腎損傷(renal injury) 膵損傷(pancreatic injyry) 腸管損傷(bowel injury)

なぁ、このアプリで何が出来るん?

あぁ、これは140字程度の文章を世界に向けてつぶやく事が出来るんです。
いいつぶやきだとフォロワーといってお気に入りに登録してくれる人も出てきますよ。
っていうかX(旧twitter)くらい知ってるでしょ?

知ってるけども使った事が無かってん。そろそろワシも世界デビューしよかな思て、勇気を出して聞いてみたんよ。
ほら、ワシって日本だけに留めておくのもったいない逸材やん?

腎損傷(renal injury) 膵損傷(pancreatic injury) 腸管損傷(bowel injury)

腎損傷 膵損傷 腸管損傷の概要

いずれワシは世界に羽ばたく人間やねん。

ってな訳で、今日は腎損傷、膵損傷、腸管損傷や。

これら3つは基本的に外傷が原因で発生するで。まずは腎損傷からや。

腎損傷

腎損傷は、脾損傷、肝損傷に次いで多い損傷や。血尿を90%以上で認めるで。

主な原因は外傷や側腹部への暴行なんかや。交通事故や転落なんかで損傷するケースをよく見るな。

腎は被膜、Gerota筋膜、後腹膜に覆われている関係で、被膜外出血を起こしてもタンポナーデ効果でショック症状まで至らない事が多いと言われとる。逆にショック症状がある時は他の部位も損傷してる可能性があるって事やで。

ちなみに腎損傷の80%は軽度かつ自然治癒可能と言われとるんや。

損傷分類

次に損傷分類や。損傷の程度によってⅠ型からⅢ型まで分類されんねん。

数字が大きくなる方が重症度も上がっていくで。

腎損傷分類内容
Ⅰ型 被膜下損傷 subcapsular injurya. 被膜下血腫 subcapsular hematoma
b. 実質内血腫 intraparenchymal hematoma
腎被膜の連続性が保たれていて、血液の被 膜外への漏出がない損傷形態をいう
被膜 下血腫(Ia)と実質内血腫(Ib)がある
Ⅱ型 表在性損傷 superficial injury 腎皮質に留まると思われる損傷があり、腎 被膜の連続性が保たれていない場合(腎外 への出血を認める場合)をいう
Ⅲ型 深在性損傷 deep injurya. 単純深在性損傷 simplede deep injury
b. 複雑深在性損傷 complex deep injury
損傷が腎実質の1/2以上の深さにおよぶ場 合をいう
おおむね腎髄質に達する場合をいう。離断や粉砕があれば b とする
腎損傷の分類
Appendix 合併損傷の表記
腎茎部血管損傷(PV)、血腫がGerota筋膜内に留まるもの(H1)、超えるもの(H2)
尿漏がGerota筋膜内に留まるもの(U1)、超えるもの(U2)
※日本外傷学会臓器損傷分類委員会:腎損傷分類 2008(日本外傷学会).日外傷会誌 2008;22:265.

