肺炎(pneumonia)

なんやねん、この胸のドキドキ。息苦しいねん。

おぉ!恋ですか?恋いに恋い焦がれて恋いに泣く。

GLAYやん!グロリアスやん!!ってか今の若い人でグロリアスを知ってる人は少数なんちゃうん?

ってちゃうねん!これやと入り方が気胸の時と同じやろが。今日はドキドキして息苦しいからの肺炎でしたの流れやん。前回で学んでーな。

そんなんやと、ホンマに海面上昇するで?南極の氷が溶けんねんで!?コウテイペンギンも戸惑うわ。なんか最近、海面高くない?ってな!

そんなん嫌やろ?ワシも海の生態系を崩したくないねん。そのカギは自分が握ってんねんで!

肺炎(pneumonia)とは

肺炎の概要

まず最初に言っておくで。一言で肺炎と言っても原因によっていくつものパターンに別れとる。
そしてメチャメチャ多いねん。加えて肺炎以外の疾患でも同じような所見をする事も多くて放射線科医でも診断に苦慮する事も多いんや。
せやから、これから話すのは大きな枠組みとして、かつ、いくつかある分類方法の中の一つとして聞いてや。

分かりました。

まず肺炎の概要やけど、肺炎と名のつくもので感染性肺炎や間質性肺炎、急性好酸球性肺炎なんかがあんねん。もちろん他にもよるで。これら全部やるとキリが無いから今回は感染性肺炎に度絞って話していくで。

肺の解剖

まずは肺の解剖からや。このあたりはサラっとにするで。詳しくは別で解説してるから、そっちを参考にしてな。

肺の解剖

感染経路による肺炎分類

まず肺炎の分類からや。最初に言っておくと肺炎分類にはいくつかのパターンがあるで。

肺炎分類

まずは感染経路による分類からや。成人肺炎診療ガイドライン2017によると、肺炎は次の3つに分類されてとる。

  • 市中肺炎 (community acquired pneumonia:CAP)
  • 院内肺炎(healthcare-associated pneumonia:HAP)
  • 医療、介護関連肺炎(nursing home-healthcare associated pneumonia:NHCAP)

市中肺炎

市中肺炎は基礎疾患があらへん人が発症する肺炎で、起因病原体は肺炎球菌、インフルエンザ桿菌、マイコプラズマなんかが多いと言われるで。早期に診断して適切な治療を開始すれば完治が期待できるパターンや。

院内肺炎

院内肺炎は「入院48時間以降に新たに発現した、基礎疾患を有する患者の肺炎」と定義されてて、起因病原体は黄色ブドウ球菌、緑膿菌、肺炎桿菌なんかや。人口呼吸器関連肺炎(ventilator-associated pneumonia:VAP)も含まれてて、これは気管挿管や人口呼吸器開始48時間以降に発症した肺炎や。緑膿菌やMRSAが原因菌で予後が悪い事で知られてるで。免疫力が低下している場合が多くて、VAPに限らずHAPは予後が悪いと言われとる。

医療介護関連肺炎

医療介護関連肺炎は、「市中肺炎と院内肺炎では分類できない中間に位置する肺炎群」となっとる。誤嚥性肺炎なんかが該当するで。

成人肺炎診療ガイドラインの分類

2017年の成人肺炎診療ガイドラインのフローチャートによると、肺炎はCAPとHAP/NHCAPの2つに分けられるんやけど、これは2023年改訂版ではCAP、HAP、NHCAPの3つに分けられる予定らしいな。これは当初は2つ分類した方が治療法選択のアルゴリズムに有効やという事やったんやけど、実際は抗菌薬適性使用の観点から問題となっているからとなっとる。この辺りは随時追記していくで。

他(間質性肺炎、好酸球性肺炎)

ちなみに間質性肺炎は間質がびまん性炎症や線維化などで起きる肺炎や。ARDSに移行する事もある予後が悪い疾患も含まれてるで。急性好酸球性肺炎は喫煙や薬剤の過敏性反応でおきる肺炎や。喫煙の再開などで見る事があるな。以下の記事を見てくれや。

