ちょっと新しい試みをスタートしてもええか?放射線の発展に寄与した人達のダイジェストを紹介していこ思うてんねん。あくまでざっくりやで。初回は我らがレントゲン大先生や。
ほう。
- 1845年にプロセイン王国(今のドイツとオーストリアあたり)で生まれ77歳で死ぬ
- 先生にいたずらした友達をかばったりする良い人だった
- でもそのせいで希望の学校に進学出来なかった
- 放射線発見は全くの偶然で、テンション爆上がりしてしまい発見した日から7週間ほど実験室に引きこもった
- X線のXは数学の未知を表すXからとった
- 発表後大反響となり1896年には世界中にX線マニアが生まれた
- でもX線はみんなの物と考え、特許は一切取らない良い人だった
- 11月8日はレントゲンの日
この人がおらんとワシらの仕事が存在してへんからな。レントゲン大先生の概要はこんな感じや。
特に7週間引きこもってた時は終始不機嫌やったらしいで。実験につぐ実験で疲れてたんやろな。上手くいかへん事も多かったやろし。最後は実験室にベッドまで持ち込んだっちゅー話しやで。とんでもないストイックさや。今でいうベンチャー社長みたいな感じなんかな。
個人的に特許を取らへんかったのはメチャ凄いことやったと思うで。これがあると他の人の研究が進まへんかったやろし、放射線の進歩がかなり遅れてたんちゃうかな。一方で当の本人は30歳で大学教授になってるしな。やっぱりノーベル賞を受賞する人ってのは頭の出来が違うのかもしれんで。
もくじ
化膿性脊椎炎(pyogenic spondylitis)とは
化膿性脊椎炎の概要
今日は化膿性脊椎炎についてレクチャーしてくで。
まず感染性脊椎炎っていうくくりがあって、その中に化膿性脊椎炎と結核性脊椎炎があんねん。
両方とも何らかの原因で椎体に炎症が起きた状態の事で、原因菌は細菌と結核菌で分けられるで。細菌性はブドウ球菌がほとんどや。
化膿性脊椎炎
化膿性脊椎炎は血行性感染や。若い人は椎体終板付近に感染する事が多くて、最初に椎間板炎を認める事が多いな。そこから肉芽腫や膿瘍形成から壊死っちゅー経過を辿んねん。
成人やと椎体の血行が乏しいために椎体前方の軟骨付近から炎症が発生するで。分布は2椎体がほどんどで、3椎体まで波及する事は希やで。血行性感染の他に直接感染もあるで。
つまり、椎体前方の椎体終板に感染して、後方から上下の椎体に炎症が波及するという流れになるで。
化膿性脊椎炎は脊椎椎体炎と椎間板炎が同時に起こる事が多いのが特徴なのを覚えとき。
男性優位で40~50代に多いという統計もあって、リスクファクターとして免疫抑制状態や糖尿病、アルコール多飲があるで。
結核性脊椎炎
結核性脊椎炎は脊椎カリエスとも言うな。細菌と結核菌は治療法が違うから早期での鑑別が重要なんや。
概要 | |
---|---|
結核性脊椎炎 | 筋骨格系の結核のうち~60%程度と最多 血行性感染がほどんどと考えられている 胸椎、腰痛に多い 進行すると石灰化を伴う腸腰筋膿瘍を認める事がある |
感染性脊椎炎の概要
化膿性脊椎炎 | ・感染性脊椎炎の1つ(他に結核性脊椎炎がある) ・原因菌は黄色ブドウ球菌が多いが弱毒菌もある ・感染軽度は血行性経路が多く肉芽腫や膿瘍形成から壊死に至る ・椎体炎と椎間板炎が同時に起きる事が多い ・男性に多く高齢者と幼児に多い(つまり免疫や抵抗力が低い人) ・発熱やCRPが上昇、また背部痛を訴える事もある ・化膿性脊椎炎と結核性脊椎炎の鑑別は治療法の点からも重要だが困難な事も多い ・腰椎、胸椎に多く頚椎は少ない ・化膿性は腰椎、結核性は下部胸椎に多い傾向がある ・病変は2椎体までで3椎体にまで及ぶ事は少ない(早期には1椎体に限局する事もある) ・進行すると、硬膜外膿瘍や神経障害などの後遺症が残る事もあるため早期に診断する事は重要 |
脊椎の解剖
次に脊椎の解剖についてや。これは別のところでも何回も出てきてるからサラッとにしとくで。
化膿性脊椎炎の原因と臨床症状
