髄膜腫(meningioma)

宇宙人っていると思う?

いきなりすぎる。

ワシな、宇宙に行って火星人と話すのが夢なんよ。
「自分、何歳なん?どこ中?」
って聞いてみたいわー。

髄膜腫(meningioma)とは

髄膜腫の概要

さて、今日は髄膜腫についてレクチャーしてくで。

これはかなりメジャーな症例やから自分でも知ってる事多いやろ?

髄膜腫はその名の通り髄膜細胞からなる腫瘍や。髄膜(硬膜、くも膜、軟膜)の分布に従って色々な箇所に発生して、中年以降の高齢者、特に女性に多いんや。

発生頻度はそこそこ高くて、全人口に対して1%という数字もある。

計算すると・・・120万人か。大きすぎてイマイチ、ピンとこーへんな。100人に1人と言えばある程度イメージしやすいかな。

無症状の場合、検診とかで見つかる事も多いで。

好発部位はある程度決まってて、傍矢状洞部、円蓋部、大脳鎌が多いねん。頭蓋底部やと、嗅窩部、鞍結節部、蝶形骨縁、斜台部、テント、中頭蓋窩、小脳橋角部なんかやな。

髄膜種の原因

発生原因は不明で、遺伝子異常が関係しているという話しもある。

髄膜種の臨床症状

ほとんどがゆっくり成長してある程度の大きさになってから臨床症状が出てくんねん。

主な症状は頭痛やふらつき、痙攣なんかがメインや。

腫瘍ができる場所によっては視力障害や聴力障害なんかも出てくるんやけど、腫瘍が大きくならんと症状として出てこんから基本的に無症状の時に発見される事が多いで。

髄膜種の治療法

腫瘍が小さいうちは基本的に経過観察で、大きくなってきて症状が出てくるようになったら手術による摘出やったり、放射線治療を実施したりするで。

良性が多いから手術で全摘出来ればそれで終いや。ただ出来た部位によっては手術で取り除くのが難しいケースもあるから、その時は放射線治療を選択する事もあるな。

髄膜種のグレード分類

髄膜腫って良性のイメージが強いと思うねんけど、実は悪性もあんねんで。

実は15の亜型に分類されてグレード分類もされてるんや。

グレードは1~3まであって大多数がグレード1の良性なんやけど、グレード2が5%前後、グレード3が2%前後の発生割合やで。

技師はんはここまで覚える必要は無いと思うねんけど、知っておいてもええかもな。

grade種類
1meningothelial、secretory、fibrous、lymphoplasmcte-rich、transitional、metaplastic、psammomatous、angiomatous、microcystic
2chordoid、clear cell、atypical
3papillary、rhabdoid、anaplastic

髄膜種の概要まとめ

特徴臨床症状
髄芽腫髄膜細胞から発生
高齢で女性に多いが、グレード1が大多数
頭痛 ふらつき 痙攣 視覚・聴覚障害など
腫瘍が小さい時は無症状で、検診で発見される事が多い

画像所見

髄膜腫の画像所見

次に画像所見についてやな。これは普段から見る機会が多いから分かるやろ。

境界明瞭の腫瘤でT1強調では等信号、T2強調でやや高信号で造影効果もあるで。

他の所見として、髄膜腫に多く認められるdural tail signがあるわ。

これは髄膜腫に特異的ってわけやないんやけども、とても参考になる所見や。

具体的には腫瘍の両端の硬膜が肥厚して造影効果を認めて、離れるに従って薄くなり尾がついたように見える所見や。meningeal signって言われる事もあるで。

他には特殊な髄膜腫で、境界不明瞭で浸潤傾向があって、壊死などで内部不均一、周囲の浮腫、T2強調や拡散強調で高信号を示す髄膜腫もあるで。ただ、これらもdural tail signを認める事が多いと言われとる。

DWIT2WIT1WICE
髄膜腫(典型例)等信号やや高信号等信号均一に造影境界明瞭で辺縁平滑で球状
dural tail sign
髄膜腫(特殊例)高信号高信号低~等信号均一に造影境界不明瞭で浸潤傾向
壊死などで内部が不均一
dural tail sign

実際の症例

実際の症例や。よく造影される腫瘤があるのが分かると思う。

頭部MRI-髄膜腫
左上段からT2WI、T2WI、FLAIR、左下段からDWI、ADC、CE

これらはDural tail signの症例や。腫瘍の両脇に肥厚した硬膜があって造影されてるのが分かると思うで。

頭部MRI-dural-tail-sign

こっちは造影してへんけど、Dural tail signが分かるな。

頭部MRI-dural-tail-sign2

80代男性で小脳の髄膜腫でフォロー中の症例や。

左上段からDWI、T2WI、T2WI、T1WI、左下段からFLAIR、CE(横断像)、CE(矢状断)

鑑別診断のポイント

転移性腫瘍など

最後に鑑別診断のポイントや。主な鑑別は転移性腫瘍や神経鞘腫、孤立性線維性腫瘍、肉芽腫性疾患などがあるで。

転移性腫瘍やと浮腫を伴っている点、神経鞘腫やとT2強調でより高信号やな。肉芽腫性疾患は多発していたり硬膜の肥厚なんかがあったりするから、よくチェックしてみる事や。

髄膜腫が小脳橋角部にできると聴神経腫瘍との鑑別が必要になる事があるで。

他にはこのあたりもチェックしておくとええで。

まとめ

今日のまとめや。今日は髄膜腫についてレクチャーしたで。ポイントは3つや。

基本的に境界明瞭で辺縁も平滑や球状で内部は均一に造影される

dural tail signの有無が診断の参考所見になる

小さいうちは無症状で、検診で偶発的に発見される事も多い

結構メジャーな疾患やけど、実は15分類されてたなんて脳外科医以外では知らなかった人は多いんちゃうんかな?

画像診断的には、dural tail signは覚えときや。よく見る所見なのと、髄膜腫にとっては基本的な画像所見やで。これを知ってると知ってへんのでは、大きな差があるからな。

まぁ基本的に髄膜腫はそんなに診断に迷う事もあらへんかと思うわ。

さて、ワシは未来に向けて火星語を覚えなアカンから、この辺で終わりにするわ。

ほな、精進しいやー!

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