もやもや病(moyamoaya disease)

なぁ、血管がゆっくり狭窄していくと、どうなると思う?

側副路が出来る事が多いんですよね?

もやもや病(moyamoaya disease)とは

もやもや病のポイント

その通りや。今日は、Wilis動脈輪の閉塞で発達した側副血行路、つまりもやもや病について話していくで。

まずは、もやもや病のポイントからや。

  1. Wilis動脈輪閉塞による側副血行路が発達した状態
  2. 脳出血の原因にもなる’(若年性の脳出血を見た場合は、原因としてAVMともやもや病をあげる事)
  3. MRAを撮影すれば、ほとんどが診断可能

順に話していくで。

もやもや病の概要

まず、もやもや病の概要からや。

ってか、ワシらからすると聞き慣れた病名やけど、これは一般の人からしたらこれってホンマなん?って思うやろな。ワシも最初見た時はウソやん?って思ったもん。

ちょっと話しがずれたけど、このもやもや病の大きな特徴はACA(前大脳動脈)やMCA(中大脳動脈)が両側性に閉塞する事や。閉塞する事で側副血行路が出来て、これがもやもやした状態に見える事から、その名がついたという話しやで。

閉塞に伴って血流が不足すれば虚血状態にもなるし、逆に血管への負担が大きくなれば脳出血もなりうるな。

一応教科書的にいうと、もやもや病はwillis動脈輪の閉塞や狭窄が両側性に認める事、狭窄または閉塞部位近傍に異常血管網がある事、動脈硬化や自己免疫性疾患や炎症などの基礎疾患が無い事となってるわ。

機序としては次の通りや。

ICA終末部が狭窄 → ACA、MCAの穿通枝や前・後脈絡叢動脈が側副路血管として発達して、もやもや血管となる

・閉塞部位がACAやMCAにまで及ぶ → もやもや血管が消失して、外頚動脈硬膜枝や眼動脈が発達して栄養されるようになる

ちなみに、両側性じゃなくて片側のみの場合は「一側もやもや病」、血管などの条件は満たしてるんやけど、基礎疾患を有する場合は「類もやもや病」と呼ぶで。

臨床症状と原因もやもや病の診断基準(厚生労働省研究班)
もやもや病女性に多く、好発年齢は小児期と30代の2ピーク型

成人例では脳出血で見つかるパターンが多く、
小児では虚血症状(頭痛やTIAなど)がきっかけで発見される事が多い

閉塞の原因は血管内膜に平滑筋細胞の増殖や弾性線維の肥厚 虚血や脳出血を起こす
①willis動脈輪(ICA終末部やACA、MCA近位部など)の閉塞や狭窄が両側性に認める事
②狭窄または閉塞部位近傍に異常血管網がある事
③動脈硬化や自己免疫性疾患や炎症などの基礎疾患が無い事が条件

①~③を満たしているものを「もやもや病」
①を満たしていない場合は「一側もやもや病」
③を満たしていない場合は「類もやもや病」と呼ぶ
脳血管名称
脳血管の解剖と略名

もやもや病の原因

もやもや病によるWilis動脈輪が閉塞、狭窄する原因は、血管内膜での平滑筋細胞の増殖や弾性線維による肥厚などやと言われとる。

しかし、なんでこれらが起きるのかは分かってへん。

もやもや病の臨床症状

臨床症状は小児の場合は大脳の虚血症状(意識障害、脱力発作:TIA、感覚異常など)や。

成人の場合は脳出血後の原因精査でもやもや病と診断される事が多いで。一方で無症状で発見されるケースも増えてきてるらしいな。

成長スピードは個々によって様々で、数年でもやもや血管が形成される人もいれば、10年かけて形成される人もおるんや。

成人の場合は脳出血の原因精査で発見されるケースが多いとされてんねんけど、中には無症状で発見されるケースも増えてきてるな。

もやもや病の治療方法

治療法としては投薬と外科的方法があるらしいで。

投薬は抗血小板療法、外科的療法はバイパス術があるとの事や。

画像所見

もやもや病の画像所見

次に画像所見についてや。DSAの血管造影も有効なんやけど、MRAで診断出来る事がほとんどや。MRAなら低侵襲で検査出来るもの大きなメリットやな。

所見的には以下のようなものがあるで。

  • MRAでwillis動脈輪の閉塞
  • もやもや血管の有無
  • T2強調でMCAやACAのflow voidの消失の有無
  • 微小出血があればT2スターやSWIで低信号域として描出される
  • 脳出血を伴う場合や、脳梗塞を伴う場合は個々に準じた画像所見が描出される

診断基準でもMRAおよびT2強調で動脈狭窄または閉塞および異常血管網が診断出来る場合は、脳動脈造影を省略してもええとなっとるわ。

実際の症例

70代 男性 もやもや病のフォロー

実際の画像や。すでにもやもや病と診断されてて、定期的にフォローしている例や。

特徴的な画像やろ。1回見ておけば忘れる事はあらへんと思うねん。

頭部MRA-もやもや病
参考症例 ivy sign

他にはivy signというのがあって、軟膜髄膜吻合を介する側副血流が、FLAIRで高信号、かつ造影T1で増強効果がある所見の事やで。

簡単に言うと、脳の溝が高信号で描出される事やって思ってもらえればええかな。慣れへんと中々見つけにくい所見やけど覚えておいても損はないで。

頭部MRI-もやもや病
30代 女性 もやもや病

鑑別診断のポイント

脳梗塞との鑑別

さて鑑別診断のポイントやけど、あまりこれと言った形ではあらへんかな。何なら脳出血があって、その原因特定の選択肢にもやもや病があがってくる感じや。

一側もやもや病の場合は急性期の脳梗塞と間違わへんようにな。まぁこれも拡散強調を見れば一発なんやけども。

もやもや病自体がかなり特徴的な所見を呈するから、画像診断的にはあまり迷う事はなかった記憶があるで。

微小な脳出血を認める場合は、アミロイドアンギオパチーが鑑別に挙がる事もあるで。

まとめ

今日はもやもや病についてレクチャーしたで。ポイントは2つかな。

MRAでのwillis動脈輪の閉塞と、もやもや血管の有無

小児は脳梗塞(脳虚血症状)、若年者は脳出血により発見される事が多い

これらを覚えておけば間違いあらへん。側副血管の有無が重要やで。もやもや病は特徴的な画像所見やからな。

脳出血での原因精査とかでたまに見るから選択肢の1つにあがるようにしとき。

一言で脳出血と言っても、いろんな原因があるんですね。

その通りやな。患者情報や臨床データと照らし合わせて診断する事が重要なんや。

これは何も脳出血だけやなくて、他の部位の疾患でも同じ事やけどな。

アカン、この話するといつまで経っても終わらへんで。一端、今日はこれで終わりにするで。

ほな、精進しいやー!