Morton病(Morton's neuroma)

なに悩んでるフリをしとんねん。

ふりじゃないですよ。後輩にどうすれば画像が読めるようになのるかって聞かれたんですけど、よく分からなくって。

そんなん、ひたすら症例を経験していくしかないやろ。今自分がやってる事をそのまま後輩にやってやったらええねん。人に教えるって事は自分が理解してへんと出来へん事やからな。スパルタで鍛えてやれや!

ええか?人間って堕胎やねん。基本的にサボりたいねん。せやから何かを学ぶ時は環境が大切や。やらざるを得ない仕組みを作ってしまうんや。

人間は追い込まれへんと本気を出さんのや。国試を思い出してみぃ。アレがいい例や。ミスると1年間待たなアカンからな。その辺りを考えて育成したってや!常に危機感やで!!

さて!なんかテンション上がってきたわ!今日もレクチャー始めるで!ほな、行くで!!

Morton病(Morton’s neuroma)とは

Morton病の概要

今日はMorton病についてや!

ちなみにMorton病って知ってるか?整形をやってへん人達からすると、余り聞き慣れない病名かもしれん。Morton病は、1876年にMortonが報告したのが最初やねん。中年女性に多いんやけど、Morton病の原因がつま先立ちをする事が長時間続く事で起きる神経障害やねん。

つま先立ちのような状態が長く続くと、深横中足靱帯と足底で神経が慢性的に圧迫されて痛みになんねん。前足部の鋭い痛みや圧痛で中には痛みで歩行が難しくなる場合もあるらしいで。ちなみに圧迫部の近くに仮性神経腫が出来る場合もあるらしいな。

最近はあまり見なくなったけど、ハイヒールを履いた状態やと常につま先立ちのような状態になるから、それが女性に多い原因かもしれん。通常は片側だけの発症が多いんやけど、20%程度で両側に発生するケースもあるで。

概要については次の通りや。

概要
Morton中足骨での神経圧迫や神経周囲の線維性肥厚による神経障害
中年女性に多く外反母趾やハイヒールや立ち仕事によるつま先立ち、圧迫などが原因になる事が多い
第3趾と4趾間が1番多く発生する
Mulderテストと言われる足趾の付け根を左右から圧迫する方法で疼痛があればより強く疑われる
該当部位にティネルサイン(Tinel’s sign軽くたたき痛みが支配神経まで響くがどうか)があっても強く疑われる
morton病

足趾の解剖

次に足趾の解剖についてや。骨については基本やから深くはやらへんで。

今回はMorton病やから骨と神経を載せておくわ。まず内側足底神経と外側足底神経が足先の感覚神経やねん。ほんで上で出てきた深横中足靱帯は中足骨の遠位付近に中足骨を繋ぐように走ってるで。この足底神経が深横中足靱帯や神経腫、肥厚なんかで圧迫されて症状が出てくんねん。

もし神経なんかが初耳やったら、これを機に知っておくようにな。

足趾の解剖

モートン病の原因と臨床症状

原因

モートン病の原因は上で話した通り、つま先立ちなんかの体勢が長期間続く事や。これによって炎症や神経腫が出来て神経を圧迫すんねん。予防は出来るだけそういった姿勢を取らないようにする事や。ただ分かっていても仕事上、そうもいかへん場合もあるかもしれんな。

その他は、ランニング運動、外反母趾、関節リウマチ、扁平足なんかが原因になる事もあるで。いずれも該当部位に慢性的に負担がかかるような事やな。

臨床症状

臨床症状は第3趾~4趾感の痺れ、疼痛などの神経症状や。この部分が1番頻度が高いんやけど、第2~3趾、第4~5趾の場合もあるで。痛みは改善したりする事もあるわ。ただ仮性神経腫になると症状は継続して出てくる事が多いな。

臨床での診断方法で、Mulder(モルダー)テストってのがあんねん。これは足を両脇から挟むようにして圧迫する事で疼痛が出るかどうかやねん。これで痛みが出ればMorton病が強く疑われるで。中足骨の遠位端を両側から手で挟む様なイメージやで。

治療法

治療法は保存療法と外科的療法の2つがあって、まずは保存療法を実施する事が多いで。この時は出来るだけ疼痛がある部位の安静&ブロック注射なんかを実施して、それでも改善せんかったら手術して原因を取り除くという形もあるらしいな。

画像所見

Morton病の画像所見

さて画像所見についてやけど、まず単純写真やと診断が難しいで。Freiberg病の例もあるしな。ちなみにFreiberg病っちゅーのは、中足骨頭に壊死が起きる疾患やで。単純写真上で骨透亮像を認めんねん。部位が近いから紛らわしい事も多いで。

Morton病の診断にはMRIが有効で、T1強調やと低信号、T2強調やと脂肪と等~低信号を示すで。滑液包炎を伴う事も多いんやけど、所見があっても症状は無い事も結構あるんやで。せやから偶発的に見つかる事も稀にあるんや。

画像所見
MortonT1強調で低信号、T2強調で脂肪組織と等~低信号 滑液包炎を伴う事も多い

実際の症例

40代女性で前足部の痛みで精査になった人や。3趾と4趾の中足骨の間に所見があってMorton病と診断する事が出来ると思うで。

足MRI-morton病
足MRI-morton病

別症例や。40代女性で左足痛の精査や。3-4趾間に濃染される軟部組織病変を認める事が出来ると思う。モートン神経腫疑いとなった例や。

MRI画像 Morton病
左上から脂肪抑制画像、T2WI、T1WI、下段左から造影、脂肪抑制(横断像)、造影(横断像)

鑑別診断のポイント

Morton病との鑑別

鑑別診断のポイントやな。これは中足骨付近に疼痛を生じる可能性があるものが挙がるんやけど、おおよそ次のようなものがあるで。頭の片隅にでも入れておいてもらえるとええで。

鑑別にはMorton病の好発部位を知っておく事が有効な事が多いな。

鑑別疾患
Morton病との鑑別該当部位の疲労骨折
中足骨頭の骨壊死(Freiberg病)
中足指骨関節の関節炎や脱臼
腱鞘由来のガングリオン

他に関連がありそうなのは次の疾患たちや。合わせて確認しておいてや。

まとめ

今日はMorton病についてレクチャーしたで。ポイントは2つや。

第3-4趾の中足骨間に好発し鋭い痛みがある(次に多いのが第2-3趾)

つま先立ちのような体勢を長期間続けていて、ティネルサイン、モルダーテストが陽性ならMorton病が強く疑われる

これくらいを知っておけば大丈夫やろ。後は画像所見もやな。3-4趾に脂肪抑制で高信号、造影される軟部組織があればMorton病が疑われるで。Morton病は普段の立ち方、運動歴の有無なんかをヒアリングするのが重要やで。

放射線科医ってこれらの全ての症例パターンが頭に入ってるんですか?

まぁ、頻度が高いもんはな。もちろん全部やあらへんで。

レアな症例は都度調べてって感じや。ただ調べるにして、もまずは異常所見に気がついてアタリをつけなアカンからな。やっぱり経験ってのは大切やで。

そういう意味で読影能力アップに近道はあらへんねん。

自分も気ぃ抜いてると後輩に追い抜かされるで。そうならへんようにな。今日はこれくらいにするかな。

ほな、精進しいやー!