視神経脊髄炎関連疾患(neuromyelitis optica spectrum disorder:NMOSD)

まぁまぁ、そんな落ち込むなって。まだ若いんやからまたチャンスあるやん。

別に落ち込んでませんけど?

てか、なんで1回で成功する前提やねん。

チャリンコでも最初の1回から乗れるヤツなんておらへんやろ?何回も失敗して乗れるようになるんやん。だからな、元気出せや。

いや、分かるで。精一杯の強がりやんな。自分がこれ以上傷つかへんための予防線張ってるんやもんな。

ええで、泣いてもええんやで!

その悔しさをレクチャーにぶつけんかい!全力で受け止めるで!かかってこいやー!

視神経脊髄炎関連疾患(neuromyelitis optica spectrum disorder:NMOSD)とは

視神経脊髄炎関連疾患の概要

さて今日は視神経脊髄炎関連疾患についてや。

以前は視神経脊髄炎(NMO)と言って視神経炎と脊髄炎がある病態で、多発性硬化症(MS)の亜型と考えられとったんやけど、AQP4(抗アクアポリン4)という特異的な抗体が発見された事で、実はMSとは別機序による違う病気やと分かってん。

AQP4の役割についてはこっちの資料が参考になるから一読しておくとええで。(中枢神経系におけるアクアポリン4の役割 日本神経学会

ほんで新しい診断基準の改変に伴ってNMOと旧NMOSDを合わせてNMOSDに変更になったんや。ちなみに視神経脊髄炎関連疾患ってなってるけど脳にも病変が発生するで。

NMOSDはこのAQP4がある事で、神経細胞を攻撃して様々な症状が出てしまう状態やねん。主に神経や脊髄に炎症が起きるわ。その結果、視力の低下や視野欠損、運動麻痺や感覚障害なんかが主な症状やで。脳に出来た場合は、運動症状や失調、複視などの症状が出るで。病変が出来た部位によって症状が変わってくんねん。

診断基準と2015 IPND criteria

新しい診断基準は、AQP4抗体を持つ疾患をNMOSDとしてMSとは違う病気として扱うねん。

詳細は難しくてややこしいから簡単に言うと、NMOSDは脱髄疾患やなくて自己免疫疾患だったって事や。これは上で話した通りやな。しかもMSの治療薬がNMOには憎悪する事も分かってん。せやから正確な診断は重要なんやで。これについては、2015IPND criteriaっちゅーもんがあるで。抜粋したものを添付しとくから頭の片隅にでも入れといてな。

2015IPND criteriaにおける診断基準

主要臨床症候

視神経炎、急性脊髄炎、延髄最後野症状、急性脳幹症状、MRI病変を伴う症候性ナルコレプシーあるいは脳幹症候群、MRI病変を伴う症候性大脳病変

必須項目

抗APQ4抗体陽性

1つ以上の主要臨床症候を満たす

抗APQ4抗体陰性あるいは未測定

2種類以上の主要臨床症候を満たす

そのうち1つは視神経炎、急性脊髄炎、延髄最後野症状がある事

空間的多発を満たす事(2種類以上の異なる主要臨床症候が必要)

以下のMRI所見がある 視神経炎:長い視神経病変や視交叉病変 急性脊髄炎:3椎体以上の病変あるいは脊髄萎縮 延髄最後野病変:延髄背側あるいは最後野の病変 脳幹病変:脳幹の上衣周囲の病変

NMOSDに罹患している人は4,000人程度という話しや。男性よりも女性の方が圧倒的に多くて、10倍程度も違うと言われとる。好発年齢は30~40代が多くて、高齢者にも発症するとの事や。

原因は遺伝的要素だったり環境的要素があったりするらしいねんけど詳しくは分かってへん。

治療法は急性期と慢性期で分かれてるで。急性期はMSとNMOSD共に共通や。ステロイドパルス治療や血液浄化療法なんかやな。違いがあるのが慢性期治療や。NMOSDは副腎皮質ホルモンや、免疫抑制剤なんかを使用するんや。

ちなみにMRI検査で病変が同定できひん時は、脳脊髄液検査や誘発電位などの検査をして確定させる事もあるで。特に誘発電位は自覚症状が無い場合でも見つかる事もあんねん。

