大腿骨頭壊死とペルテス病の違いってなんや?
発症年齢が違う事ですか?
ある程度は正解や。原因不明で大腿骨頭の壊死っていう点では共通なんやけど、ペルテス病は小児がほとんどで数年の経過で完全に修復されるのに対して、突発性大腿骨頭壊死は基本的に予後は悪いねんな。
ペルテス病も予後が良いっていっても治療が遅れると、変形が残ったりする事もあんねんけどな。
ちなみにペルテス病は14歳を境に発症率が全然違うらしいで。もちろん14歳以下の方が多いんや。
今日はそんなペルテス病についてレクチャーしてくで!
もくじ
ペルテス病(Legg-Calve-Perthes disease)とは
ペルテス病の概要
今日はペルテス病(Legg-Calve-Perthes disease)についてや。
ペルテス病っちゅーのは、大腿骨近位部骨端が阻血性壊死を来す疾患や。10歳未満の活動性が高い男児に多いというデータがあるで。日頃読影してると部活動をやってる子が多い印象があるな。
発症率は1万人中1.5人とも言われてるで。正確な原因は不明で、明確な切っ掛けが無く発症するのが特徴や。外傷説や血流障害なんかが考えられてるっちゅー話しや。
ペルテス病の原因 | 内容 |
---|---|
原因は不明 血流障害や外傷説などがある | 大腿骨頭近位部が阻血性壊死を来す状態 10歳未満の男児に多く股関節だけじゃなく、膝の痛みを訴えるパターンも多い 骨頭が潰れないように早期発見と早期治療が重要 骨膜炎期・硬化期、分節期、再生期の4つの病期分類がある ・骨膜炎期:初期の状態で単純写真では異常が無い事が多くMRIが必要 ・硬化(壊死)期:骨端部の壊死により軽度扁平した状態で単純写真でも分かる ・分節(修復)期:血行が再開する事で骨新生と壊死骨で単純写真上、まだら状の画像所見になる ・再生(遺残)期:骨新生が進み修復が完了するまでの期間 |
股関節の解剖
解剖や。この辺は大丈夫やろ。一応載せておくで。
ペルテス病の原因と臨床症状
ペルテス病の原因は何らかの理由で大腿骨頭への血流が低下してしまう事やねん。この理由は今のところ判明してへん。
臨床症状は股関節の痛みに加えて、膝あたりの痛みを訴える子が多いのも特徴の1つやと言われとる。歩行時の跛行があるかどうかも参考になるポイントや。股関節の運動制限もある子が多いで。
ペルテス病は骨頭の状態によってか手術の対象になるかどうかが決まってくんねん。せやから治療は骨頭が潰れないようにするのが重要なんや。そのために早期発見と早期治療開始は重要なんやで。早期に発見できれば保存療法も選択肢になるで。
一般的に発症年齢が低い方が予後が良くて、年齢が高くなるに従って予後が悪くなる事が多いと言われとる。
画像所見
ペルテス病の画像所見
単純写真
次に画像所見についてやな。
発症初期の所見は骨膜炎に伴う骨端核の外側偏位のみ事が多いで。単純写真の正面像やと骨硬化などの所見の確認が難しい事があるから側面像も必要や。
進行に伴って壊死部の骨吸収や分節化が起きてくるねん。つまり大腿骨頭端全体の硬化像を認めるって事や。
他の参考所見としてtear-drop distanceとかもあるな。Tear-drop distanceは臼蓋の内側縁と腸骨内側壁で形成される涙滴様の陰影の事や。臼蓋内側壁と大腿骨頭骨端核の距離に相当して、左右で比較して、ここの距離が拡大しているとペルテス病や化膿性関節炎などを疑うサインの事が多いで。
MRI
MRIやと壊死範囲の診断や軟骨、骨膜炎の評価も出来るで。壊死範囲の特定は矢状断が有効やとも言われとる。
壊死による辺縁の不整像と扁平化、T1強調、T2強調で低信号を示す事が多いな。T1強調で確認出来る軟骨下骨折線はlow intensity band像とも言われて、突発性大腿骨頭壊死とペルテス病の鑑別ポイントにもなってるで。
後は骨シンチも壊死した部位への集積欠損があるから早期診断に有効とされとるわ。簡単にまとめるとこんな感じやな。
|
種類 |
画像所見 |
ペルテス病 |
単純Xp |
初期は骨端核の外側偏位 進行するに従って骨硬化などを認めるようになる 側面像も撮影する Tear-drop distance |
MRI |
壊死範囲は脂肪抑制画像で高信号になり矢状断が有効な事が多い 軟骨、骨膜炎の診断も可能 骨頭骨端核の辺縁不整と扁平化、T1強調、T2強調で低信号 |
鑑別診断のポイント
単純性股関節炎 化膿性股関節炎 他
次に鑑別診断についてや。これは単純性股関節炎や化膿性股関節炎、大腿骨頭辷り症なんかや。
単純性股関節炎は股関節痛がある事と症状が10日前後で消失する事、単純写真で骨変化が無い事が鑑別点や。
化膿性股関節炎は関節液貯留なんかは似てるんやけど発熱や炎症症状を伴う事が鑑別点やな。
大腿骨頭滑りはより高年齢で発症するのが特徴で、単純写真で辷りの有無を確認する事で鑑別が可能や。
こんな感じでペルテス病と同じような所見の疾患も結構あるんやで。
|
鑑別疾患 |
鑑別点 |
ペルテス病 |
単純性股関節炎 |
股関節痛があるのと10日程度で症状が消失する事 |
化膿性股関節炎 |
発熱や炎症所見を伴う |
|
大腿骨頭辷り |
発症年齢がもう少し高齢で単純写真で辷りが確認できる |
他に股関節関連はこんなのがあるから、合わせて覚えておいてもらえるとええで。
まとめ
今日はペルテス病についてレクチャーしたで。ポイントは3つや。
主に10歳以下の小児に発症する原因不明の疾患で、早期発見と早期治療が重要、かつ股関節ではなく膝の痛みを訴える事も多い
単純写真では大腿骨頭端全体の骨化像に対して、突発性大腿骨頭壊死は帯状硬化像を示し、両者の鑑別ポイントになる
単純写真では側面像、MRIでは矢状断の撮影も診断に有効
この辺りやな。他にもTear-drop distanceみたいな重要な所見があったからもう一度確認しておくようにな。
ペルテス病はいかに骨頭を潰さないかがその後のQOLにおいて重要やで。その為には早期で発見する事が重要やねん。
実際に遭遇した時にちゃんと見つけられるようにな。
ほな、精進しいやー!