【臨床症状】50代 下腹部痛 CRP:4.15、WBC:15600
【問題】画像所見と診断名は?
➡ 冠状断
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- S状結腸に周囲脂肪組織濃度上昇を伴った壁肥厚を認める
- その周囲に腹腔内遊離ガスと膿瘍が確認でき、これらは消化管穿孔によるものと考えられる
- また腹膜の肥厚も認め、腹膜刺激症状もある事から腹膜炎も合併していると考えられる
- 上記よりS状結腸穿孔、腹腔内膿瘍、腹膜炎疑い
- 他、胆泥を認め慢性胆嚢炎があると考えられる
【消化管穿孔】
・下部消化管穿孔の原因は悪性腫瘍が多かったが、今は憩室炎による頻度が高くなってきている
・他の原因としては、炎症性腸疾患、虚血、潰瘍、宿便、外傷、異物、医原性など
・結腸穿孔は腹腔内への遊離穿孔の形態が多く、糞便性腹膜炎を来すことが多い
・穿孔部位が腸間膜内の場合は腹膜炎を来しにくく、症状が軽微な事もある
・腹膜内器官→横行結腸、S状結腸、空腸、回腸
・後腹膜期間→上行結腸、下行結腸、直腸
・上記のように結腸のどこが穿孔したかで、腹腔内か後腹膜内かのある程度の判断ができる
・消化管穿孔の画像診断の役割は次の通り
- 消化管外ガスの検出:ガスの存在する部位や量によって、上部消化管か下部消化管穿孔かの判別の材料になる
- 穿孔部の直接所見:穿孔部位や個数の診断など
- 原因の診断:憩室炎や潰瘍、悪性腫瘍などの特定
- その他:腹膜炎の所見や膿瘍形成の有無など
・治療法は基本的に手術による穿孔部位の閉鎖(大網を使う事が多い)
参考書籍:すぐ役立つ救急のCT・MRI 改定第2版