ワシな、毎年新人に「ありがとう」と「ごめんなさい」を言える大人になろうぜ!って伝えてんねん。
基本ですね。でも、なんでまた?
もくじ
分離症(spondylolysis)とは
なかなか言えへんヤツが多いからや。
これにはとてつもないメリットがあって、この2つを全力で言えれば基本的に先輩から可愛がってもらえんねん。
「全力」ってのがポイントやで。可愛がってもらえるスキルって、マジで最強やねん。
分離症の概要
分離症の概要
ってな事で、今日は分離症についてやっていくで。
まずは次の概要を確認してくれ。
- 何らかの原因で椎弓根に骨折が生じ、椎体と分離した状態
- L5が最も多く、次にL4
- 原因はスポーツなどの慢性的負荷によるものが多い
- 10代患者が多いのはこれが理由
- 臨床症状は腰痛だが無症状の人もいる
- 半数以上の割合で両側に発生
- 単純写真斜位像におけるスコッチテリアの首輪サインが有名
分離とはその名の通り、椎体から椎弓が何らかの原因で分離した状態の事を言うねん。
圧倒的に10代のスポーツやってる人に多くて、主な症状は腰痛や。
一方で無症状の人も多くおるで。違う目的で検査して偶然発見されるパターンも多いねん。ただその場合は終末期の場合が多いな。
発生場所はL5がほとんどで分離が進行すると辷りが起きて、脊柱管狭窄症になったりもするで。
分離症の病期診断
分離症には次のような分類方法があるで。各々の時期でCTやMRIでの見え方に違いが出てくんねん。
- 初期:一部に骨折線を認める
- 進行期:分離が開大しているが骨硬化は認めない
- 末期:分離し骨硬化を認める
ちなみに、発症年代が若いほど将来的に辷り症に移行する確率が上がるというデータもあんねん。
せやから早めに発見して治療開始するのが重要や。
腰椎の解剖
次に腰椎の解剖や。これは基本やからサラッとでええやろ。
- 椎体は頸椎(7個の椎体)、胸椎(12個)、腰椎(5個)、仙椎(5個)で構成されている
- 各椎体の間には椎間板があり、椎体背側には脊柱管が、その中に脊髄が通っている
- 脊髄から椎間孔を通って各神経が伸びている
- 脊柱管の前後には後縦靭帯や黄色靭帯などが存在している
こんな感じや。他の椎体の解剖は下記の図で確認しておいてくれや。
分離症の原因と臨床症状
分離症の原因
分離症の原因は腰の捻り動作やジャンプなどの過度な負荷や。
特に成長期にハードな部活動をやってると確率が高くなるで。
分離症の臨床症状
臨床症状は腰椎下部の疼痛(腰痛)や。
腰の前後や捻りで痛みが誘発される事が多いのと、臀部や下腿にも痛みが出る事があるんやけど、安静時には症状が無い事も多いねん。
せやから発見が遅れるケースもあるで。
スポーツをやっている10代で、おおよそ2週間以上症状が続いてれば分離が疑われるな。
進行すると辷り症に移行する事も多々や。
分離症の治療法
治療方法は、基本的に保存療法で、骨癒合の可能性がある場合は安静待機やな。
痛みが酷い時にはブロック注射なんかも行われるで。症状が改善せん場合や神経症状、辷りにまでなった場合は外科的治療も選択肢になるんや。
この時、除圧術と固定術の2つがあるらしいで。
画像所見
分離症の画像所見
分離症の画像所見
次に画像所見についてや。
単純写真やと斜位像でスコッチテリアの首輪サインっちゅー特徴的な所見があるで。これは関節突起部の骨折や欠損があるとそう見えるんや。
他の画像所見と合わせて確認しておいてな。
- 単純写真では側面像や斜位像で診断が可能
- 特に関節突起部の骨折を認める事がある(スコッチテリアの首輪サイン)
- CTでは骨折が明瞭に描出され初期から終末期まで診断が可能
- MRIでは骨折(分離)まで至っていない状態でも骨髄浮腫という形で描出する事ができる
- 終末期(慢性期)には骨髄浮腫は消失する
- また慢性期の分離症は前方辷りを合併する事が多い事も注意
これらの所見について確認してもらえると読影が出来ると思うで。
実際の症例
スコッチテリアの首輪サイン
実際の症例や。まずはスコッチテリアの首輪サインからや。画像で見た方が分かりやすいな。
分離しているところが丁度、首輪のように見える事からこの名前がついたらしいで。
10代 野球をしている 腰痛精査
次は10代のスポーツ少年の例や。野球をやってる少年や。
CTやと骨折が見やすいで。分離症のStage別で見え方が違ってくるから、上で話した分類を参考に読影してみてくれや。
この症例は進行期の症例や。L4の右椎弓が分離してるのが分かると思う。
10代 腰痛精査
下の例は10代のスポーツ少年で、腰痛精査となった人や。L4の左右に骨髄浮腫を認め初期の分離が疑われるで。
MRIやと骨髄浮腫の有無が重要やな。この骨髄浮腫の有無で早期か終末期かの診断が可能なんや。
周囲の軟部組織にも浮腫や炎症性変化を認める事もあるで。
終末期(慢性期)になると、骨髄浮腫は認めなくなるな。
鑑別診断のポイント
椎弓根骨硬化疾患
次に鑑別診断についてやな。椎弓根の骨硬化を来しうる疾患は次のようなものがあるで。
・転移性骨腫瘍
・類骨骨腫(骨芽細胞腫)
・先天性椎弓欠損あるいは、低形成における対側の椎弓根
ただ画像所見と臨床エピソードを加味すれば、鑑別自体はそれほど難しくは無いと思うで。
他には腰痛を伴う症状として、ヘルニアなんかも鑑別にあがるな。
まとめ
今日は分離症についてレクチャーしたで。ポイントは3つや。
10代のスポーツをやっている学生に多く、L5が最も多い
スコッチテリアの首輪サインが有名だが、超初期ではT2脂肪抑制で高信号を呈するMRIが有効
可能なら病期別で分類できるとなお良い。
こんな感じやで。後は実際の画像がどんな感じなのかの経験を積んでいけば分離症は大丈夫やろ。
サラッと見てると見逃しやすい所ではあるから、そこだけ注意やな。
分離はよく遭遇します。ただやっぱり単純写真では指摘が難しいんですよね。どうも苦手意識があります。
今回のスコッチテリアサインは比較的分かりやすいやろ。臨床経過から分離が疑われたらよく見てみるとええで。
ふとしたタイミングで分かる日が来んねん。MRIのT1のthin slice(3D)で撮影すると分離が分かりやすいって話しもあるな。
実際に撮影してみると、確かに見えんねん。CTと同じくらいのイメージかな。
おっと、そろそろ終わりにんせんとな。この後、研修医にも講義があんねん。「ありがとう」と「ごめんなさい」の重要性を教えんとな。
ほな、精進しいやー!