画像所見

視神経脊髄炎関連疾患の画像所見

次に画像所見についてやで。

病変が出来る部位別に分けて話していくで。

脳病変

まずは脳からや。第3、第4脳室や中脳水道周囲、視床下部、延髄背側の病変が特徴的や。他には皮質脊髄路の病変、広範におよぶ白質病変、非特異的白質病変なども報告されてるな。小脳付近の病変が要チェックポイントやで。

脊椎病変

次に脊椎の画像所見や。脊椎は頭尾方向に3椎体以上に及ぶ事が多いのと、axial上で中心管周囲の灰白質が障害されてる事が多いで。

脊髄の腫大や慢性期には萎縮もしばしば見られるわ。NMOSDに特徴的な所見としてbright spotty leasionという脊髄内にT2強調で高信号の所見があんねん。これを脊椎空洞症と間違えんようにな。胸椎の方が頻度が高めで頭尾方向に長いというデータもあるで。

視神経病変

後は視神経病変やな。視神経の半分以上まで、時に視交叉や視索まで及ぶ事もあるで。両側性の時もある。主な所見は視神経の腫大でT2強調、脂肪抑制で高信号、造影で増強するで。慢性期には萎縮してる事もあるわ。

部位画像所見
第3、第4脳室や中脳水道周囲、視床下部、延髄背側の病変と皮質脊髄路の病変
広範におよぶ白質病変、非特異的白質病変
脊椎3椎体以上の病変
横断像で中心管周囲の灰白質が障害
脊髄の腫大
bright spotty leasionという脊髄内にT2強調で高信号の特徴的な所見
胸椎の方が頻度が高い
視神経視神経の腫大でT2強調、脂肪抑制で高信号、造影で増強
両側性の場合もあり時に視交叉や視索まで及ぶ

実際の症例

実際の症例や。これらは適当な症例が無かったからRadiopediaを参考にしてるで。これは椎体に病変がある例や。いずれもT2WIの画像やけど、C2~5付近に病変があるのが分かると思うで。

頭部MRI-視神経脊髄炎関連疾患
Case courtesy of Frank Gaillard, Radiopaedia.org

次は脳幹に付近に病変がある例や。各々の画像で病変部分が高信号なのが分かると思う。

頭部MRI-視神経脊髄炎関連疾患2
Case courtesy of Rajarajan, Radiopaedia.org

鑑別診断のポイント

MS(多発性硬化症)

鑑別診断や。これは上で述べたんやけどNNOSDとMSの鑑別が重要や。治療法が異なるのと場合によっては悪化させてまうからな。ただNMOSDの所見は他の疾患にも出うる所見やから、NMOSDが疑われたらAQP4抗体を調べるなりせんとアカンかもな。

画像所見だけで断定するのは難しいんやけど、造影で結節状やったりリング状の造影効果を見たらMSの方が疑わしいで。脊椎に病変があった場合は、脊髄空洞症との鑑別が必要になる事もあるで。

今は視神経脊髄炎関連疾患についてレクチャーしたで。ポイントは2つや。

MSとの鑑別診断が重要

脳では第3、第4脳室や中脳水道周囲、視床下部、延髄背側の病変が特徴的

この2つって事になるかな。後は臨床症状も重要なのは言うまでもあらへんで。診断基準もあったからそれも覚えておくとええな。

と言っても、診断基準も数年で変わったりするし、分類も変わったりするのがこの業界の常や。当然ガイドラインも変わる。常に新しい知識を得ていかんとおいてかれてまうねんな。

常に変わり続ける事が重要や。

せやから、推しにチェキ断られたくらいで落ち込むなや。料金払っても撮影したくないって事が分かっただけでもええやんけ!それも新しい知識やん?それが分かっただけでも十分儲けモンやと思えるやん?

せやから、その悔しさをバネに自分を磨かんかい!ワシはそんな若者が好きやで。

いや、別に落ち込んではませんけど・・・

HAHAHA!やせ我慢は良くないで!

さて、そろそろ今日も終わりにしよかな。 ほな、精進しいやー!