膵損傷

次に膵損傷やけど、これは範囲が狭い外傷で起こるとされとる。

(交通)外傷によるエネルギーと椎体なんかに挟まれて損傷する事で起きんねん。例えば交通外傷のハンドル外傷や、暴行で腹部にダメージを受けたとかやな。

ちなみに、受傷部位の頻度は、体部が2/3、頭部と尾部に1/3の割合や。

主膵管損傷は最悪の場合、死亡する事もありえるから、早期手術の対象になるって事も覚えておいて損はないで。

損傷分類

次に損傷分類や。これも損傷程度に応じてⅠ型からⅢ型まであるで。

膵損傷分類内容
Ⅰ型 被膜下損傷 subcapsular injury 膵被膜の連続性が保たれて、膵液の腹腔内漏出がない損傷形態である
この損傷形態 の中には実質の挫滅(contusion)や実 質内血腫を含む
Ⅱ型 表在性損傷 superficial injury 被膜が損傷され実質損傷の深さは実質径 の1/2未満とする
そして主膵管の損傷を 伴わないものをいう
Ⅲ型 深在性損傷 deep injurya. 単純深在性損傷 simplede deep injury
b. 複雑深在性損傷 complex deep injury
実質径の1/2以上の実質損傷、または主膵 管の損傷を伴うものをいう
a は実質径の1/2以上の損傷があるが主 膵管損傷を伴わないものをいう
b は実質径損傷の程度に関わらず主膵管損傷を生じたものをいう
 Appendix 膵内胆管を損傷している時はB、Vater乳頭部を損傷している時はVPと表記する。
部位は膵頭部を(Ph)、体部を(Pb)。尾部を(Pt)で表す。
※日本外傷学会臓器損傷分類委員会:膵損傷分類 2008(日本外傷学会).日外傷会誌 2008;22:264.

腸管損傷

最後に腸管損傷やな。

これも交通外傷が多くてシートベルトとも関係があると言われとる。主な原因は直接的な外力や内腔圧の急激な上昇なんかやな。

損傷部位は、十二指腸のsecond-third portion、Treits靱帯近傍の空腸起始部、回盲弁近傍の回腸遠位部が多いわ。

十二指腸、空腸、回腸に多くて、大腸は稀と言われとる。

あとは腸管損傷に合わせて起きやすいのが腸間膜損傷や。活動性の出血や仮性瘤、うっ血、虚血を認めた場合は手術の対象になるで。

損傷分類

腸管損傷についても分類表を載せておくで。

腸管損傷はⅠ型かⅡ型かの分類になるんや。

消化管損傷分類内容
Ⅰ型 非全層性損傷 non-transmural injurya. 漿膜、漿膜筋層裂傷 serosal or seromuscular tear
b. 壁内血腫 intramural hematoma
非全層性損傷で損傷部の消化管の連続性が保たれ、消化管内容の管外への漏出が見られ ない場合をいう
Ⅱ型 全層性損傷 trransmural injurya. 穿孔 perforation
b. 離断 transection
全層性損傷であるが消化管の一部でも連続 していたら a(穿孔)と表現し、大きさは問わない
b は消化管の全周にわたり、完全に離断した場合をいう
腸管損傷種類
 日本外傷学会臓器損傷分類委員会:消化管損傷分類 2008(日本外傷学会).日外傷会誌 2008;22:
266
消化管損傷分類内容
Ⅰ型 非血管損傷 non-vascular injury 全層性損傷のみとし、開腹所見で非全層性損傷があっても記載しない
非全層性損傷 で血管損傷もない場合は本分類の対象外とする
Ⅱ型 血管損傷 vascular injurya. 間膜内血腫 intramesenteric hematoma
b. 遊離腹腔内出血 extramesenteric bleeding
全層性損傷と非全層性損傷とは問わず血管損傷があればⅡ型とする
全層性損傷があり、その損傷部と血管損傷が一致すれば Ⅱ型とし、一致しなければⅡ型+Ⅰ型とする
腸管損傷イメージ図
Appendix 穿孔内への小腸陥入によるイレウスを合併したらILと付記する。血管損傷が原因で腸管壊死を来したらNEと付記する。
損傷部位が大網では(G)、小網では(L)、小腸間膜では(M)、結腸間膜は上行(A)、横行(T)、下行(D)、S状(S)で表記する。
※日本外傷学会臓器損傷分類委員会:間膜・小網・大網損傷分類 2008(日本外傷学会).日外傷会誌 
2008;22:267.

