なぁ、空気が読めるってどういう事やと思う?
そう言われると難しいですね。場を乱さないとか?
いやな、実はこの間、大学の同窓会があって友達が子供連れてきててん。まだ5歳くらいのちっさい女の子やったかな。
ほんでその子がお菓子欲しい言い出したんよ。
そいつの親に聞いて、あげてもええって事になったから、ならおっちゃんと勝負で勝ったらあげるで!って事で始めてん。
言うてもちっさい女の子やで。ワシも鬼やないから負ける気マンマンやってん。つーか全敗するきマンマンやってん。
ただ、その親が段々キレ出してな。
「何してんねん!ワザと負けすぎやねん!ちょっとくらい勝てや!むしろちょっとやのーて、そこそこ勝てや!子供に人生の厳しさを体験させろやボケ!親側の空気読めや!」
って怒られてもーたんよ。ワシ的には空気読んで負けたつもりやったんやけど、サインを読み違えたらしいわ。
でもその女の子はメッチャ喜んでくれてんで。ホンマ難しいわ・・・。
もくじ
椎骨動脈解離(vertebral artery dissection)とは
椎骨動脈解離の概要
さてワシの経験談はこれくらいにして、空気読んで今日のレクチャー始めるで。
今日は椎骨動脈解離について話そかな。
椎骨動脈解離は読んでその字の通り、椎骨動脈に解離が起きている状態の事や。これぐらいは分かるやろ。
動脈は内側から内膜、中膜、外膜の3層構造をしているのは知ってるよな?この中で内膜に何らかの原因で傷がついて、その間に血液が流入している状態やねん。頭部血管の中で解離する時は椎骨動脈が1番多いねんで。
![脳血管解剖](https://radiologyvillage.com/wp-content/uploads/2023/09/image-146.png)
これの何が問題かと言うと、まず解離してる場所は血管壁が薄くなってんねん。これは小さなキッカケで破れて出血してしまうって事なんや。
つまり脳出血やな。
あとは解離腔が大きいと血管そのものを狭窄してまう事もあんねん。
つまり脳梗塞の状態やな。
しかも椎骨動脈が閉塞するからラクナ梗塞とは訳が違うで。脳の広い範囲が損傷されんねんで。
椎骨動脈解離の原因
原因は外力によるものが多いと言われとる。具体的にはスポーツやったり、マッサージやったり交通事故なんかの外傷やな。
こう見ると急激に首に負担を掛けるものが多いな。
交通事故はまだしも、マッサージを受けに行って解離が起きたとか洒落にならんで。
他には高血圧、Marfan症候群、Ehlers-Danlos症候群、あとは突発性で発症する事もあるで。
臨床症状と治療法
臨床症状
好発年齢は若年~中年の男性に多くて、主な初期症状は頭痛や後頭部痛、めまいなどの神経学的症状を示すで。進行してくると、くも膜下出血や延髄外側症候群(Wallenberg症候群)のような虚血症状を伴う事も多いな。
ちなみに、Wallenberg症候群ってのは後下小脳動脈閉塞による延髄外側部の障害の事や。原因の40%が椎骨動脈解離なんやで。
治療法
治療法は解離の程度によって変わってくるで。軽度やと投薬治療で経過観察をする事もあるし、進行した場合はカテーテルで塞栓術やステント留置をやったりするな。まずは出血や梗塞せんようにする事が第1や。
軽症の場合の1部でリモデリングといって自然と修復される事もあるらしいな。ただ安易な自己判断は危険やから、担当医と相談する事が重要や。
画像所見
椎骨動脈解離の画像所見
解離の診断には、真腔と偽腔、およびintimal flapを同定する事や。Intimal flapは解離した動脈の内側に見える、真腔と偽腔を隔てる隔壁の事やで。
通常はMRIが撮影される事が多いんやけど、MRIでも解離腔が血栓化してないと薄いintimal flapの描出は難しい事があるで。造影MRAの元画が有効な事も多いな。
あとはMRAで椎骨動脈が抽出不良の時にBPASを撮影しておくと、先天性の椎骨動脈低形成なのか、解離や狭窄なのかの判断が出来る事があるんや。
読影医の立場からすると、BPAS撮影しておいて欲しいなと思った時にちゃんと撮影してあると、「コイツ、分かっとるな」って思う訳よ。
照れますね。
いや、自分の事誉めてる訳ちゃうで?
実際の症例
実際の画像や。
40代男性で左後頚部痛の精査や。両側のVAがV2~V3レベルで解離しているのが分かると思うで。
![頸部MRI 椎骨動脈解離](https://radiologyvillage.com/wp-content/uploads/2023/09/image-147.png)
50代男性や。Intimal flapを認めるのと、MRAで狭窄部位を認める箇所にBPASでは認めてへんやろ。MRAの方が実際の血流に近い画像やねん。
つまり血管はあるけど、解離かなんかで血流があらへん部位って事やな。これも解離診断には有効な検査シーケンスやで。
![頭部MRI 椎骨動脈解離](https://radiologyvillage.com/wp-content/uploads/2023/09/image-148.png)
鑑別診断のポイント
椎骨動脈解離が起きる部位
鑑別診断のポイントやけど、別の疾患との鑑別というよりはどのタイプの椎骨動脈かの鑑別が必要やな。
頭蓋内なのか頭蓋外なのか、MRAのMIPで椎骨動脈の抽出不良があったら、先天性の低形成なのか、解離によるものなのか等や。
頭蓋内の解離でくも膜下出血を起こした場合は、24時間以内に再出血を起こす事が多いのは知っておいてもええと思うで。
再出血の頻度は15~70%と幅があるんやけど、これは予後が悪くなるヤツや。
まとめ
今日のまとめや。椎骨動脈解離のポイントは2つや。
主な初期臨床症状は後頚部痛で原因は外力によるものが多い
画像所見上は、intimal flapの同定が重要。
こんな感じや。他には解離の部位によって症状が違ってくるで。頭蓋内の時は出血や虚血、頭蓋外の時は虚血やで。ほんで虚血症状は椎骨動脈の場所がら脳幹や小脳付近に起きるからな。
他の画像所見については壁内の三日月状の血腫、これは脂肪抑制T1で高信号で判別可能や。造影MRA元画も有効やで。低形成との鑑別はBPASなんかがあったで。
ちゃんと覚えたか?概要を言ってみぃや。
椎骨動脈解離は椎骨動脈に解離が起きてる状態の事をいいます!多分、高年齢に多くて、たぶん頭痛がします!
半信半疑の塊やん。ほんであながち間違ってもないという最悪のパターンや。一番記憶に残らへんパターンやで。
よっしゃ!やったぜ!
いや、誉めてへんで。頼むで、ホンマに。
ほな、精進しいやー!