原因は上記で話した通り細菌や結核菌感染や。この感染経路は血行感染がほどんどなんやけど、他に外傷やったり手術での直接感染が起きたりする事もあるで。
臨床症状としては、3パターンあると言われとる。
- 急性発症型 高熱と激しい痛み
- 亜急性発症型 微熱と痛み
- 慢性(潜行性)発症型 軽微な痛み(発熱はなし)
急性のほうが痛みが強いのが特徴や。これはなんとなくでもイメージがつくと思う。
治療法としては、化膿性脊椎炎は抗菌薬の使用、脊椎カリエスは抗結核薬を使用すんねん。炎症で骨破壊が進行してる時は、手術で骨固定術や骨移植術が行われるらしいな。
画像所見
化膿性脊椎炎の画像所見
画像所見についてや。
単純写真やCTやと椎間腔狭小化や椎体終板骨破壊、骨硬化などを認めるで。
MRIやと脂肪抑制画像が感度がメチャ高いねん。炎症がある部位は高信号を呈して指摘しやすいで。あとは膿瘍の検出には拡散強調像が有効やで。ちなみに単純写真にはGriffiths分類ってのが有名やで。
化膿性脊椎炎 | ・単純写真やCT画像では椎間腔狭小化や椎体終板骨破壊、骨硬化などを認める ・単純写真ではGriffiths分類というのがある ・MRIでは上記に加え椎間の異常信号を認める ・T1強調では低信号、T2強調や脂肪抑制では高信号を示す ・進行すると硬膜外や傍椎体膿瘍形成がみられ、拡散強調が有効な事もある ・椎間板を挟んだ上下2椎体に病変があり、3椎体以上はほどんどない(早期の場合は1椎体のみに限局している事もある) ・化膿性脊椎炎では臨床所見上では寛解していても、画像上は進行しているように見え、遅れて寛解する事がある |
部位別のMRI画像所見 | |
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椎間板 | 椎間板隙の狭小化と炎症による信号変化(T2WIで高信号、T1WIで低信号)、および造影効果、intranuclear cleftの消失 |
椎体 | 病的椎間板の上下椎体で炎症信号変化(T2WIで高信号、T1WIで低信号、造影効果あり) |
周囲組織 | 炎症波及(T2WIで高信号、T1WIで低信号、造影効果あり)、また膿瘍形成もある |
Griffiths分類(化膿性脊椎炎) | 1期(早期):椎間板腔の狭小化や椎体縁の不整像など 2期(破壊期):骨破壊や骨萎縮など 3期(骨硬化期):骨硬化、骨棘形成など |
実際の症例
70代男性 背部~腰痛精査
次に実際の症例や。Th9-10に異常信号を認めて椎間板炎も併発してるのが分かるやろ。化膿性脊椎炎の診断となった例や。
80代男性 背部痛精査
こっちも同様に化膿性脊椎炎の診断となった症例や。Th6-7の椎体前方に脂肪抑制で高信号を認めるで。
鑑別診断のポイント
化膿性脊椎炎と結核性脊椎炎
化膿性脊椎炎と結核性脊椎炎
化膿性脊椎炎と結核性脊椎炎の鑑別方法やけど次のような項目があると言われとる。ただあくまで傾向やから注意してな。
椎間腔 | 伸展程度 | 膿瘍形成 | 造影効果 | その他 | |
---|---|---|---|---|---|
化膿性脊椎炎 | 早期化から狭小化する | 2椎体以下が多い | 境界不明瞭で壁は厚く不整 | 造影効果は強く均一 | 石灰化やスキップリージョンは稀 |
結核性脊椎炎 | 早期は保たれる | 3椎体以上になる事も | 境界明瞭で壁は薄く平滑 | 化膿性ほどではなく不均一な事も多い | 石灰化やスキップリージョンはしばしば起きる |
他の鑑別疾患
他の鑑別疾患として、椎間板や椎体変性(Modic1型)や転移性腫瘍、脊椎関節症なんかがあるで。これらと化膿性脊椎炎(椎体炎)との鑑別は椎体炎では椎間板がT2WIで高信号になるのに対して、Modic1型では信号変化が無い事、隣接する軟部組織病変の欠如や。転移性骨腫瘍やと椎間板が保たれる事と、病変が他の椎体へ直接浸潤しない事、椎体後方の椎弓や棘突起を侵す頻度が高い事が鑑別ポイントやな。
Modic分類
せっかくやからModic分類についても話しておくで。っていうか、さすがにModic分類は聞いた事があるやろ?
