可逆性脳血管攣縮症候群(reversible cerebral vasoconstriction syndrome:RCVS)

痛っ!なんで突っ込まれなアカンの?まだボケてへんやん。

すみません、てっきりボケたのかと!

見極めが甘いで。しっかりボケのタイミングを見とかんと。ってか、ホンマに痛っ。RCVSか、くも膜下出血にでもなったかと思ったわ。なった事ないけど。

RCVS?

んや?RCVS知らんのか。可逆性脳血管収縮症候群(Reverse cerebral vasoconstriction syndrome)、突然の激しい頭痛が特徴やねん。ちょうどええ機会や。今日のレクチャーはRCVSについてやってこか。
っていうか、病気のとこで突っ込まんと!そういうトコやで!

可逆性脳血管攣縮症候群(reversible cerebral vasoconstriction syndrome:RCVS)とは

可逆性脳血管攣縮症候群の概要

さて可逆性脳血管攣縮症候群、通称RCVSについて話していくで。

RCVSは最初に話した通り、雷に打たれたような強烈な頭痛が起きる疾患や。雷鳴頭痛とも呼ばれてるな。突然の激しい頭痛を繰り返す疾患や。

好発年齢は中年の女性に多いという話やで。

発症の原因としては妊娠や分娩、薬剤(覚醒剤、頭痛治療薬、免疫抑制剤 など)、高カルシウム血症や突発性などと言われとる。

頭痛発作自体は通常1~2週間程度繰り返して次第に軽快していくで。

ちなみに血管攣縮は内頚動脈系や椎骨動脈系のどこにでも起こりうるで。

脳血管名称

合併症状

他には10%で可逆性後頭葉白質脳症(Posterior reversible encephalopathy syndrome:PRES)を、20%にくも膜下出血を認めると言われとって、他には脳梗塞やTIAなんかも合併する事があるわ。

PRESって何か分かるか?PRESは急激な血圧上昇による血管透過性亢などで血管性浮腫が生じる事や。

診断基準

RCVSの診断基準として、突然発症の雷鳴頭痛、脳動脈瘤によるくも膜下出血の否定、脳脊髄液検査がほぼ正常である事、血管撮影で多巣性や分節状の脳血管攣縮がある事、12週間以内にこれらの所見が消失する事なんかがあるで。

概要のまとめを記載しておいたから一読しといてや。

診断基準原因特徴
可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)突然発症の雷鳴頭痛
脳動脈瘤によるくも膜下出血の否定
脳脊髄液検査がほぼ正常である事
血管撮影で多巣性や分節状の脳血管攣縮がある事
かつ12週間以内にこれらの所見が消失する事
妊娠や分娩 薬剤(覚醒剤、免疫抑制剤 など)
高カルシウム血症、突発性
中年の女性に多い
10%でPRES、20%でSAHを合併する

あと今更やけど、血管攣縮ってどんな状態かは分かるよな?一過性に血管が異常収縮を起こして虚血が生じる事やで。知らんかったら覚えとき。

画像所見

可逆性脳血管攣縮症候群の画像所見

次に画像所見についてや。

画像所見は基本的にMRIでは何もあらへん事が多いねん。一方でMRAやと脳動脈の広域不整や散在性の狭窄を認める事があるで。いわゆる血管攣縮やな。他の合併症状として、くも膜下出血などがあれば、FLAIRで脳溝に高信号域が出るで。

ちなみに、RCVSは円蓋部くも膜下出血を起こす代表的疾患や。円蓋部くも膜下出血を見たら60歳以下ならRCVS、60歳以上なら脳アミロイド血管症を選択肢に入れるようにって先輩から教わったで。皮下にPRESがあれば脳浮腫も認める事があるな。

まとめる程やあらへんかもしれんけど、何かあった時に見返してくれや。

画像所見
可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)T1強調やT2強調では所見はない
MRAで広域な不整像や散在性の狭窄像
くも膜下出血があればFLAIRで高信号に写る
円蓋部のくも膜下出血の原因はRCVSが多いとも言われている
60歳以下はRCVS、60歳以上は脳アミロイド血管症を疑う

実際の症例

次の症例は雷鳴頭痛で精査の症例や。左MCAあたりに不整狭窄が疑われるで。右と比較して左の方が狭窄してるように見えると思うわ。

頭部MRI-RCVS(MCA)
上段左からDWI、T2WI、T1WI、下段左からMRA元画、MIP、MIP

別症例や。運動後の雷鳴頭痛精査や。左の症例が精査時、その3ヶ月後のフォローMRIで左前交通動脈の狭窄が改善しているのが分かると思うで。

頭部MRA-可逆性脳血管攣縮症候群
左側が発症時、右側が3ヶ月後のMRA

鑑別診断のポイント

くも膜下出血の原因としてのRCVS

次に鑑別診断のポイントや。通常とは逆になるんやけど、くも膜下出血が起きたという点からの原因推察でRCVSや他の疾患が鑑別対象になるで。

ただRCVSのように広域に不整像を認めたり散在性に狭窄像があったりする疾患はそれほどあらへんから、臨床症状と合わせれば診断は可能やと思うわ。

脳梗塞なんかも鑑別になる事があるんやけど、RCVSやと拡散強調画像で高信号にはならへんから、そこで鑑別が可能や。

他に血管攣縮像といった意味でいうなら、もやもや病なんかも鑑別にあがると思うんやけど、これも臨床像が違うから大丈夫やと思うわ。

患者情報が重要やで。

まとめ

今日はRCVSについて述べた。ポイントは2つ。

運動や入浴などの行為をキッカケに短期間で繰り返す雷鳴頭痛

MRAでの広域不整像と散在性の狭窄像

これやな。そんなに難しくあらへんやろ。運動なんかで発生するから患者情報を確認するのが重要やな。・・・痛っ!なにすんねん?

っきりボケたのかと。

今のどこにボケた要素があんねん。全くのノーマークやったで。山王戦の湘北高校か!

・・・そこで突っ込まんと!

もうええわ、ほな、精進しいやー!