骨髄炎(osteomyelitis)

さて、放射線偉人伝5人目やで。5人目はハンスフィールドや。この人はCTを作った人なんや。CTが画期的やったのは、何と言っても体の断面が見られるって事やな。これで放射線診断の質が飛躍的に上がったのは間違いないで。

Wikipediaより

他の人達と同様にハンスフィールドも1979年にノーベル賞を受賞してるんやで。概要は次の通りや!

  • フルネームをゴッドフリー・ハンスフィールド(ハウンズフィールド)英国EMI社の研究員で先行は画像再構成だった
  • 1968年にCTを発明し72年に第1号を発表
  • 初期のCT撮影は1スキャンで4分かかり、スライス厚も10mmだった
  • でも実は検出器は2つあり今でいうマルチスライスだった
  • 1975年には全身撮影用も開発しており、この時のスキャンスピードは20sec
  • CT値のHUはハンスフィールド・ユニットの略
  • 実はEMIに所属していたビートルズの売り上げから研究費を賄っていた
  • そのため陰の功績者はビートルズという説もある

まさかのビートルズ。ビートルズってあのビートルズですよね?

せや。以外やろ?音楽会社が医療機器やってんねん。多角化経営もええとこや。今現在はこの事業は無いらしいけどな。

ちなみにCTの概念は昔からあったもんなんや。ただ当時はコンピュータなんかあらへんから実現化は出来ひんかってん。画像化するには膨大な計算が必要やったからなんやけど、ハンスフィールドの時に時代が追いついたとでも言うんやろな。

確か1番最初の画像は頭部の写真やなかったっけな?撮影して画像が出来た瞬間はテンション爆上がりしたやろなー。なんか3.0Tの画像を初めて見た時の100倍くらいの感じなんやろなと勝手に想像してるわ。

骨髄炎(osteomyelitis)とは

骨髄炎の概要

今日は骨髄炎についてや。骨髄炎は細菌や抗酸菌などによる骨への感染症やで。感染経路は小児やと血行性感染、成人やと直接感染がメインや。

骨髄炎には急性骨髄炎と慢性骨髄炎があって、急性骨髄炎はその名の通り感染から急速に症状が現れるパターン、慢性骨髄炎は数ヶ月に渡って持続する骨髄炎の事を指すねん。慢性骨髄炎には急性骨髄炎から移行するパターンと最初から慢性経過を辿る2つのパターンがあるで。前者を定型骨髄炎、後者を非定型骨髄炎と呼んでるわ。

骨髄炎分類

骨髄の解剖

骨髄の解剖についてや。おおよそこんな感じやで。

骨髄の解剖

骨髄炎の原因と臨床症状

骨髄炎の原因は細菌や抗酸菌の感染や。ほとんどが黄色ブドウ球菌らしいな。感染経路としては、血行性感染と直接感染があるで。血行性は小児に多いのが特徴や。

臨床症状は、急性骨髄炎は全身症状(体重減少や発熱、疲労感や圧痛)なんかや。慢性骨髄炎は発熱等の全身症状はなくて、骨痛や圧痛なんかが持続すんねん。

似たような症例として化膿性脊椎炎があんねん。これは別で話してるから、そっちで確認してみてーや。

治療法としては、抗菌薬の投与になるで。全身症状が持続してて炎症による骨破壊や膿瘍がある場合は手術で対応する事もあるらしいねんけど、あまり数的には少ないって聞いたな。

画像所見

骨髄炎の画像所見

次に画像所見についてやな。

単純写真やと骨膜変化を認めるのは発症から1~2週間経過した後からなんや。軟部組織の腫脹は認める事もあるで。

MRIやと、急性骨髄炎は炎症や膿瘍などを反映してT1強調で低信号、T2強調や脂肪抑制で高信号を示すんや。造影効果も認めるで。慢性骨髄炎になると、T1強調、T2強調共に低信号を認めるで。ただ部分的に活動性病変があれば、そこは急性期と同様の信号パターンになるで。

画像所見
骨髄炎単純写真では骨膜変化を確認出来るまで発症から~2週間程度かかる
MRIでは急性骨髄炎は炎症は膿瘍などを反映してT1強調で低信号、T2強調、脂肪抑制で高信号病変として描出される
慢性骨髄炎ではT1強調、T2強調で低信号として描出される
慢性骨髄炎の中に活動性病変があれば、そこは急性と同じような画像所見になる

実際の症例

この症例は20代男性で関節痛で精査となった例や。脛骨遠位端に地図状の病変を認め、臨床データと合わせて骨髄炎の診断となってん。脂肪抑制画像で病変の範囲が良く分かると思うわ。

足MRI-骨髄炎
左から脂肪抑制、T1強調、T2強調

これは70代女性の例や。過去に踵骨骨折の既往歴があるで。今回のMRIで踵骨に骨髄浮腫を認めて骨髄炎の診断となったパターンや。こっちも脂肪抑制画像が見やすいな。

足MRI-骨髄炎

これも急性骨髄炎の症例やけど原因がネコの咬傷やねん。こういうパターンでも骨髄炎になり得るんやで。他には骨シンチやFDG-PETも有効や。

足MRI-急性骨髄炎

鑑別診断のポイント

骨挫傷 骨腫瘍

鑑別診断のポイントやけど、骨挫傷や骨腫瘍が挙げられるで。

骨挫傷に関しては所見の範囲や患者エピソードが参考になるで。

骨腫瘍では特に小児のEwing肉腫なんかでと、熱感や疼痛、炎症反応など骨髄炎と類似した所見が出んねん。軟部組織に充実性病変を認めるかどうかが鑑別のポイントの1つやな。

まとめ

今日は骨髄炎についてレクチャーしたで。ポイントは2つ。

骨髄炎は細菌感染で、急性と慢性があり急性の所見は覚えておく

小児は血行性で骨幹端に、成人では直接性で骨盤や脊椎に好発する

患者エピソードの確認が重要

こんなところや。鑑別診断の所でも挙げたけど、骨髄炎と骨挫傷の鑑別が難し事があんねん。これは年齢やエピソード、臨床情報なんかを参考にするんや。ただこのへんはワシらでも中々分からん事も多いけどな。

あと、慢性骨髄炎は急性化膿性骨髄炎から移行する事が多いんやけど、慢性骨髄炎は放置しておくと扁平上皮癌を合併する事もあるのは良く知られてるで。これも知っておくとええわ。

いろんな豆知識があるからな。1つ1つ覚えていけばええ。今日はこれくらいにしよかな。

ほな、精進しいやー!