仕組み化について

仕組み化とは?

組織構築において必要なもの

チームや組織を作っていく上で必要なものがいくつかあります。パッと思いつくだけで理念、行動指針、ルール、評価制度などがあります。またこの必要な事はチームや組織がどのフェーズにいるかでも変わってきます。今回はその中で仕組み化について話していきたいと思います。

チームの成長に仕組み化は必要なのか?

最初に重要な点を伝えておきます。組織がある程度の規模になったら仕組み化は絶対に必要です。なぜならいつまでも自分1人でやるのには限界があるからです。だんだんと仕事の規模が大きくなると1人では回らなくなります。その時に始めて人を雇用したり、外注したりすると思うのですが、ここで仕組みを作っておかないと雇用した人の能力で結果にバラツキが出てしまいます。これはトラブルの元になるので、そこを無くす為にルール化、マニュアル作成などで誰でも一定のアウトプットが出せるように仕組みを構築するのです。

そしてこの仕組み化には曖昧な部分を入れてはダメです。曖昧な部分とは個人の考えが入る余地がある事なので、アウトプットにバラツキが出てしまいます。なので徹底的に言語化する必要があります。

仕組み化とは

そもそも仕組み化とどのような事を言うのでしょうか?これは人によって答えが違ってくるとは思いますが、本質的なところは一緒です。仕組み化とは、

「属人性を排除し、誰でも一定のアウトプットが出せるルール作り」

です。誰がやってもというのがポイントです。ここの設計が甘いと仕組み化とは名ばかりのものが出来てしまう事もあるのです。

仕組み化が出来るとどうなるか?

まず次のような未来をイメージしてみましょう。

  • 自分の実働時間が半分になった
  • 自分がアレコレ指示しなくてもチームで一定のアウトプットが出せるようになった
  • 属人化が無くなり、人材の流動性が出来た
  • メンバーのやる事が明確になった
  • 個々の能力に依存しないチームが作れた

どうでしょうか?どれも実現出来れば良いことばかりだと思います。仮に自分の実働時間が半分になったとしたら8時間勤務の内、4時間のフリーな時間が生まれるという事になります。この空き時間に新しいプロジェクトにチャレンジする事も可能になります。つまり自分の評価も上がります。また生産性が高い人材としても認識されるようになります。

またマネジメント側からすると個々の能力に依存しないチームを作れるのも大きなメリットです。人間には能力差があるのは仕方が無い事ですが、この差を最小限にする事が出来るのです。働く方もやる事が明確であれば働きやすさにも繋がるのではないでしょうか?

今一度振り返ってみましょう。今追われてるその作業、それは仕組み化出来ませんか?自由な時間を手に入れたくないですか?属人化していないチームを作りたくありませんか?

仕組み化しない事で起こりうる問題

基本的に仕事が出来る人は忙しい

自分の時間は無限ではありません。有限です。どんな人も1日24時間です。私もあなたも、インフルエンサーも有名企業家も、イーロン・マスク氏も全員24時間です。この24時間の中で仕事をして、遊んで、食事をして、睡眠時間を確保したりしてます。家庭や子供がいる人は育児の必要もあるかもしれません。親が高齢の場合は介護をしなければいけないかもしれません。つまり時間が足りないのです。これは役職が上の人や、育児と仕事を掛け持ちしている人ほと顕著です。

仕組み化しない事での問題点

ではそんな中でどうやって時間を確保するか、その答えの1つが仕組み化なんです。ちなみに仕事が仕組み化出来ない(していない)事で起きえる事は次のようなものがあります。

  • 仕事が属人化し、流動性が生まれない
  • 個々の判断の違いによって仕事のクオリティに差が出る
  • ルールが決まっていないために一定の人にしわ寄せがいき、不公平感が生まれる
  • 上司の管理(指示)が常に必要

