脊髄空洞症(syringomyelia)

顔色悪いけど、どないしたん?

若手の練習台で小一時間ほどMRIに入ってたんですけど、途中からめまいがしてきてしまって。おえっ。

磁場酔いやな。
ちょっと安静にしとけば回復するやろ。基本的に一過性の症状やしな。

脊髄空洞症(syringomyelia)とは

脊髄空洞症の概要

脊髄空洞症とは

さて、今日は脊髄空洞症についてレクチャーしてくで。

脊髄空洞症とはその名の通りで、脊髄の中に脳脊髄液が溜まって空洞が出来る状態の事や。

筋力低下や感覚異常などの神経症状や全身症状が徐々に進行してくで。

原因としてはキアリ奇形などの先天性奇形、外傷、くも膜炎なんかやと言われてて、基本的に脳脊髄液の流れが滞る事が原因と考えられてるんや。

  • 脳脊髄液の流れが滞る事が原因で脊髄内に溜まった状態
  • 徐々に進行し感覚障害や運動障害が発生する
  • 30代に多い
  • キアリ奇形や二分脊椎などの先天性奇形や、外傷、くも膜炎、腫瘍性病変が原因になる
  • 自然縮小を認める事もある

キアリ奇形

せっかくやから、キアリ奇形についても軽く触れておくで。

キアリ奇形ってのは、小脳や脳幹が脊柱管の中に脱出、陥入した状態の事を言うんや。病態や程度でⅠ型からⅢ型に分けられんねん。

分類
キアリ奇形Ⅰ型:後頭骨の低形成による小脳扁桃の下垂を認める
 脊髄空洞症を50~85%で伴い、時に水頭症も併発する
Ⅱ型:別名アーノルド・キアリ奇形とも言う
 小脳虫部下部、脳幹部の下垂と脊髄髄膜瘤を伴い、水頭症も合併する
 神経管閉塞障害による先天性脳奇形
Ⅲ型:脳幹が頭蓋頚椎移行部の嚢胞内に下垂した状態
 非常に稀で出生時から呼吸困難、錐体路徴候、発達遅滞などを認める
 こちらも先天性脳奇形に分類される

実際にキアリ奇形Ⅰ型の画像も載せておくで。右側がキアリ奇形の画像や。小脳扁桃が大後頭孔から下垂しているのが分かるやろ。

下垂の生理的範囲は10歳以下で6mm、11~33歳までで5mmとなっとる。これ以上の下垂はキアリ奇形に該当するって事やな。

頭部MRI-キアリ奇形

脊椎の解剖

次に解剖や。下に代表的な部位を載せておいたから覚えておくんやで。

脊椎解剖

脊髄空洞症の原因と臨床症状

脊髄空洞症の原因

脊髄空洞症は、何かしらの原因で脊髄の中に空洞が出来る事を言うんや。この原因ってのは次のようなものがあるで。

  • キアリ奇形、Dandy-Walker奇形などの先天性奇形(半数程度に認める)
  • 感染性(炎症性)
  • 外傷性
  • くも膜下出血 など

これらが原因で中心菅に髄液が流れて拡張していくケースと、中心菅とは関係なく発症するケースがあんねん。

中心菅ってのは後で説明するで。

ちなみに、空洞の中には脳脊髄液が溜まる事が多いで。

臨床症状

臨床症状は発生した部位によって多彩な神経症状を示すんや。小脳症状やったり、上下肢の筋力低下、感覚低下、自律神経障害なんかやな。

表在性感覚障害がある一方で、症状に左右差や解離性感覚障害があるのが特徴的やとも言われとる。

治療法

治療法としては、投薬治療や外科的治療があるで。

特に外科的治療はシャントを設置する方法や、

画像所見

脊髄空洞症の画像所見

次に脊髄髄膜瘤の画像所見について話していくで。

MRIが1番分かりやすいわ。脊髄の中に嚢胞性病変が確認できるんや。

嚢胞成分やからT1強調で低信号、T2強調で高信号になるで。つまり脳脊髄液と同じ信号強度になってるかどうかやな。大きいものやと嚢胞成分が分葉状になったり、隔壁を認めるものもあるで

大きいと分かりやすい所見やからスルーする事はあらへんと思うけど、小さいときには注意やで。

実際の症例

次に実際の症例や。この症例やとTh4レベルで脊髄空洞症を認めるのが分かると思う。

胸椎MRI-脊椎空洞症
左からT2強調、T1強調、T2脂肪抑制
胸椎MRI-脊椎空洞症2

この症例は20代女性で別の例や。頭痛精査で頭部MRIで頚髄に病変が疑われた為に、後日頚椎のMRIを実施したんや。

Th6を中心に脊髄空洞症を認めるで。ちなみに、小脳付近をよく観察するとキアリ奇形Ⅰ型もあるで。

脊髄空洞症を見つけたら、キアリ奇形もあるかどうか確認するのはルーチンで覚えておいてもええくらいや。それくらい関係性が深いねんで。

胸椎MRI-脊椎空洞症3

鑑別診断のポイント

中心管遺残(persistent central canal)

類似所見として中心管遺残(persistent central canal)っていうものがあるんや。

中心管は脳室の中で一番下にある管なんやけど、通常は成長するにしたがって閉鎖してくねん。ただ中には残ってる人もおって、それが画像上観察される事があんねん。これが中心管遺残や

臨床症状を来す事は希で偶然発見される事が多いんやけど、これは特に治療の必要はあらへんやつやで。読影してるとたまに見るヤツやから、検査の時にも注意して見てみると遭遇するかもしれんな。

頚椎MRI-中心管遺残

あとはこの辺との鑑別も出来るようにしといたらええで。

まとめ

今日は脊髄空洞症についてレクチャーしたで。ポイントは3つや。

脊髄空洞症とは脊髄の中に空洞ができ、脳脊髄液などが溜まった状態の事を言う

脊髄空洞症を見つけた時はキアリ奇形もあるかどうかを確認する(キアリ奇形を認める場合は高確率で脊髄空洞症も認めるため)

空洞病変の信号強度は、嚢胞成分(脳脊髄液)と同じ

こんな感じやな。脊髄空洞症は見た目が派手やから検査してても気がつくとは思うんやけど、中心管遺残は(モーションゴースト)アーチファクトと迷うこともしばしばあるで。

そのあたりは技師はんの腕の見せ所やな。

さて、そろそろ磁場酔いも治まったやろ。ほれ、若手が呼んでるで?

また練習台になって欲しいんちゃうん?

うげっ。

HAHAHA! ほな、精進しいやー!

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