思考停止は以外と難しい?
思考停止人間と聞いてどんな印象?
皆さんは思考停止人間と聞いて、どんな印象を持ちますか?
仕事が出来ない人や自分では判断が出来ない人、世の中の常識を疑わない人などをイメージするかもしれません。これは人によって色んなパターンが出てくると思いますが、共通しているのは「良くないイメージ」という事ではないでしょうか。「君、思考停止してるね」と言われて、「ラッキー!誉められた!」みたいに良い気分になる人はほとんどいないと思います。
思考停止とは
思考停止は正確な定義が無さそうなので、ここでは次のように定義する事にします。
「物事を考えたり、判断する事をやめてしまう事(状態)」
これは何も考えていない状態とも言い替える事が出来ると思います。しかし逆説的ですが、実は人間は何も考えていないという事はありません。ぼーっとしていても何かしら頭の中には浮かんでいます。今日の晩ご飯は何を食べようかとか、あの人はイヌ好きなんだなとか、この人髪切ったなとか。何かしら考えてはいます。何も考えていないのは寝ている時くらいでしょうか。
これらの違いは意識下か無意識下か、または考える深さが違うだけなのです。
人は1日に3万回以上の判断をしている?
ケンブリッジ大の研究結果で、人間は1日に3万回以上の決断をしていると言われています。(35,000 Decisions: The Great Choices of Strategic Leaders)
この中で無意識下で決断しているのが95%程度との事なので、残りの5%、つまり1,500回は意識的に決定しているという事になります。この決定(決断)をするという事は何かしら考えているとも言えます。なぜなら判断と考えるはセットだらかです。何をするにしてもやる事とやらない事を天秤にかけて考え、自分にとってメリットがある事を判断しています。時には合理的じゃない判断もしますが、これは考えているからなのです。
1日は24時間で分に変換すると1,440分です。睡眠時間を考慮すると単純計算で1分に1回以上は決断している事になります。つまり、考えていない人はいないのです。
マインドフルネス
一方で決断疲れというのも最近耳にするようになりました。つまり何回も決める事で判断力が低下してしまっている状態の事ですが、これを解消するために意識的に無になる状態を作る事が必要と言われています。これをマインドフルネスとか禅とか言ったりしますが、これを実際にやってみると何も考えないというのは意外と難しいんです。
人間は否定の言葉を受け入れない性質があるので、考えるなと言われると逆に考えてしまう生き物です。無になるには自分の呼吸に集中するのがと良いと言われてますが、簡単に出来るものではありません。つまり思考停止になるという事は以外と難しい事なんです。
面白いですよね。思考停止とマインドフルネスは同じような状態ですが、言葉1つでこうも意味合いが違ってきます。
理想のチームは?
ちなみにもし自分が管理者だとして、どんなチームを作れたら最高でしょうか?
- 部下が自ら考え、行動し結果を出す
- 必要な情報が遅滞なく上がってくる
- 内省が出来ており、上司の管理が必要無い
- 常に現場のモチベーションが高い
どれも実現出来れば素晴らしいですね。これらの中に共通するのが部下が自ら考えているという事です。情報を上げるのも必要な情報なのかどうかを考えなければなりません、モチベーションを上げるにも自分で考えて行動して、達成感を得る必要があります。つまり思考停止状態では難しいんです。でも大丈夫です。問題有りません。いくつかの事に注意するだけで考える組織になっていきます。
思考停止(考えが浅い)における問題点
考えが浅いとなにが問題か?
本当に思考停止は難しのは上出話した通りなので、ここでは便宜上、「考えが浅い=思考停止」という事で進めます。これにおいて何が問題かというと、1番は、
「情報をそのまま鵜呑みにしてしまう」という点ではないでしょうか。
インフルエンサーが言っていたから、芸能人が言っていたから、医者が言っていたから、親が言っていたから、上司が言っていたから、このような理由で信じてしまう人が多くいます。※これは心理学で後光効果(ハロー効果)とも言ったりします。実はその情報は科学的な裏付けが無いものかもしれません。言っていた人もネットからの不確定な情報を見ただけなのかもしれません。
「あの人が言っていたから大丈夫だと思った」
こんな弁解を目にしたのは1回や2回じゃないと思います。でもこれは気を付けないと、誰しも陥る可能性があるのです。
持ち家か賃貸か
よくある例として、持ち家か賃貸かの話しがあります。双方の言い分は正解の場合もあるし不正解の事もあります。
持ち家派は賃料を払うのはバカげていると言うし、賃貸派は家の資産価値は20年で無くなるのと定期メンテ代が必要になると言います。確かに一見すると両方の言い分も合ってます。ただこれは収入や立地場所によっても変わってきます。
例えば、家を購入する時に大抵の人はローンを組むと思います。ほとんどの人が30~40年のローンだと思いますが、このローンの利子分はいくら払っているのか考えた事ありますか?月々の支払い金額だけを見て決めていませんか?これが東京でなら資産価値もあるので今後値上がりする可能性もあるでしょう。でも地方だったら?