基本的に上記の理想のイメージの逆になりますね。このように現代の仕事上においては弊害だらけなんです。

属人化する事でのデメリット

この中で特にデメリットが大きいのが属人化です。属人化によるデメリットは大きく次の2つがあります。

  • 他の人でカバーが出来ない
  • 裏ボス的な感じになってしまう

仕事が属人化してしまうとその人に何かあった時に他の人達によるカバーが出来ません。仕事がその人ありきになってしまいます。そしてこれが進むと陰でパワーを持つようになり、自分の価値観で物事を判断するようになります。これが会社や組織と一致していればいいのですが、大抵はそうにはなりません。なぜなら誰も指摘してくれる人がいないので、全体最適解ではなく、部分(個人)最適解で考えるようになります。一方で管理(会社)側もその人が退職してしまっては業務が回らないので、ある程度状況を容認聞かざるを得ない状況になるのです。

どうでしょうか?あなたの組織にも思い当たる人が1人はいるのではないでしょうか?

アウトプットに差が出る

これも大きな問題です。仕組み化が出来ていないと自己流でやるためにアウトプットに差が出てきます。特に再現性が求められるものほどアウトプットに差が出てはダメです。例えば、車のエンジンを自己流で組み立てる為に、あるエンジンは20万キロでも問題無し、一方であるエンジンは5万キロで壊れたなんて事があると信用問題になってしまいます。これを防ぐためにクオリティチェックをするのですが、これも仕組み化する事で、一定のレベルを保てるようになります。つまり管理コストが下がるのです。

仕組み化をしない原因

なぜ仕組み化しないのか

ではなぜ仕組み化をしないのでしょうか。出来ないような問題が何かあるのでしょうか。これにはいくつか原因が考えられます。代表的なものは次のようなものではないでしょうか?

  • 仕組み化に現場が協力的ではない
  • そもそも上層部に仕組み化という考えがない(望んでいない)
  • 仕組み化するメリットを感じていない
  • やり方が分からない(何をしたらいいか分からない)
  • 時間的余裕が無い
  • 面倒である

こんな感じではないでしょうか。この中で多くありがちなのが、現場が協力的ではないパターンと、時間的余裕が無いの2つじゃないかなと思います。実はこの2つは原因は同じものだったりする事も多いのですが、順番に見ていきましょう。

現場が協力的ではないパターン

まず現場が協力的ではないパターン。これはよく考えれば原因が分かります。なぜ現場が協力的ではないか?それは、

「自分の居場所(存在意義)がなくなる」

というものが根底にあるからです。これは自分で気がついている場合と気がついていない無意識下のケースがあります。仕組み化する事で、今まで自分しが出来なかった業務が誰でも出来るようになる。結果、自分を頼ってくる人がいなくなる。今まで築き上げてきた立場的なものが無くなる。つまり自分の存在意義が無くなってしまうという心理状態があります。人間は承認欲求というものがあるので、対象者、特に長年かけて今のポジションを作ってきた人にとっては業務が標準化する事は絶対に避けなければなりません。そのために反対する訳です。そして反対理由に使い勝手の良い「時間的余裕がない」というのを言ったりするのです。

時間的余裕がない

先述したとおり、仕組み化する事で自分の仕事が無くなると思っているので、時間的余裕が無いと言って実施しない事も多いです。ただそもそも本当に時間が足らない(無い)のであれば、仕組み化こそ何よりも優先度が高いものになります。本来の理由からすると、「時間的余裕が無いから出来ないんじゃなくて、時間的余裕がないから実施する」なんですよね。つまり、この時間が無いという理由はそもそも成り立ってはいないんです。つまりこの理由を言ってくる時点で、自分の立場を守ろうとする意図が見え隠れしている訳ですね。(稀に本当に時間が無い人もいたりしますが、90%はそうじゃないです)

誰でも一定のクオリティが出せるように仕組み化(ルール化)する、これが現状から成長するための第一歩なのです。そしてこの能力を身に付けるのに年齢は関係ありません。今からでもやり方をマスターすれば十分に習得する事は可能です。

仕組み化するためにはどうすればいいか?

