気胸(pneumothorax)

今回は気胸や。気胸ってどんな状態の事が知ってるか?

何らかの理由で胸腔内に空気が入り込んでしまって肺が虚脱する事ですよね?

気胸(pneumothorax)とは

気胸の概要

ビンゴや!多少は出来るようになってきたな。気胸は何らかの原因によって肺内の空気が肺外に漏れ出てしまっている状態や。具体的には胸腔内に漏れてしまっているパターンやな。この時、漏れ出た空気が肺や心臓、血管を圧迫している状態が緊張性気胸と呼ばれる状態や。この緊張性気胸の場合は、早急に対処せんと生命に関わってくる事が多いから注意が必要やで。

気胸は原因によって、大きく2つに分けられんねん。自然気胸と外傷性気胸や。順に話していこか。

緊張性気胸

緊張性気胸は胸腔内に空気がどんどん溜まっていく事で、縦隔偏位を起こして対側の肺や心臓を圧迫して静脈還流が減少、低血圧、心停止までありえる状態の事や。これは生命に関わるから一刻も早く治療せなアカンやつや。緊張性気胸は自然気胸と外傷性気胸の両方で起こる可能性があるで。ただこれはベッドサイドで判断される事が多いから、画像診断まで回ってくる頻度はそれほど多くないかもしれん。

気胸の原因
自然気胸

自然気胸はブラやブレブの破裂、肺疾患、結核や間質性肺炎などが原因や。疾患以外の自然気胸は男性で身長が高くてやせ形に多いで。原因は良く分かっとらん。突発的に起きる事がほとんどや。偶発的に見つかる気胸のほとんどがこれや。

外傷性気胸

外傷性気胸は、文字の通りや。交通外傷などが原因で気胸が発生するんや。高エネルギー外傷が原因やな。交通事故の他に転落事故なんかもあるで。

肺の解剖

次に肺の解剖についてや。肺は胸膜に覆われている臓器や。胸膜には臓側胸膜と壁側胸膜があって、この間の胸膜腔に少量の胸水がある事で、呼吸による肺の膨張をスムーズにしている役目があんねん。気胸はここに空気が溜まっている状態の事やで。

肺の解剖

他に肺区域も重要やで。それはこっちのレクチャーで話しているから参考に見てくれや。

臨床症状と重症度

臨床症状は胸痛が大半や。肺虚脱が高度の場合は痛みは軽減する事もあるで。また中には痛みをそれほど感じひんケースもあって、偶発的に見つかる場合もあんねん。

他には呼吸困難や乾性咳嗽、つまり乾いた咳や。重症度が上がるとチアノーゼ、血圧低下なんかも見られる事があるで。

気胸には重症度があって、その分類は次の通りや。

重症度所見対応
軽度肺尖が鎖骨より頭側経過観察
中度軽度と高度の中間胸腔ドレナージが望ましい
高度肺全虚脱(もしくはそれに近い状態)胸腔ドレナージが必要

他には血気胸にも注意やで。空気だけじゃなく血液が混ざる事で、自然気胸の中では比較的希なんやけどな。割合的に10%未満と言われているわ。

治療法

治療法は胸腔ドレナージやで。ドレナージで胸腔内の空気を早く外に逃がして圧を下げんと心臓なんかの機能が弱まってしまうねん。その後で原因の治療をする事が多かな。軽症の場合は安静待機の事もあるし、重症度が高かったり出血をしている場合は、開胸して手術を行う事もあるで。

画像所見

気胸の画像所見

次に画像所見についてや。これはCTを撮影すれば一目瞭然で分かるで。ただ最初は胸部X線で検査する事が多いやろうから、Xpでの所見を話していくで。

単純写真(胸膜線と無血管領域の確認、Deep Sulcus Sign)

まず立位や。立位の場合は臓側胸膜線の確認とその外側の無血管領域が特徴や。気胸が疑われたら胸膜線を丹念に見ていく必要があるで。

一方で臥位の場合は難しい事が多いな。何故かというと虚脱がAP方向に起きるから胸膜線の変化が見えてこない事が多いねん。横隔膜付近にDeep Sulcus Signなんかが出とる時もあるから見逃がさへんようにな。

ちなみにDeep Sulcus Signは重力の関係で、臥位の場合に空気が肺底部の腹側に移動する事で見られるサインや。肋骨横隔膜角が深くなる事を言うで。ただ正常の場合と見分けるのが難しい場合があるから、以前の画像と比較出来ればより正確に診断できるな。

CT画像(肺の虚脱)

CT画像では一目瞭然や。気胸がある方に肺の虚脱を認めるで。冠状断で確認すると全体像が見れる事が多いな。

実際の症例

40代男性 息苦しさと胸痛

さて実際の画像や。右肺に気胸を認めるで。単純写真で右肺に血管領域の確認が出来ひんやろ。明らかに左右差があるのが分かると思う。

胸部CT-気胸

20代男性 息苦しさ

こっちは20代男性の症例や。気胸治療後の画像もあったから載せておくわ。上段が気胸発見時、下段が治療後の単純写真とCT画像やで。

胸部CT-気胸治療前後

鑑別診断のポイント

鑑別診断について

気胸の鑑別診断のポイントや。正直言うと似たような所見の疾患はあらへん。しいて言うなら、自然気胸と外傷性気胸の鑑別や。ただこれも臨床経過で分かる事が多いで。

ちなみに呼吸器の先生に言わせると気胸は単純写真で十分診断可能で、CTまで撮影するのはまだ半人前だとかなんとかって話しを聞いた事があるで。

まとめ

気胸のまとめや。ポイントは1つだけや。

単純写真の無血管領域の有無とCT画像での肺の虚脱

所見自体は分かりやすいからスルーするとかはあらへんと思うねん。ただ重症度まで知っておくと、どのラインから緊急性が高いのかが分かるようになるで。上でも話したけど、緊張性気胸の場合はすぐにドレナージが必要な事が多いから、画像診断まで回ってくる事は多くあらへんで。メインは中等度以下の自然気胸や外傷性気胸やで。

基本的に気胸はCT撮影まですればほぼ指摘は出来んねん。ただ技師はんでも単純写真で所見が指摘出来る様になるとええな。

恋いに恋い焦がれ恋いに泣く~♪

いきなり何ですか?

・・・GLAYや。そっか、知らんか。恋の息苦しさと気胸をかけたつもりなんやけどな。
ちなみにグロリアスって曲なんや。ワシの青春時代や。
ってな、どうでもいい話しはもうええか。
ほな、精進しいやー!