ペルテス病(Legg-Calve-Perthes disease)

大腿骨頭壊死とペルテス病の違いってなんや?

発症年齢が違う事ですか?

ある程度は正解や。
原因不明で大腿骨頭の壊死っていう点では共通なんやけど、ペルテス病は小児がほとんどで、数年の経過で完全に修復されるのに対して、突発性大腿骨頭壊死は基本的に予後は悪いねん。

ペルテス病(Legg-Calve-Perthes disease)とは

ペルテス病の概要

今日はペルテス病(Legg-Calve-Perthes disease)についてや。

ペルテス病っちゅーのは、大腿骨近位部骨端が阻血性壊死を来す疾患や。簡単にいうと、何らかの原因で大腿骨頭が虚血状態になるって事や。

10歳未満の活動性が高い男児に多いというデータがあるで。確かに日頃読影してると部活動をやってる子が多い印象があるな。

発症率は1万人中1.5人くらいや。正確な原因は不明で、明確な切っ掛けが無く発症するのが特徴や。外傷説や血流障害なんかが考えられてるって話も聞くな。

主な概要は下記の通りやで。

  • 原因
    • 原因は不明だが、血流障害や外傷によるものという説もある
  • 内容
    • 大腿骨頭近位部が阻血性壊死を来す状態
    • 10歳未満の男児に多く、股関節だけではなく、膝の痛みを訴えるパターンも多い
    • 骨頭が潰れないように早期発見と早期治療が重要
    • 骨膜炎期・硬化期、分節期、再生期の4つの病期分類がある
      1. 骨膜炎期:初期の状態で単純写真では異常が無い事が多くMRIが必要
      2. 硬化(壊死)期:骨端部の壊死により軽度扁平した状態で単純写真でも分かる
      3. 分節(修復)期:血行が再開する事で骨新生と壊死骨で単純写真上、まだら状の画像所見になる
      4. 再生(遺残)期:骨新生が進み修復が完了するまでの期間

股関節の解剖

解剖や。この辺は大丈夫やろ。一応載せておくで。

骨盤骨解剖

ペルテス病の原因と臨床症状

原因

ペルテス病の原因は何らかの理由で大腿骨頭への血流が低下してしまう事やねん。この理由は今のところ判明してへん。

症状

臨床症状は股関節の痛みに加えて、膝あたりの痛みを訴える子が多いのも特徴の1つやと言われとる。1歩行時の跛行があるかどうかも参考になるポイントや。股関節の運動制限がある子も多いで。

治療法

ペルテス病は骨頭の状態によってか手術の対象かどうかが決まるんや。せやから治療はまずは骨頭が潰れないようにするのが重要なんや。

そのために早期発見と早期治療開始は重要なんやで。早期に発見できれば保存療法も選択肢になるで。

一般的に発症年齢が低い方が予後が良くて、年齢が高くなるに従って予後が悪くなる事が多いと言われとる。

画像所見

ペルテス病の画像所見

次に画像所見についてやな。

発症初期は骨膜炎に伴う骨端核の外側偏位のみ事が多いで。単純写真の正面像やと骨硬化などの所見の確認が難しい事があるから側面像も必要や。

進行に伴って壊死部の骨吸収や分節化が起きてくるねん。つまり大腿骨頭端全体の硬化像を認めるって事や。

tear-drop distance

他の参考所見としてtear-drop distanceとかもあるな。臼蓋内側壁と大腿骨頭骨端核の距離の事で、左右で比較してここの距離が拡大しているとペルテス病や化膿性関節炎などを疑うサインである事が多いで。

ちなみにTear-dropは臼蓋の内側縁と腸骨内側壁で形成される涙滴様の陰影の事や。合わせて覚えとき。

tear dropとtear drop distance

MRIやと壊死範囲の診断や軟骨、骨膜炎の評価も出来るで。壊死範囲の特定は矢状断が有効やとも言われとる。

壊死による辺縁の不整像と扁平化、T1強調、T2強調で低信号を示す事が多いな。T1強調で確認出来る軟骨下骨折線はlow intensity band像とも言われて、突発性大腿骨頭壊死とペルテス病の鑑別ポイントにもなってるで。

後は骨シンチも壊死した部位への集積欠損があるから早期診断に有効とされとるわ。

簡単にまとめるとこんな感じやな。

  • 単純Xp
    • 初期は骨端核の外側偏位
    • 進行するに従って骨硬化などを認めるようになる
    • 側面像も撮影する
    • Tear-drop distance
  • MRI
    • 壊死範囲は脂肪抑制画像で高信号になり矢状断が有効な事が多い
    • 軟骨、骨膜炎の診断も可能
    • 骨頭骨端核の辺縁不整と扁平化、T1強調、T2強調で低信号

実際の症例

以下は3歳の男児の画像や。左臀部痛の精査やで。

左大腿骨頭に脂肪抑制画像で高信号、T1WIで低信号を認めて浮腫性変化を認めるで。

ペルテス病
左から脂肪抑制画像、T2WI、T1WI
ペルテス病
左:T2WI 右:T1WI
Case courtesy of Ali Abougazia, Radiopaedia.org. From the case rID: 22659

鑑別診断のポイント

単純性股関節炎 化膿性股関節炎 他

次に鑑別診断についてや。

これは単純性股関節炎や化膿性股関節炎、大腿骨頭辷り症なんかがあるな。主な鑑別点は下記の通りやで。

  • 単純性股関節炎:股関節痛があるのと10日程度で症状が消失する事
  • 化膿性股関節炎:発熱や炎症所見を伴う
  • 大腿骨頭辷り:発症年齢がやや高齢で、単純写真で辷りが確認できる

他に股関節関連はこんなのがあるから、合わせて確認しといてや。

まとめ

今日はペルテス病についてレクチャーしたで。ポイントは3つや。

主に10歳以下の小児に発症する原因不明の疾患で、股関節ではなく膝の痛みを訴える事も多い

単純写真では大腿骨頭端全体の骨化像に対して、突発性大腿骨頭壊死は帯状硬化像を示し、両者の鑑別ポイントになる

単純写真では側面像、MRIでは矢状断の撮影も有効

この辺りやな。他にもTear-drop distanceみたいな重要な所見があったからもう一度確認しておくようにな。

ペルテス病はいかに骨頭を潰さないかがその後のQOLにおいて重要やで。その為には早期で発見する事が重要やねん。

治療が遅れると、変形が残ったりする事もあるで。

ちなみにペルテス病は14歳を境に発症率が全然違うらしいな。もちろん14歳以下の方が多いんや。

実際に遭遇した時にちゃんと見つけられるようにな。

ほな、精進しいやー!

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