救急 読影/画像所見

腸捻転(volvulus)

今日は腸捻転についてや。

急性腹症で鑑別する疾患の1つですね!

腸捻転(volvulus)とは

腸捻転のポイント

今日は最初にポイントから伝えるで!

  1. 腸捻転は何らかの原因で腸が捻転し、腸閉塞を起こしている状態
  2. S状結腸が最多で腸捻転の中で7割以上(次に横行結腸や盲腸)
  3. coffee bean sign、やleft kidney signなどの特異的な所見

まずこれだけを覚えておけば、基本的に大丈夫や。順に見ていくで!

腸捻転の概要

まずは腸捻転の概要から話していくで。

軸捻転は腸管が何らかの原因で捻れた状態の事やで。

腸管と一緒に動脈や静脈も捻れる事で、腸管が虚血状態になんねん。虚血状態を放っておくと壊死して、最悪の場合は敗血症や腹膜炎にもなる状態やねんで。

結腸は基本的に後腹膜に固定されている箇所も多くて、その部位ではほとんど起こらへん。一方で、S状結腸は後腹膜に固定されてへんから好発部位となってんねん。

腹腔内の脂肪組織の多さが固定に関係しているかもしれんという話しも聞くな。

  • S状結腸捻転が最多で次に盲腸捻転
  • 加齢や長期臥床者、向精神薬治療中、パーキンソン病薬服薬、妊娠、術後の索状物によるものなどが原因になる
  • 軸捻転を来す事で腸管が虚血状態になる
  • 臨床症状は腹部膨満感などで、進行すると腸管壊死にまでなる事があるため早急な治療が必要
腸捻転 好発部位

S状結腸の軸捻転

次にS状結腸軸捻転についてや。以下のような特徴があるで。

  • 結腸捻転のうち最も高頻度に起きる(消化管閉塞の~10%程度、結腸捻転のうち~80%程度)
  • 間膜軸性(S状結腸が捻れるもの)、臓器軸性(臓器によって閉塞機転を作られるもの)があり、間膜軸性の方が多い
  • 間膜軸性は閉塞機転が2箇所のためbeal signやClosed loopを作り、臓器軸性は閉塞機転が1箇所のためから口側が拡張する
  • 捻れる方向は反時計回りが多い
  • 単純写真ではcoffee bean signが特徴的

盲腸の軸捻転

次に頻度が多い盲腸軸捻転の特徴や。合わせて覚えておき。

  • 盲腸固定不全に伴う臓器性軸捻転
  • 結腸捻転のうち~20%程度
  • 他の原因として、総腸間膜症、腸回転異常、腸管膜異常過長、術後の索状物、妊娠、卵巣腫瘍、過食、過運動など
  • 単純写真では盲腸部のコンマ状の大腸ガス像が特徴的
  • 以下のような分類がある
  1. axial type(Ⅰ型) 40% 臓器軸性捻転で盲腸が左右方向に捻転する
  2. loop type(Ⅱ型) 40% Ⅰ型に加えて頭側への反転も加わった状態で虚血は高度
  3. bascule type(Ⅲ型) 20% 左右方向の捻転を伴わず頭側へ折れ曲がった状態で虚血の程度は少ない

臨床症状など

大腸捻転は腸閉塞の原因疾患で10~15%とも言われとって、主な症状は突然の腹痛と膨満感や。吐き気や嘔吐も伴う事もあるで。

この辺りは腸閉塞と同じやな。

結腸軸捻転の治療法

治療法やけど、内視鏡的整復や外科的に整復する事があるで。

上でも話したけど、虚血の状態が長いと腸管壊死になる事もあるから早めの治療が必要やねん。

画像所見

腸捻転の画像所見

続いて画像所見や。S状結腸捻転と盲腸捻転それぞれでXpで特徴的な所見があるで。

S状結腸軸捻転

S状結腸捻転はcoffee bean signや。これは上腹部を頂点に逆U字型の巨大なガス像の事やで。

ただこの所見を示すのは40%程度やとも言われとる。

重要なのは拡張した腸管がどこなのかを判断する事やで。

盲腸軸捻転

盲腸軸捻転やと拡張した小腸ガスが盲腸の右側に認められるleft kidney signがあるな。Xpでも分かるくらいやから、CTの冠状断で見ると一目瞭然やで。

他に共通する所見としては、CTではclosed loop signやbeak sign、whirl signも見える事があるで。これは腸閉塞の時と同様やな。そもそも軸捻転って言ってるけど広義だと腸閉塞の事やからな。

捻転場所特徴的な画像所見共通の画像所見
S状結腸捻転coffee bean signclosed loop sign / beak sign / whirl sign
盲腸捻転left kidney sign同上

実際の症例

20代 男性 腹部膨満感

さて、実際の症例を見ていこか、この例は腹部膨満感精査や。S状結腸の捻転を認めて結腸の拡張を認めるで。Beak signもあって、捻転部位が分かると思う。

腹部CT 腸捻転 Beak sign

参考症例 coffee bean sign

参考までにcoffee bean signや。単純検査で逆Uの字型のガス像を認めるで。この所見を認めたらS状結腸捻転を鑑別に挙げられるようにしとくんやで。

腹部単純写真 coffee bean sign
Case courtesy of Gagandeep Singh, Radiopaedia.org

鑑別診断のポイント

鑑別診断について

鑑別診断のポイントやけど、これは両疾患に特徴的なサインがあるから、そうそうスルーする事は無いと思うねん。

基本的に拡張した腸管を認めたら、

  • どこが拡張しているのか
  • 閉塞機転はどこか(原因は何か)

この2つを確認するんやで。

関連する項目は下記に挙げておくから、合わせて確認しておくようにな。

まとめ

今回は軸捻転による腸閉塞をやったで。ポイントは2つや。

結腸軸捻転は腸閉塞の15%程度を占め、S状結腸が7割以上を占める

S状結腸捻転はcoffee bean sign、盲腸捻転はleft kidney signが特徴的な所見として知られている

こんな感じや。これらは特異的ではあるけれども、この所見が無い=軸捻転じゃないという事にはならへんから注意してーな。

何度も言うけど、拡張した腸管を認めたら、どこが拡張しているのか、原因は何かを見つけるんやで。

この原因によっては、その後の治療法が変わってきたりするからな。

ってな訳で今日は終いにするで。

ほな、精進しいやー!

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