奇形腫（teratoma）

なるほどな、新人育成あるあるや。

これは2パターンあって、本人的には頑張ってはいるけど、端から見たらそうは見えへんっちゅーパターンと、そもそも新人にやる気があらへんパターンや。一応、前者という前提で話していくけど、まず自分に伝えとかなアカン事がある。

それは言葉のパワーについてや。頑張れって言葉は聞こえの良い言葉なんやけど、時として毒にもなんねん。それはどんな時か。

すでに本人が頑張ってる時や。

本人的にはメチャ頑張ってんねん。でも結果が出ーへんねん。それはしゃーない事なんやけど、そんな時に先輩や上司から更に頑張れ！言われたとどうや？

コイツ、アホちちゃうか？って思わへん？

人間っておかしなもんで、自分がやってこれた事をそのまま他人も出来ると思ってしまうねん。でもそんな訳あらへん。1人1人違うねんから。育成は相手のメガネでも見てみる事が重要や。そこを確認してみいや。

奇形腫（teratoma）とは

奇形腫の概要

さて、今日は奇形腫やで。奇形腫って卵巣とかでは良く見るやん？でも頭部にもあんねんで。ちなみに卵巣では脂肪成分の有無が重要や。

もうちょっと詳しく話すと、胚細胞腫瘍のうち、三胚葉成分を含むものを奇形腫と呼んでるんやで。三胚葉成分は内胚葉，中胚葉，外胚葉の3つの事や。内胚葉は、消化器官や呼吸器官を形成して、中胚葉は骨，心筋，赤血球などに。外胚葉は神経や感覚器官を形成していくねん。

奇形腫は全脳腫瘍の1％未満程度やけど、日本人に多くて男子の小児に多いとも言われとるな。胎児期の先天性脳腫瘍の1/3～1/2程度を占めるというデータもあんねん。好発部位は松果体部や鞍上部などや。稀に基底核や脳室内にも発生するで。

分類としては成熟奇形腫と未熟奇形腫があって未熟奇形腫の方が悪性の経過を取る事が多いわ。またやっかいな事に奇形腫だけで存在する事はあまりあらへん。Germinomaなんかが混合している事も多いねん。せやから画像所見も複雑になる事が多いねんな。

一応の定義として、成熟奇形腫は分化した組織から構成されるもの、未熟奇形腫は未分化な組織から構成されるで。

基本は手術で全摘出や。成熟奇形腫は放射線治療や化学療法はあまり効かへんと言われとるな。一方で未熟奇形腫は放射線治療、化学療法は必要やねん。

画像所見

奇形腫の画像所見

次に画像所見についてや。さっきも話したけど、成熟奇形腫と未熟奇形腫があんねん。

成熟奇形腫から話していくと、嚢胞状の病変を形成する事が多い、成熟脂肪組織を有する事が多い、CTでは粗大石灰化や骨形成を時に認めるのが特徴や。他のT1強調やT2強調では構成物によって様々な信号強度があるからパターン化するのは難しいな。dermoid cyst（類皮嚢腫）が診断の手助けになる事があるで。

ちなみに未熟奇形腫もパターン化は難しい事が多いで。未熟奇形腫の特徴は成熟奇形腫よりも充実成分が多い事がある事、成熟奇形腫よりも若年者に多い事、成熟奇形腫と比較して少量の脂肪組織や石灰化を認める事が多い事なんかがあるで。

胎児や新生児において巨大腫瘤を認める事があって、これを「holocranial」と呼んでんねん。これは良悪性に限らず予後不良やと言われとる。

これも纏めるとこんな感じやな。

実際の画像

実査の画像を見ていこか。

次はholocranialの例やな。

• 小児男子
• 松果体や鞍上部に脂肪組織を伴う腫瘤

この2つを認めたら奇形腫を鑑別にあげるべきや。

鑑別診断のポイント

画像診断のポイント

鑑別診断のポイントやけど、これは腫瘍に脂肪成分を含むかどうかや。となると脂肪腫との鑑別が問題になってくるねんけど、脂肪成分以外の充実成分やったり嚢胞があれば脂肪腫を除外出来るで。

奇形腫は他の胚細胞腫の混合パターンが多い事も注意点やな。未熟奇形腫と卵黄嚢腫が混在してるパターンとかあるから、内部構造は不均一だったりするわ。ちなみに混合パターンによってその後の治療法も変わってくる事もあんねん。

石灰化はCTで分かりやすいけども脂肪成分に関してはCT値なんかを測って調べるしかないやろな。でも正確な診断にはMRIは必須やで。

まとめ