原因菌による肺炎分類

また肺炎は原因菌によっても分類されてんねん。大きく分けて次の3つや。

  • 細菌性肺炎
  • ウィルス性肺炎
  • 非定型肺炎

細菌性肺炎

まず細菌性肺炎やけど原因はその名の通り細菌感染や。細菌は肺炎球菌がメインで他にブドウ球菌、グラム陰性桿菌なんかがあるで。ほとんどそのへんにある細菌やな。これらが体内に入った時に体の抵抗力や免疫力が弱まってると発症すんねん。せやから高齢者にも多いわ。

飛沫感染や接触感染が主なルートや。細菌やから抗生物質が良く効くで。

臨床症状としては、発熱や咳、息切れ、倦怠感なんかや。免疫不全や慢性の臓器障害、喫煙歴などが重症化のリスクファクターとして知られてるで。

ウィルス性肺炎

ウィルス性肺炎はインフルエンザウィルス、麻疹ウィルス、水痘ウィルス、サイトメガロウイルスなんかやな。成人の場合はインフルエンザウィルスが最多やで。感染経路は飛沫や接触感染や。

またインフルエンザ肺炎は3つに分類されてとる。

  • 純ウィルス性肺炎:インフルエンザウィルスによって発症した状態
  • 2次性細菌性肺炎:インフルエンザウィルス肺炎治療後に損傷した気道上皮から細菌が感染し再度肺炎を発症した状態
  • ウィルス/細菌混合性肺炎:インフルエンザウィルス肺炎と細菌性肺炎が混在している状態

非定型肺炎

一方の非定型肺炎の原因はマイコプラズマ肺炎やクラミジア肺炎が多くて、若い人に多いという特徴があるな。

非定型型肺炎の特徴は、肺炎らしい症状が伴わない事があるという事やねん。呼吸器症状の他に頭痛や吐き気、筋肉痛なんかが起きる事があるで。

感染経路は飛沫感染が多いな。症状が軽度な事も多くて、肺炎と診断されずに軽快してるケースも多いとの事や。

ちなみに、これらは抗菌薬が効くねん。 つまり原因によって治療方法が変わってくんねんな。ペニシリンなんかは細菌性には抗生物質が効くんやけど、非定型肺炎には効かへんねん。こういった理由があって肺炎を分類してんねん。

肺炎は年間7万人近くが死亡しているなんてデータもあるし、死因で5位にもランクされてんねんで。中々の病気やで。

肺炎の重症度分類

肺炎の重症度分類にはいくつかあんねん。A-DROPシステムCURB-65システムなんかがあるで。今回はA-DROPシステムを記載しておくわ。

  • A(Age):男性70歳以上、女性75歳以上
  • D(Dehydration):BUN21mg/dl以上、または脱水有り
  • R(Respiration):SpO2が90%以下(PaO2が60torr以下)
  • O(Orientation):意識変容あり
  • B(Blood Pressure):血圧(収縮期)が90mmHg以下

【重症度判定】

  • 軽症:上記5項目のいずれも満たさないもの
  • 中等度:上記項目の1つまたは2つを有するもの
  • 重症:上記項目のうち3つを有するもの
  • 超重症:上記項目の4つ、または5つを有するもの ただし、ショックがあれば1項目のみでも超重症とする

こんな感じやで。参考までにな。

画像所見

肺炎の画像所見

次に画像診断やけど、肺炎のやっかいなところが、同じ病原体でも患者の免疫状態などによって違う画像所見を呈したりすんねん。そこで鑑別方法に肺胞性肺炎(airspace pneumonia)と気管支肺炎(bronchopneumonia)に分類する方法があって、これが鑑別において重要な位置をしめとる。

肺胞性肺炎は大葉性肺炎、気管支肺炎は小葉性肺炎とも呼んだりするわ。これらに肺膿瘍も加えてもええで。

肺胞性肺炎

肺胞性肺炎は非区域性の分布をするで。簡単に言うと、気道に沿わずに広がるパターンの事や。

病原体が肺胞に達した後に発症して、炎症性浮腫によって肺胞腔内が滲出液で満たされんねん。その後に滲出液がKohn孔を介して横方向に広がる為にそう見えんねん。せやから画像所見的には浸潤影やを示すで。浸潤影は気管支区域を越えて非区域性の分布になるで。

