ふぅ。ヒヤヒヤしたで。
そうですね。久しぶりに遭遇しました。
昔に比べてマシになったとは言え、やっぱり造影剤の副作用はいつ起こるか分からんから恐いな。
もくじ
後縦靭帯骨化症(ossification of posterior longitudimal ligament:OPLL)とは
後縦靭帯骨化症の概要
さて、今日は後縦靭帯骨化症、通称OPLLや。
OPLLはその名の通り、後縦靱帯が骨化する事で色々な症状が起きる、指定難病されてる疾患なんや。
ちなみに後縦靱帯はどこにあるか分かるか?
椎体と脊髄の間にあんねんで。椎体の前面にあるのが前縦靱帯や。
簡単に概要を話すと、東洋人に多いらしんやけど、そもそもの原因は不明で、骨化病変が脊柱管狭窄や脊髄圧迫を引き起こすねん。
後縦靱帯は脊柱の全域を縦走してる事から、胸椎や腰椎にも発生すんねんけど、下位頚椎が1番頻度が高いで。
進行性の場合は自然軽快は難しくて手術による治療を行う事も多いで。ただ症状が軽微な場合は必ずしも進行性とは言えない場合もあるらしいな。
- 後縦靱帯が骨化する事で、脊柱管狭窄や脊髄圧迫を引き起こされる状態
- 男性に多く、50歳以降に発症するケースが多い
- 東洋人に多く原因は不明
- 家族歴(遺伝性)に関係があるという説もある
- 全脊椎に発生するが下部頚椎が高頻度
- 強直性脊椎骨増殖症を40%に合併し、黄色靱帯骨化や棘上靱帯骨化の合併も多い
- 臨床症状は頚部痛や上肢の痺れ、痛み、筋力低下など
- 頚椎に関しては無症状の事もある
- 骨化の程度や形態で連続型、分節型、混合型、限局型の4つに分類される

頚椎の解剖
次に頚椎の解剖や。今回は後縦靭帯がメインやから最低限どこにあるかは覚えておくんやで。
似たようなもので黄色靱帯があんねんけど、これはまた別の機会にレクチャーするで。

後縦靭帯骨化症の原因と臨床症状
原因
OPLLの原因は不明なんや。あくまで可能性として、局所の力学的要因、全身の骨化要因、炎症、ホルモン異常、遺伝なんかやと言われとる。
OPLLの患者家族にも発生する可能性が高いから、遺伝的な要因が関係している説もあるで。
臨床症状
臨床症状は、頚部痛や上肢の痺れや。基本的に頚椎に発症する確率が高いから上肢に影響が出る事が多いで。
ただ胸椎や腰椎にも発症する事もある点は覚えておくべきや。その場合は下肢症状が出てくるで。
治療法
まずは保存療法を実施してみて、改善がみられなければ外科的治療の対象になる事もあるで。
最初は装具装着なんかで局所の安定を行う事が多いな。外科的治療は後方椎弓形成術や、前方除圧固定術なんかがあるらしいで。
専門やないから詳しい事までは分からんけども。
画像所見
後縦靭帯骨化症の画像所見
次に画像所見についてや。この辺はワシの専門や。
単純写真やと側面像が分かりやすいな。脊椎背面に沿って骨化が確認出来るで。骨棘との鑑別が問題になる時があるんやけど、その場合はCTが有効や。
MRIやとT1強調、T2強調共に低信号として描出されるで。
各モダリティの所見を載せておくけど、実際の症例を見た方が早いかもしれん。
- 単純写真では側面像で脊柱後面に骨化像を認める
- CTでも同様だが情報量はCTの方が多く病変の範囲特定に有効
- MRIではT1強調、T2強調共に低信号域として描出
- 骨化した靱帯内に脂肪髄が見られる事がある
- 脊柱管狭窄の程度はMRIが1番分かりやすい
実際の症例
続いて実際の症例や。70代の男性で頚部痛と右上肢の痺れや。


別の症例や。60代男性で頚部痛や。分類で言うと混合型になるかな。

こっちは連続型の症例や。

どれも所見としては指摘しやすい方やと思うで。特にCTで見れば一発やな。
鑑別診断のポイント
頚椎症 びまん性突発性骨増殖症
鑑別診断については、骨棘を伴う頚椎症、びまん性突発性骨増殖症(diffuse idiopathic skeletal hyperostosis:DISH)なんかや。
DISHは脊椎や末梢腱、靱帯付着部が骨化する病態やで。原因不明なんやけど、肥満や糖尿病なんかの代謝性疾患との関連があるとも言われとる。
後はMRIで脳脊髄液のフローアーチファクトで鑑別を要する事もあるな。上手く撮影シーケンスで対応してくれると余計な追加検査がなくなって助かるで。
ちなみに似たような名称でOYL(黄色靱帯骨化症)があるで。OYLについてはこっちで解説してるから読んでおいてな。
まとめ
今日はOPLLについてレクチャーしたで。ポイントは3つや。
後縦靱帯の解剖を知っておく
頚椎が最も発生頻度が高い
脊柱後面に骨化像を認めたらOPLLを疑う
CTまで撮影してれば分かりやすいんやけど、単純写真でも指摘出来る様にしとくと尚ベストや。
後縦靭帯骨化症は全国で3万人程の患者数らしいんやけど、潜在的な数も含めるともっと多いとも言われとるんや。
せやからOPLLは比較的軽微な外傷がきっかけで判明するケースも多いんやで。まぁ症状が無ければ基本的に経過観察なんやけどな。
症状が無くてもちゃんと画像上は指摘出来るようになるんやで。
技師はんは1番最初に気がつく人達でもあるんや。そこで緊急かどうかの判断ができると最高や。
冒頭の造影剤の件やあらへんけど、アナフィラキシーは対応が早ければ早いほどええしな。最悪の場合、亡くなる可能性もゼロやあらへん。
技師はんが患者さんの異変や所見にいち早く気がついてくれると、医者としても助かるんやで。
ほな、精進しいやー!