変形性股関節症(oarthritis og the hip)

痛たた。股関節痛っ。

何かあったんですか?

久しぶりにパラパラ踊ったら案の定、筋肉痛や。しかも運動から5日後に来てるし。もう若くないんやと実感してもうてるところや。
てか、5日後て。ワシの体、だいぶ老いてるんちゃうの?

変形性股関節症(oarthritis of the hip)とは

変形性股関節症の概要

さて、今日は変形性股関節症についてやで。

まず変形性股関節症っていうのは、関節軟骨の変性が退行性変化によって関節破壊となって、反応性骨増殖を認める状態の事や。

退行性変化ってのは、新陳代謝の低下で、細胞や組織、構造の機能が徐々に衰えて戻らない状態の事で、簡単に言うと加齢(老化)やな。加齢が原因で反応性骨増殖している状態って事や。

加齢なんかで明らかな原疾患が無い場合を1次性、先天性疾患や発育障害など原疾患が関係している場合を2次性と呼んでるで。

ちなみに2次性の先天性疾患は、先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全なんかや。臼蓋形成不全は、股関節側の臼蓋が不完全な発育の状態の事やで。つまり大腿骨骨頭を臼蓋が上手く覆えてない状態って事や。

これらはおんぶや抱っこの後天的な要因も含めて発育性股関節形成不全(DDH)とも言ったりするな。

先天性以外やと外傷やリウマチ、痛風なんかもあるで。

罹患者数は国内に500万人おるとも言われてんねん。もちろん症状の大小や潜在的な患者さんも含めての数字やけどな。

男性よりも女性の方が多いという傾向もあるで。

ちなみに高齢者やと症状のあるなしに関係なく多かれ少なかれ変性所見は認められて、臨床所見と画像所見が一致しない時もままあんねん。

  • 原因
    • 原疾患がないものを1次性、先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全など原疾患が関係しているものを2次性と呼ぶ
    • 1次性は加齢によるものがほとんど
  • 概要
    • 立ち上がりや歩き初めの股関節の痛み
    • 女性に多い
    • 高齢者では症状が無くても変性を認める場合が多い
    • 前期、初期、進行期、末期がある

股関節の解剖

次に股関節の解剖や。この辺りは基本的な事やし、学生時代にもやったやろ。

そもそもこのへんの解剖を知ってへんと国試に受かってへんやろ。忘れてる人がおったらこれを機に思い出しておくんやで。

骨盤骨解剖

原因と臨床症状

原因

原因は概要の欄で話した通り、1次性のものと2次性のものがあって、1次性は女性が多いんや。

2次性は、先天性のものや外傷、リウマチ、痛風、血友病なんかがあるで。

症状

臨床症状は股関節の痛みと機能障害や。立ち上がりや歩き初めに股関節に痛みが出てくるで。

進行すると歩行障害(運動障害)にまでなるケースもあんねん。

画像所見

変形性股関節症の単純写真所見

次に画像所見についてやな。単純写真やと、次のようなものがあるで。

  • 関節裂隙の狭小化や軟骨下骨硬化像(subchondral sclerosis)
  • 軟骨下嚢胞(subchondral cyst)
  • 骨棘形成
  • 大腿骨頸部内側の骨皮質肥厚(buttressing)など

ちなみに単純写真における病期分類で、前期、初期、進行期、末期の4段階があって、画像上でのイメージは骨硬化は初期、嚢胞形成は進行期くらいになるで。

変形性股関節症のMRI所見

MRIについては、次のような画像所見や。

  • 硬化像や壊死像:T1強調、T2強調共に低信号
  • 嚢胞や浮腫性変化:T2強調で高信号

実際の症例

実際の画像を見ていこか。単純写真やと関節裂隙の狭小化と軟骨下骨硬化像を認めるで。変形も高度に認めるな。

単純写真-変形性股関節症

MRI画像やと単純写真での骨硬化像の部位がT1強調、T2強調ともに低信号に写る事が多いで。

以下は別患者の進行期の例や。骨硬化を示す低信号域の中に、T2強調でやや高信号(骨嚢胞)があるのが分かると思うで。

単純写真-変形性股関節症
T2強調画像
単純写真-変形性股関節症
T1強調画像

鑑別診断のポイント

関節リウマチ

鑑別診断のポイントやな。これは関節リウマチと大腿骨頭壊死があるで。

これらの違いやけど、まず関節リウマチは関節裂隙の狭小化が全体に均一に起きるのに対して、股関節変形症は狭小化が一方(上方か内側)に偏る事が多いんや。

造影するとリウマチは骨膜肥厚が強く造影されるのに対して、変形性関節症は相対的に弱い点も参考になるで。

大腿骨頭壊死

大腿骨頭壊死との鑑別については、骨頭壊死は骨頭側の変化が強くて関節裂隙の狭小化が少ない事が多いと言われてるで。

また変形性股関節症と大腿骨頭壊死は合併する事もあるで。

まとめ

今日は変形性股関節症についてレクチャーしたで。ポイントは3つや。

関節軟骨の変性による反応性骨増殖を来した状態

単純写真では、関節裂隙の狭小化や軟骨下骨硬化像(subchondral sclerosis)、骨棘形成などが確認できる

診断には単純写真で十分可能だが、MRIでは浮腫性変化も確認する事ができる

ちなみに単純写真の画像所見で前期、初期、進行期、末期の判断が出来るで。

私も最近、股関節が痛いのよね。変形してるのかしら。

太りすぎや!
おっと口が滑ったで。ほな、精進しいやー!

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