加えて内部に開存した気管支透亮像を認める事もあるわ。滲出液が充満しきれていない箇所はすりガラス影を示すで。これが肺葉全体に広がると大葉性肺炎になるわ。

気管支肺炎

次に気管支肺炎やけど、小葉中心性粒状影・小葉性陰影が多発性に認められるわ。数㎝大のコンソリデーションが区域性、斑状分布に混在するのが特徴や。

病原体が終末細気管支などの気道粘膜を障害した際に、周囲の肺胞領域に炎症細胞が広がんねん。この時に滲出液が出るんやけど、その滲出液が少ないために病変が限局してそう見えんねん。それらが融合して浸潤影や気管支壁肥厚を示す事も多いで。これがさらに進展すると小葉全体に波及し小葉性肺炎となんねん。

気管支肺炎は胸膜直下に病変があらへんのも特徴や。

肺膿瘍

ちなみに細菌性肺炎では肺膿瘍になるパターンもあるで。化膿性の病原菌が肺実質へ直接傷害した結果、壊死性空洞病変になんねん。空洞化する流れは壊死組織が排出されるためやで。この空洞内に膿が溜まる事もあるわ。それが画像所見になると、空洞壁は比較的厚く内部辺縁は平滑、液面形成を伴う事もあったり、膿胸を合併する事もあるで。

これらは細菌性肺炎と非定型肺炎があって、その両方での分類に肺胞性肺炎や気管支肺炎、肺膿瘍があるようなイメージや。

画像所見起炎菌
肺胞性肺炎浸潤影 気管支透亮像 辺縁にすりガラス影 非区域性肺炎球菌 肺炎桿菌 レジオネラ
気管支肺炎小葉中心性粒状影 多発小葉陰影 区域性インフルエンザ桿菌 黄色ブドウ球菌 マイコプラズマ
肺膿瘍空洞形成 内部壁は平滑 液面形成を伴う事あり 黄色ブドウ球菌 肺炎桿菌

他には小葉中心性分岐状構造(tree-in-bad appearance)なんかの所見もあるで。

tree-in-bad appearanceってのは、本来見えへん呼吸細気管支が分岐状に明瞭化する所見や。これも肺炎を疑う所見の1つとも言われてるで。

実際の症例

40代男性で発熱と咳があって、CRPとWBCの上昇を認めて精査となった例や。浸潤影と周囲にすりガラス陰影のコンソリデーションを認めるで。肺胞性肺炎疑い例や。

胸部CT-肺胞性肺炎

別の例や。区域性のコンソリデーションで気管支透亮像を認めるで。気管支肺炎疑いや。

胸部CT-気管支肺炎

こっちは小葉中心性のコンソリデーションの例や。気管支肺炎やで。tree in bud が確認出来るな。

胸部CT-気管支性肺炎

右S6に小葉中心性の陰影や。

胸部CT-小葉中心性肺炎

肺炎は肺胞性肺炎、気管支肺炎で画像所見を終わらせてもええんやけど、そこから患者情報や事前データを参考に、ウィルス性肺炎でもニューモシスチス肺炎疑いとすると、更にエエ感じや。

鑑別診断のポイント

鑑別診断について

鑑別診断で一番手にあがるのが肺癌との鑑別や。中には肺炎と肺癌の両方が存在してるのもあるから注意や。

重要なのは小葉中心性陰影を認めたからといって、肺炎とは限らないって事や。小葉中心性の陰影を呈する疾患は、膠原病関連、喫煙関連、過敏性肺臓炎なんかがあるで。ただ肺疾患は免疫状態や他の条件で画像所見が変わってくる事もあんねん。鑑別が難しい場合も多いんやけど、その中でも特異的な所見を持っている疾患もあるから、それは覚えておくようにな。

まとめ

今回はボリュームが多いねんから、ポイントは簡単に2つにまとめるで。

分類にはいくつかの方法があり、その中でも細菌性と非細菌性の分類は治療法が異なるため重要

小葉中心性陰影、区域性コンソリデーションなんかが肺炎を疑う代表的な所見

こんなところや。肺胞性肺炎、気管支肺炎で病変の広がり方が違うからな。そこも覚えておくとええで。基本的に呼吸細気管支以降はCTで見えへんねんけど、これが見える時は何かしらの感染症の疑いが大きいって事も言えるで。

肺炎と一言で言ってもその内容はかなりボリュームが多いねん。ただそれぞれに特徴的な画像所見があったりするから、地道に覚えていくしかないんやで。

次回は間質性肺炎について話していこかな。

ほな、精進しいやー!