肩峰下インピンジメント症候群(subacromial impingement syndrome)

肩パンって知ってる?

フランスパンの仲間ですか?

ワシが中学生の頃に流行った遊びやねん。肩にパンチをする、略して「肩パン」や。
これ、メッッッッッッッッチャ痛いねん。
優しいヤツは手加減してやってくれるんよ。でも相手がヤンキーの時は終了や。
ワシの肩、しばらく使い物にならへん事確定やと思ったね。

肩峰下インピンジメント症候群(subacromial impingement syndrome)とは

肩峰下インピンジメント症候群の概要

今日は肩峰下インピンジメント症候群についてレクチャーしてくで。インピンジメントが起きるとどうなるか分かるか?

っていうかインピンジメントってどんな意味か知ってるか?

つまり何かと何かが衝突してるって意味なんや。

肩峰下インピンジメント症候群は、上腕骨の挙上時に、腱板が上腕骨頭と烏口肩峰アーチに挟まれて繰り返し衝突する事で、損傷や炎症をきたしている状態の事やねん。

主な症状は肩の疼痛と挙上制限や。時には腱板が損傷や断裂になる事もあるで。

野球やバレーなどの挙上する事が多いスポーツでの発生頻度が高くて、自ずと若い人に多いんや。他には加齢や職業上が理由の場合もあって、その場合は年齢層が少し上がるで。

肩インピンジメント

肩峰下インピンジメント症候群の概要は次の通りやで。

  • 上腕骨頭と腱板が烏口肩峰アーチに衝突し、繰り返し滑液包が挟み込まれる事で浮腫や出血が起きる事が原因
  • 野球やバレーなど挙上をするスポーツに多い
  • 挙上から下ろしてくる時に一定の角度で感じる痛みを有痛弧徴候(ペインフルアーク)とも言い、インピンジメント症候群に特徴的で60~120度間に多い
  • 進行すると肩峰下に骨棘が発生する場合もある
ペインフルアークサイン

肩の解剖

次に肩の解剖や。骨と代表的な筋肉の解剖を載せておくで。検査や読影をするにあたって解剖は基本やから、頭の中に入れておくんやで。

肩解剖

肩峰下インピンジメント症候群の原因と臨床症状

原因

肩峰下インピンジメント症候群の原因は、圧倒的にスポーツによるオーバーユースが多いな。

というのも繰り返し腱板に上腕骨頭なんかが衝突して炎症がおきる症状やから、野球やバレー、テニスのような腕を使うスポーツに多いねん。他には加齢による石灰化沈着や外傷なんかもあるで。

症状

臨床症状は当然、肩の痛みや。夜間痛なんかが出る事もあるな。

上記概要で少し触れたペインフルアークサインがあるとより疑わしくなるで。

治療法

治療法としては、保存療法や症状によっては外科的治療の対象になる事もあるで。

まずは肩に負担をかけへんように薬物療法やリハビリを実施する形が多いらしいな。それでも改善せーへんかったら内視鏡手術って流れらしいで。

画像所見

肩峰下インピンジメント症候群の画像所見

肩インピンジメント症候群のMRI画像所見については、次のようなものがあるで。

どれも器質的病変の確認と、その程度を見るために行われんねん。各々見るべきポイントがあるから覚えておくんや。

ちなみに単純写真やCTではここまで分からへんで。特に靱帯や腱までは分からん事が多いな。やっぱりスポーツ外傷にはMRIが超有効って事や。

  • 肩峰下三角筋下滑液包炎:滑液包の液体貯留もしくは、滑膜肥厚の有無がT2強調で高信号
  • 肩峰下骨棘:肩峰下面から下方向へ突出する骨棘の有無 烏口肩峰靱帯の肥厚
  • 腱板損傷:腱の変性の有無(T2強調や脂肪抑制で高信号)
  • 肩鎖関節過形成:他の所見と比較してインピンジメント症候群との関連は少ないと言われている

実際の症例

60代男性で運動後に痛みが発生して原因精査でMRIを実施した例や。

滑液包の液体貯留があるのと、肩峰による棘上筋腱の圧迫で遠位側の腱板の肥厚と信号上昇を認めるで。

最終的にインピンジメント症候群と診断されたで。

肩MRI-インピンジメント症候群

別の症例や。烏口肩峰靱帯の若干の肥厚で棘上筋腱が圧迫され信号上昇してるのが分かるやろ。

この症例も上記症例と同様に肩峰下インピンジメント症候群と診断された例や。

肩MRI-インピンジメント症候群

なみにNeerはインピンジメント症候群の腱板変化として、Stage1:出血と浮腫、Stage2:炎症および線維化の進行、Stage3:腱板断裂っていうのを提唱しているで。まぁ頭の片隅に入れておくとええかもしれんな。

鑑別診断のポイント

鑑別診断について

鑑別診断についてやけど、あえて言うなら腱板断裂とか脱臼なんかかな。

肩周りに起きる疾患を覚えておくとええで。腱板断裂や脱臼は以下でレクチャーしてるで。

今回はしっかりとインピンジメント症候群の画像所見を覚えておいてな。

まとめ

さてまとめや。今日は肩峰下インピンジメント症候群についてレクチャーしたで。ポイントは2つや。

挙上するスポーツに多い

上腕骨頭と腱板が烏口肩峰アーチに衝突する事で発生するため、その付近のMRIの器質的変化を確認出来るようにする

インピンジメント症候群は普段でもよく見る依頼内容であると思うんやけど、なんとなくの知識の人も多いんちゃうかな?

これを機に覚えておいてもらえるとええで!忘れたら肩パンするからな。

ちなみに、今の子らって肩パンとかやってこーへんかったんかな。ワシらが中学生の時の罰ゲームといったら、肩パンかメジャーやってんけどな。あれ、ガチでやられると青あざが出来んねん。痛くて肩が上がらんねん。今思い返してみるとエグイ事やってたな。場合によっちゃ、イジメやで。

ってな訳で今日のレクチャーはこれくらいにするで。

ほな、精進しいやー!

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