仕組み化するための方法

ではどうやったら仕組み化出来るか。これにはいくつかやらなけれないけない項目があります。

  • 業務内容全体の洗い出しとリスト化
  • 個々の業務内容の洗い出し、言語化、ルール化
  • 余計な業務のそぎ落とし
  • チームへの落とし込み

このような事をやっていく必要があります。順番に見ていきましょう。

業務に洗い出しとリスト化

まず何よりも必要なのが、仕組み化させる業務一覧のリスト作成です。このリストが1番重要な点なので漏れがないように作成して下さい。ただ大丈夫、ここで漏れがあっても随時追記すればいいので、まずはリスト化しましょう。ポイントは「取りあえず思いついた事は全て書く」です。「これは書く必要は無いかな」と思っている事が後々仕組み化に大きく影響したりします。なので全て書きましょう。取捨選択はもっと後の段階で実施すればOKです。

業務の言語化

次にその項目に対して行っている内容の言語化です。ここで言語化が出来る業務は基本的に仕組み化する事が出来ます。これは別名マニュアル化と言ったりもしますね。マニュアルとは誰がやっても出来る教本のようなもので属人性はありません。そしてこのマニュアル(言語化)のポイントは誰が見ても分かるような簡単な言葉は表現で作られている事です。難しい横文字、抽象的すぎる表現などは、受取手次第で解釈が変わってきてしまうので、注意して下さい。またここでも「これくらいは当たり前だろう」的な考えは省いて下さい。この当たり前は個々によって違ってきます。なのでどんな小さな事でも言語化が必要になります。

例えば、電話対応は一般的に考えれば新人や若手が担当する事が多いと思います。でも、実際に入社した若手はそういう考えは持っていないかもしれません。そもそも今の若い子は電話じゃなく、SNSで連絡が当たり前なので電話の対応方法などが分からないのです。なので、若手でも取れるように対応マニュアルが必要になったりします。また電話を取るのもルールを決めておけば、誰が取るのか明確になり細かな管理は不要になったりします。

業務の取捨選択

そしてこのリスト化、マニュアル化している最中で必ず「この業務って必要?」と思うものが出てきます。これを無くしていきましょう。作成当時は有効であった業務も、時を経て無意味になり、今現在は惰性で継続しているものも少なくありません。不要なものを惰性でやっている事ほど無駄な事はありません。結果に繋がっているか、今の労力に見合った結果が出ているか、これらを考えて取捨選択していきましょう。

チームへの落とし込み

ここまで出来たら、後はチームへの落とし込みをしていきます。ここで注意点があります。それは、

「人は1回言ったくらいでは理解しない」

という事です。人間は忘れる生き物です。定着して習慣化させるためには何回も反復しなければなりません。1回程度言った(伝えた)くらいでは忘れてしまっています。定着するまで何度も繰り返しアナウンスしましょう。この時、やってはだめなのが、

「前に言ったよね?覚えてないの?」

的な詰め方です。このケースは「マニュアルにも記載してあるので、それも参考にしてみると良いです」のような感じで伝えれば相手側も納得しやすいのではないかと思います。くれぐれも1回言った程度で相手も分かっているとは思わないようにして下さい。

仕組み化のまとめ

まとめ

最後にまとめましょう。仕組み化とは、

「無駄な仕事を削って、必要な業務内容を言語化(マニュアル化)し、現場に落とし込む」

これをやるだけです。ただその中身にはいくつか注意点があるので、該当箇所で確認してみて下さい。これを実行すれば生産性は格段に上がります。特に新人や若手に対しては特に効果的です。なぜならまだこの時期は業務に必要な内容を覚える時期だからです。この内容をマニュアル化出来ればマイクロマネジメントをしなくても良くなります。

仕組み化とは今の業務を部下に丸投げする事ではありません。部下側からするとやる事が明確になる、上司側からすると、管理コストが減りアウトプットに一定のクオリティが伴ってきたりと、双方にメリットがあるものなんです。

是非、仕組み化して自分がいなくても一定の結果が出るようなチームを作って、社内ニートを目指しましょう!