他にも家族背景や他の条件を考慮していない事がほとんどです。単身なのか、家族がいるのか、子供がいるのか、子供は何歳か、何人か、これらの条件でどちらも正解になり得るのです。
このように経済状況や生活圏、家族構成、年齢など、色々なファクターを考慮する事が必要なのです。これらの要因を考慮せずに黒か白かという話しは、いかに無意味なのもか分かるでしょう。重要なのは「誰が言っているのか」ではなく、「自分ではどうか?」と考える事なのです。実は持ち家派の人は、都内に一括で購入できるくらいの十分な資産がある人なのかもしれません。逆に賃貸派の人は何棟もマンションを持っている人なのかもしれません。ポジショントークの可能性もあるのです。
他の問題点
他に考えられる問題点として、自ら考える事をしないので思考力が育たなかったり、考える事をしないために前例を踏襲する事が多くなりイノベーションが生まれにくい事などがあるでしょう。
優秀な上司がいれば、仕事はそれでも回るかもしれません。それを込みで仕組み化している事も多くあります。でも家庭や自分自身の事だったりすると、自ら考えなければなりません。基本的に誰も助けてはくれません。助けを求める場合は、それ相応の金銭を払う必要があるのです。
思考停止になる原因
なぜ思考停止になってしまうのか
思考停止になる理由として次のような項目があります。
- 考えるのが面倒
- 疲れる
- 今まで深く考えた事がない(やり方が分からない)
- ネットで答えがすぐに出てくる
- 親がいつも答えを用意してくれていた
- 学校教育(義務教育)の影響
考えるというのは体力を使います。考える、決めるというのは、色々な情報を整理して、メリットとデメリットを考慮して選択肢の中から最善と思われるものを選択する事です。この過程の中では不確定な要素もいくつも出てきます。確実性があるものはほとんどありません。その中で考えて実行しなければならないのです。
実は、これらはすごく疲れるし面倒なんです。そして、基本的に学生時代にこのやり方は教わりません。
今の学校教育は、すでに答えがある問題を解く事がメインです。どちらかというと記憶力の勝負です。そして学生時代の優秀といわれる人はこの記憶力が高い人の事を指します。誰しもここを目指します。一方で社会人になってからの優秀と言われる人に求められる能力は記憶力ではありません。本質が全く違いうのです。学生時代の教育方法、これが思考停止人間が生まれてしまう背景です。
現代特有の理由
他に現代特有なのがインターネットの発達です。今やググればすぐ答えらしきものが出てきます。ChatGPTを使えば、それなりの回答が返ってきます。このような時代では、自分の頭で考えるよりも、ネットで調べた方が早くて正確である事が多いので、自分の頭で考えるという行為はコスパが悪いように思えてしまいます。ただこれも信憑性があるかどうかを調べる能力、つまり情報リテラシーが必要なのです。
AIの台頭
また最近はAIの進化が著しいです。どんどん人がやっていた仕事が機械に変わってきています。回転すしチェーン店では、注文もタッチパネルで、皿回収もゲーム要素をつけることでお客がやる仕組みになりました。会計も自動(セルフ)レジで、人が担当するのは厨房くらいでしょうか。
今まではこれらを全て人の手でやっていました。しかし外食産業は人手が集まらず自動化せざるを得ない現状もあり、今後この流れは様々な業界にも波及していくと思います。機械で出来るのはマニュアル化された業務です。つまり考える必要が(ほどんど)無い業務です。このように思考停止で出来る仕事は今後、機械が担っていく可能性があります。
思考停止で出来る仕事で高給取りはいない
人間には欲があります。欲を満たすためにはお金が必要になる事が多いです。そのために働いている人もいるかもしれません。ただ現実として思考停止の人間で高給取りはいません。なぜなら思考停止でも出来る業務というのは、基本的に言語化(マニュアル化)されています。マニュアル化されているという事は、それさえ読めば殆どの人が出来る内容とも言い変える事が出来ます。
一方でマニュアルを作る側はその限りではありません。日々の仕事の中でマニュアル化を出来ないかを考えチームの生産性を上げていく。会社側からすると、どちらが換えのきかない人材でしょうか。仕組み作る側と守る側。あなたはどちら側にいたいですか?
