった例や。シンスプリントは片側だけやなく、両側でも起きんねんで。

左からT2-FS、T2WI、T1WI

個人的な見解やけど、このシンスプリントは少し安静にすれば痛みが引く事が多い事から、すぐに運動を再開してしまうパターンが多いように感じんねん。そのため慢性化してしまっている人も中には多いんちゃうかなと思うわ。

鑑別診断のポイント

疲労骨折との鑑別

次に鑑別診断についてや。これは何度か出てきている通り、疲労骨折との鑑別が必要になってくるで。MRI検査をすれば、これらの鑑別は比較的容易に出来るわ。

次の症例は、10代の学生さんの症例やけど、両側シンスプリント+右疲労骨折の症例や。両側の脛骨内側付近の高信号を認めシンスプリントの所見と、脛骨中央部に疲労骨折を認めるで。痛みをかなり我慢してスポーツしてたんやと思われるで。

疲労骨折とシンスプリントのMRI症例
全てT2-FS画像

他に関連する疾患としては、シンスプリントを我慢してスポーツをしてしまう事で、腸脛靱帯炎なんかを併発する事もあんねん。ここまでになってまうと、回復までにかなりの時間が必要になるで。

他にはアキレス腱炎なんかも下肢痛の原因になるから鑑別が必要になる事があるで。ただこれもMRI検査をすればほとんどが診断可能や。

まとめ

今日のまとめや。今日はシンスプリントについてレクチャーしたで。ポイントは2つや。

オーバーユースと言われる状態で、脛骨の骨膜炎が原因

MRI上では脛骨骨膜に脂肪抑制画像で高信号を認める

こんな感じや。スポーツによる骨膜炎が原因やから若い人に多いで。疲労骨折との鑑別が問題になる事があるんやけど、それはMRI検査をすればおおよそ判別可能や。レントゲンだけで終わらせへん事が重要やな。

僕も学生の頃にシンスプリントになった事があるんですよ。今思い返してみると、結構ハードな練習してましたね。

何事も限度っちゅーもんがあんねんで。

その限度を超えてしまうと、何かしらの症状が出てくんねん。症状は体からのサインなんやで。そのサインを無視してまうと、後々大きな怪我になってしまう事もありえんねん。痛かったら休む、無理をしない。これが長くスポーツをしていく上での秘訣や。

ってな訳で、今日のレクチャーもこれくらいにしとこかな。

ほな、精進しいやー!