なぁ、自分の市場価値ってどれくらいやと思う?
市場価値ですか?そんなの考えた事すらありませんね!エッヘン!
なんでドヤってんねん。転職する時に必ず必要になる事やで。この病院がずっと存続するとも限らんし、今やAIさんの進歩が凄まじいからな。その内、ホンマに仕事が無くなるんやないかと思うで。
例えばMRI検査で、病名に応じて必要なシーケンスや造影まで撮影してくれるAI搭載機器が出てきたら技師はんいらんやん。
検査終了と同時に読影までしてくれらたら言う事無いやん。ワシらもいらんくなるやん。でもこれってありえる未来やと思うねん。
つまり言いたい事は、現状から変わらへん事が逆にリスクになる時代が来るかもしれへんって事なんや。個人的には色んな事に興味を持ってチャレンジしてみるのが1番の解決策やと思うてる。それが経験になって自分の引き出しを広げんねん。オンリーワンやな。
今はまだ分からんかもしれけど、今日の内容を頭の片隅にでも置いておいてもらえるとええわ。
さて、ちょっと前置きが長くなってしもたけど、今日のレクチャーに移ろか。
もくじ
髄芽腫(medulloblastoma)とは
髄芽腫の概要
今日は髄芽腫、medulloblastomaや。髄膜腫と名前は似てるけども全然違う疾患やで。さぁ、自分の市場価値を上げる為にも今知っている知識を延べてみぃや。
髄膜腫とは違くて小児に多いです!
相変わらず薄いで。・・・薄っすいで!
髄芽腫というのは小脳や脳幹背側に発生する胎児性神経上皮性腫瘍なんや。小児に多いのはその通りやけど、3歳前後と6~11歳での発症の2つのピークがあんねん。かつ男児に多いんやで。小児の悪性脳腫瘍で最も頻度が高くて、小児後頭蓋窩腫瘍の40%程度というデータもあるわ。
比較的稀な病気で、主な臨床症状は、頭痛、嘔吐、悪心、ふらつきなどや。グレード4に分類されとる。発生場所は小脳虫部が8割、小脳半休が2割くらいや。大きくなると第4脳室を圧迫して水頭症を来す事もあるで。播種転移しているかどうかが予後に大きく関わってくるわ。ポイントは播種する前に全摘する事やな。
ほんで実はグレード4って言っても予後が良いものと悪いものがあるのが最近分かってきたんや。病理組織診断による分類で4つ、遺伝子診断で4つに分けられてるで。ここまでを纏めると以下の通りや。
グレード | 特徴 | 臨床症状 | |
---|---|---|---|
髄芽腫 | 4 | 小児(6~11歳)で男児に多い 小脳虫部に8割、小脳半球が2割 転移や播種の有無が重要 | 頭痛や嘔吐、ふらつき など |
病理組織学的な分類 | クラシック型髄芽腫 classic medulloblastoma:CMB |
線維形成結節性膵芽腫 desmoplastic/nodular medulloblastoma:DNMB | |
高度結節性髄芽腫 medulloblastoma with extensive nodularity:MBEN | |
大細胞性、退形成性髄芽腫 anaplastic/large cell medulloblastoma |
遺伝子診断による分類 | WNT(wingless) 予後はかなり良い |
SHH(sonic hedgehog) TP53遺伝子変異型、TP53遺伝子変異なし型 予後中間 | |
WNTやSHH以外 group3 予後不良 | |
WNTやSHH以外 group4 予後中間 |
他には治療リスク分類があって、3歳以上、術後残存病変が1.5cm²以内、転移がないの3つを満たすと標準リスク群、これらの3つのうちどれか満たさないものがあると高リスク群と診断されるで。この治療リスクを参考に治療法を選択すんねん。
治療法は手術、化学療法、放射線治療やで。以前と比較して生命予後が伸びてきてるって話しや。
画像所見
髄芽腫の画像所見
次に画像所見についてや。境界明瞭で軽度分葉状の腫瘤として描出されるで。
T1強調では軽度低~等信号、T2強調では不均一で充実部が低信号、拡散強調では高信号、ADCは拡散低下、造影効果は様々なパターンを呈すわ。
中々これと言った特異的な所見は無いかもしれんな。他のヒントになるような所見は浮腫を伴ってたり、半数近くで嚢胞を伴っていたりやな。そうそう、CTで高吸収域になったり2割程度で石灰化を認める事もあるで。
まとめるとこんな感じや。
DWI | T2WI | T1WI | CE | 他 | |
---|---|---|---|---|---|
髄芽腫 | 高信号 ADCは拡散低下 | 高信号 (複雑な信号パターンが混在) | 軽度低~等信号 | 複雑な造影パターン | 境界明瞭で軽度分葉状の腫瘤 脳浮腫や嚢胞を伴う事あり CTでは高吸収域で石灰化も2割程度で認める |
組織型でも若干違う事があんねん。
medulloblastoma with extensive nodularity:MBENやと造影した時に比較的均一でブドウの房状の増強効果を認める事があるで。
desmoplastic/nodular medulloblastoma:DNMBは10代の小脳半球に多く、造影で髄膜の肥厚に増強効果を認める事があるわ。
髄芽腫の臨床画像
今回は該当症例が見つからへんかったからRadiopediaから参照してるで。小脳に高信号で、造影効果があらへん腫瘍を認めるな。
別症例や。
鑑別診断のポイント
上衣腫 毛様細胞性星細胞腫
第4脳室付近に出来る腫瘍としては、上衣腫や毛様細胞性星細胞腫などや。
上衣腫は石灰化が特徴でLuschka孔に向かって進展していくで。上衣腫は別で解説しているから、興味があったらそっちも覗いてみてや。
毛様細胞性星細胞腫はCTで低吸収になって充実成分の拡散強調は高信号になるで。他には否定形奇形腫様/ラブドイド腫瘍(AT/RT)があるけども、後発年齢が3歳以下の点から鑑別できる事があるで。画像所見だけやなく、後発部位も覚えておくとええかもな。
まとめ
さて今日のまとめや。ポイントは3つや。
好発部位は第4脳室付近で、小脳虫部が8割、小脳半球が2割
境界明瞭で軽度分葉状の腫瘤、T1強調では軽度低~等信号、T2強調では不均一で充実部が低信号、拡散強調では高信号、ADCは拡散低下、造影効果は様々なパターン
浮腫や嚢胞を伴う事があるのと、CTではHDAで石灰化も2割程度認める
他にも組織学的分類でも特徴的な所見があったで。覚えとるか?忘れとったら該当項目に戻って復習や。
今回も中々にボリュームがあったと思うけど、技師はんでも読影が出来る技師はんなら市場価値が高くなると思うで。現時点で、放射線科医は全国的に不足してんねんからな。
給料が決まる要因の1つに需要と供給のバランスや。供給が足りてへんと自ずと高額になるのは世の中の常やで。
ほな、精進しいやー!