就活面接でよく学生から来る質問
就活生が面接の最後で会社に対しての質問の有無を聞く場面で、良く聞く質問に
「就職までの期間に何をしておいた方がいいですか?」
というものがあります。これも一見、準備万端の気持ちがあるという聞こえの良いフレーズに見えますが、実は就職までの期間に何をしたら良いか考えるのが面倒なので教えて下さいと言っているのと同意語なんです。
実際、私が過去に面接した中でそのように聞いてきた学生が何名もいました。最初の内はその中からも採用していましたが、やはり自分で考えるというのが苦手だった人が多かったです。
ただ企業側としては思考停止は悪い面ばかりではありません。何も考えないという事は、今の自分の状況を客観的に見る事をしないので、採用すれば余程の事が無い限り文句も言わずに働いてくれるという事でもあります。
このように考えない事で色んなところから搾取されてしまうのです。
思考停止にならないためには?
思考停止から脱却する方法
では思考停止にならないためにはどうすればいいのでしょうか?次の内容は実際に試してみて効果がありそうだったものになります。
- なぜ?と1回は疑ってみる
- だからなに?と考えてみる
- 世の中に絶対というものは、ほとんど無いと考える
なぜ?と考えてみる
最初のなぜ?ですが、これは目の前の事柄について深掘りができるようになり、違った視点で見る事に繋がります。例えば、
部下が報告しなかった→(なぜ)→報告出来るような雰囲気じゃなかったのかも
→報告する仕組みが出来ていなかったのかも
→部下が報告が必要と思うラインとのギャップがあったのかも
→報告出来ない部下なのかも
このようになぜ?を1回行うだけで、色々な原因が考えられます。これを繰り返す事で、周りから仕事が出来る人間とみられるようになります。是非試してみて下さい。
だからなに?
次の「だからなに?」では、その情報から推測される未来をイメージする訓練になります。
世の中には頭の良い人が沢山います。この人達は日頃から考えています。例えばツイッターから社名を変更したX。社名を変更するのは何が目的なのか。変更してなにが変わるのか。
もしかしたら過去のツイッターのイメージを一新する事で、テキストも音声も動画も送れて決済機能もある新しいプラットフォームにしようとしているのかもしれません。これはあくまで想像ですが、だからなに?を考えてみると、イーロン・マスク氏の考えの片鱗が見えてくるかもしれません。
このように考えてみると世の中の流行と言われるものは、裏で誰かが仕組んでいる事なのかもしれません。もしかしたら流行は誰かが何かしらの目的があって、意図的に流行らせているだけなのかもしれませんよ。
バレンタインのチョコレート
1つの例としてバレンタインがあります。バレンタインデーを知らない人はいないと思いますが、元々は今のような形ではありませんでした。
起源は1000年近く前になります。西暦1200年のローマ帝国において当時は兵士同士の結婚が禁止されていました。ある時それに反対したバレンチヌスという人がいたのですが、残念な事に処刑されてしまいます。この処刑された日が2月14日で、彼を祭ったのが最初です。
そして昭和初期にあるお菓子メーカーがチョコレートの消費量を増やそうと考え、このバレンタインに目を付けます。そしてバレンタインにチョコレートを送りましょうというキャッチコピーを作り、これが爆発的にヒットして今のバレンタインの形になっています。つまり裏にはメーカーのチョコレート消費の理由付け意図があった訳です。現に外国では、チョコレートを送るという習慣はありません。また男性から女性に送るのが一般的とも言われています。
日本では今や恋人同士だけじゃなく、友達に送る友チョコなんてものもあります。ちなみにこの日に消費されるチョコレートの量は、年間消費量の1~2割にもなるようです。まさにメーカーのしてやったりといった状態でしょうか。
このように事柄に対して「なぜ?」や「だからなに?」を使ってみると分かる事が色々とあるのです。
まとめ
思考停止におけるまとめ
今日は思考停止について話しました。簡単にまとめると、
- 世の中には頭の良い人が沢山いて、いろんな仕掛けをしている
- その仕掛けに踊らされないためには、自分の頭で考えるといる行為が必要
- 考えるには、「なぜ?」と「だからなに?」の2つを使ってみる
- でも自分で考える事は大変な事
- AIの台頭もあり、これからは考えるスキルは必須の時代になる
こんな感じでした。考えるという事は面倒で体力も必要です。だから人は楽な方に行こうとします。しかし自分の頭で考えるという事が出来ないと、いつかは仕事が無くなるかもしれません。なので今から考えるというスキルを身に付けていく事が必要なのです。
自分で考えられるようになると、自分の中で指針みたいなものが生まれます。つまり判断軸が他人じゃなくて自分になるんですね。そしてこの判断軸を修正していく事で仕事が出来る人間という評価になっていきます。
まだまだ自分の頭で考えられる人は少ないです。なので今がチャンスです。
まずは、なぜ?とだからなに?を使い、自分の意見を持つようにしてみて下さい!