画像所見

腎損傷 膵損傷 腸管損傷の画像所見

次に画像所見についてやな。

  • 腎損傷

腎損傷については脾、肝と同様に造影剤を使用して多相でCT撮影するのが望ましいで。

具体的には、単純、動脈相、実質相、排泄相の4相で、動脈相で血管損傷やextravasationを、実質相で挫傷、被膜損傷、梗塞を、排泄相で尿瘤の有無を診断するんや。加えて後腹膜血腫の有無の確認も必要やな。

単純も撮影する事で、出血の有無の判別がしやすくなるで。

  • 膵損傷

膵損傷は単純CTで膵実質内の血腫、膵実質の腫大を認めるで。動脈相において損傷部や断裂部が欠損像として認められる。

必要に応じてthin sliceやMPRで確認するんや。膵頭部の主膵管損傷は他の部位と比較して2倍の死亡率やと言われとるからな。

  • 消化管損傷

消化管損傷については、損傷に伴う穿孔やフリーエアーの確認やな。造影で腸管壁の造影不領域を認める場合は腸管壊死の可能性ありや。

後は腸間膜動静脈の途絶やビーズサインのような脈管経の不整像が見られた場合は、腸間膜損傷の可能性が高いと言われているで。

実際の症例

実際の画像や。

腎損傷の例や。分類ではⅢ型になるな。

腹部CT画像-腎損傷
Case courtesy of Henry Knipe, Radiopaedia.org

次は膵損傷の画像や。

腹部CT画像-膵損傷
Case courtesy of James Harvey, Radiopaedia.org, rID: 80366

こっちは腸管損傷(小腸)の例や。小腸壁の肥厚と造影効果を認めるで。

腹部CT画像-腸管損傷
Case courtesy of Andrew Dixon, Radiopaedia.org

ハンドル外傷による小腸損傷の例や。フリーエアー、腹腔内出血なんかを認めるな。

腹部CT画像-フリーエアー
Case courtesy of Ian Bickle, Radiopaedia.org

鑑別診断のポイント

鑑別診断について

さて鑑別診断のポイントやけど、鑑別というよりは損傷形態の把握が重要やから、よく画像を見るようにな。

膵損傷については、外傷後に生じた急性膵炎は外傷性膵炎とする一方で、外傷そのものの損傷は膵損傷とされてるんや。ただ厳密な区別は困難やで。

腸管損傷のフリーエアーは診断的特異度は高いんやけど、気胸や膀胱破裂でも生じるから注意やで。

他に近しいところの損傷やと、脾損傷、肝損傷なんかがあるで。それはこっちで確認しておいてや。

まとめ

今日は腎、膵、腸管損傷についてレクチャーしたで。ポイントは1つや。

多相での造影検査が望ましい

脾、肝損傷と同様で、血管損傷と実質損傷の確認が重要や。単純を省略すると出血が造影剤でマスクされてしまう事があるから注意やで。

と、まぁ今日はこんなとこにしとこかな。これ以上詰め込んでも覚えきれへんやろ。

ちなみになんやけど、ワシは何事にも好奇心は重要やと思うてる。

スティーブジョブズはんも言ってたで。

新しいものを見た時に年配の人達は「これは何?」と尋ねる。でも少年達は「これで何ができるの?」と尋ねる。

同じような質問やけど、ニュアンスは全然違うやん。「これは何?」は肯定、否定の両方の意味合いでも取れるやん。言うて警戒心MAXやん。

でも「何ができるの?」はワクワクしかあらへんやん。目をキラキラさせた少年が聞いてる感じやろ?

実際、小さい子にiPad渡してみぃや。1時間もすると勝手に使い方マスターしてゲームして遊んでるで。その精神がこれからは重要やねん。

ちなみに見返してみぃや。ここの冒頭でワシ、どんな聞き方してた?

!!!

つまりはそういう事や。伏線回収完了や。
ほら、日本だけに留めておくの勿体ない逸材やん?

ほんまワシに関しては天は二物を与えすぎやで。
逆に辛いわー。

ほな、精進しいやー!

PickUp

1

もくじ1 日本とアメリカの放射線科医数2 日本と世界の検査機器保持数3 読影医不足問題4 放射線技師 ...

2

もくじ1 基本的な読影の流れ2 頭部読影の流れ3 胸部読影の流れ4 腹部読影の流れ5 自分なりの読影 ...

3

精神と時と読影の部屋 読影力をつけるのは実際に画像を見ていくのが一番やで。 あれこれ考えながら所見を ...