我は神なり。
・・・どうしたんですか?頭でもぶつけました?
失礼ですね。私は頭部を強打などしておりません。私が変に見えるのであれば、それは貴殿の価値観というフィルターを通して見た世界の話であり、私は何も変わっていないのです。
即ち!
あなたが見ている私も、私が感じている私も、全て私なのです。
貴殿のこんにゃくアレルギーも、私のハナクソを食せば、たちまち治ってしまうのです。
くっくっく。さて、では準備も整った事ですので教義を初めていきましょう。
もくじ
脊椎硬膜外血腫(spinal epidural hematoma:SEH)とは
脊椎硬膜外血腫の概要
なぁ、堪忍してーな。ちょっと悪ふざけしただけやん。
ちょっと教祖的な感じになってみたかっただけやねん。
普通にやって下さい。
分かった分かった。いつもの感じでレクチャー始めていくで。
今日は脊椎の硬膜外血腫や。頻度としてはそれほど多い訳やあらへんけど、知っておくと良い疾患や。
脊椎硬膜外血腫はspinal epidural hematomaやからSEHと略すで。何らかの原因で脊柱管の硬膜と椎骨の間に血液が溜まってしまう状態やねん。
血種によって脊髄を圧迫する事で、神経障害を引き起こす事があんねん。
SEHは原因によって次の2つに分けられてるで。
- 原因が明らかでない突発性SEH
- 凝固異常や変形性脊椎症、外傷、手術、硬膜外麻酔(腰椎穿刺)、血管異常などによるもの
脊椎病変全体で見るとSHEは1%前後くらいの割合なんやけど、その中で突発性SHEが約半数以上を占めんねん。
SEHの好発部位は下部頚椎~上位胸椎やで。特にC6とT5、後はL1あたりに多い傾向があるで。下部頚椎~上部共通、上部腰痛あたりは硬膜外静脈叢の発達している領域やし、これが何かしらの関係があるのかもしれんな。
その他の特徴としては次のようなものがあるから頭の中に入れておき。
- 血種は複数の椎体に及ぶ事が多い
- ほとんどが脊髄の背側に発生する
- 以前は緊急手術の対象だったが、近年は自然治癒するケースも増えてきている

好発年齢
好発年齢は2つほどピークがあって、10~20代と60代や。どちらかというと比較的若い年代の方が多いで。
若い年代に多いのは、活動的なのが関係してるのかもしれんな。
原因
原因は外傷やオペなんかのように分かっているものもあれば、原因不明のものもあんねん。
上で話した通り、突発性とそれ以外は半々くらいの割合やで。つまり外傷や医原性なんかが無くても突発的に発生する事があるんやで。
ちなみに、出血は静脈性やと言われとる。
臨床症状と治療法
臨床症状
臨床症状は背部痛や神経障害や。
血腫が出来る事で痺れや麻痺が起きんねん。血種の大きさや程度にもよるけど、馬尾症候群とか下肢の不全麻痺とかや。
加えて血腫が出来る部位によっては片側にのみ症状が起きる事があるで。せやから最初は脳梗塞が疑われる事もあるらしいな。
後は神経所見が変化するのも特徴や。伸展なんかをすると血腫の位置が移動して症状が消える事があんねん。
たた血腫そのものが無くなった訳やあらへんから、元に戻ると症状は出てくるで。
治療法
治療法は保存的治療がメインで、ケースによっては外科的治療で血腫を取り除く事もあるらしいで。
脳梗塞が疑われて抗血栓薬が投与される事も可能性としてあるようやけど、これは症状を進行させてまうからダメと言われとる。
画像所見
脊椎硬膜外血腫の画像所見
SEHの画像所見やけど、断然MRIの方が分かりやすいで。
CTでも分かるには分かるんやけど、急性期の所見は小さいからよく脊柱管内をチェックせなスルーしてまう可能性があるで。
特に背部痛の原因精査として検査した場合は、内臓疾患の方に目が行きがちやから注意が必要やな。
MRI上は背側領域優位に分布する三日月状の硬膜外占拠性病変として、頭尾側方向に連続する形で伸展するで。
ちなみに血腫の信号強度は発症した時期によって変わってくるから、一概にこうとは言えん。このあたりは脳出血と通ずるものがあるな。
脳出血のページを参考にしてもらえると良いわ。
実際の症例
実際の画像や。C6付近の背側に脊髄硬膜下血腫があるで。

別の症例や。これもC3-6に血腫を認めるな。

鑑別診断のポイント
鑑別疾患
鑑別するべき疾患として、硬膜外膿瘍、硬膜外脂肪腫、腫瘍性病変、髄外造血などがあるで。
硬膜外膿瘍は拡散強調画像で高信号や、周囲の炎症作用を反映して造影効果を認めたりするし、硬膜外脂肪腫やと脂肪抑制画像で見分けられる事が多いで。
膿瘍は拡散強調で高信号や。髄外造血やと硬膜外・傍椎体領域に多中心性の分葉状腫瘤として描出されるで。
他には脊髄梗塞も合わせて覚えときや。
まとめ
さて、今日の脊椎硬膜外血腫のポイントや。ポイントは3つや。
突発性(原因不明)が半数以上あり、C5、Th5、L1付近に多い
出血場所から上下方向に三日月状の画像所見を認める
若年者と60代の背部痛では注意が必要
こんな感じかな。臨床症状が背部痛の場合があるから、その時は内臓疾患だけやなくて本疾患も疑えるようになるとええな。
MRIでの信号強度は血腫の発症時期によって様々な信号を呈するし、抗血栓薬を投与すると悪化するから注意せなアカンで。
さて、今日はこんな感じや。
ほな、精進しいやー!