Modic分類は「椎間板の変性に伴って生じる椎間骨軟骨症による椎体終板下の骨髄信号変化の分類」とされとる。
簡単に言うと、加齢に伴う変性って事や。
椎体の変化を画像所見と経時的に分類したもので、3種類あるから順に解説していくで。
- Modic1型・・・1型は椎体変性の急性期にあたるで。終板周囲の骨髄浮腫変化や。つまりT2WIで高信号、T1WIで低信号になるで。
- Modic2型・・・これは該当部位の脂肪変性を見てるで。脂肪やからT1WIでは高信号で、T2WIでは等~高信号になるわ。
- Modic3型・・・これは骨硬化を見てる段階や。T1WI、T2WI共に低信号として呈するで。
表にするとこんな感じや。
Modic 1型 | T1WI:低信号 T2WI:高信号 |
Modic 2型 | T1WI:高信号 T2WI:等~高信号 |
Modic 3型 | T1WI:低信号 T2WI:底信号 |
鑑別ポイントしては、椎体炎では椎間板がT2WIで高信号になるのに対してModic1型では信号変化が無い事や、隣接する軟部組織病変の欠如、椎間板の変性に伴うvacuum phenomenon(真空現象)やと言われとる。
転移性骨腫瘍
転移性骨腫瘍は病変が椎間板を乗り越えて他の椎体へ直接浸潤しない事、椎体後方の椎弓や棘突起を侵す頻度が高い事なんかやな。
覚えておきや。
まとめ
今日は化膿性脊椎炎をメインに結核性脊椎炎についてもレクチャーしたで。ポイントは3つや。
複数椎体にまたがる病変を見たら化膿性脊椎炎を鑑別に挙げる
血行感染がメインで化膿性脊椎炎と結核性脊椎炎は治療法が異なる為に鑑別する事が重要だが、画像上は難しい事を知っておく
臨床上の寛解と比較して画像上の寛解は遅れて認められる事がある(画像上の寛解の方が遅い)
こんな感じやな。椎体に高信号を認めるからといって圧迫骨折と間違わんようにな。椎間板の狭小化と信号変化を伴う、椎体浮腫の有無がキーやと思うで。後はそもそも骨折線があるか無いかで判断出来るやろしな。
この辺りは最初は迷う事もあると思うねん。でも数をこなしていくと経験的なもんで段々と分かってくんねん。ポイントは間違ってもええから自分なりの所見と診断をしておく事やな。なにも最終レポートに載る訳やあらへん。やってみて損はあらへんやろ。
レントゲン先生もブチ切れながら実験を繰り返していったからな。最初から上手く人なんておらんのやで。
そこを知っておくと必要以上に凹まんで済むやろ。
さて、今日はこのへんにしとこかな。次の偉人伝を仕込まなアカンからな。
ほな、精進しいやー!