救急56

【臨床症状】50代 男性 左下腹部痛

【問題】画像所見と診断名は?

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    • 左腎(腎杯、腎盂尿管移行部、尿管膀胱移行部の3ヵ所)に結石あり
    • これに伴い腎盂や尿管の拡張を認め、水腎症が疑われる
    • 上記より尿管結石による水腎症の状態と診断できる
    • 他の特記すべき所見として、両腎嚢胞、肝S7に腫瘤(肝血管腫疑い)あり
    • 肝S7病変については、未精査であればMRI等による精査を推奨
    • 尿管結石が好発する部位は、生理的狭窄がある、腎盂尿管移行部、総腸骨動脈交差部、尿管膀胱移行部の3部位がある
    • 本症例は、そのうち腎盂尿管移行部、尿管膀胱移行部に結石を認める症例
    • 胆石と違い、尿管結石ではCT陰性はほとんど無い

    【尿管結石】

    ・腎臓内の遠位尿細管から集合管、乳頭上皮においてシュウ酸カルシウムや尿酸などが尿中で飽和状態となり結晶ができる

    ・この結晶表面にカルシウムなどが付着し大きくなり腎結石となる

    ・尿管結石は、この腎結石が尿管に下降し閉塞した状態のことを指す

    ・尿管が閉塞されると、激しい腹痛と血尿を伴う事が多い

    ・腹痛の原因は、尿管閉塞による腎盂と尿管内圧の上昇により、腎被膜が伸展、腎盂と尿管の痙攣により起こると考えられている

    ・尿管には生理的狭窄部が次の3ヵ所あり、結石の好発部位となっている

    • 腎盂尿管移行部
    • 総腸骨動脈交差部
    • 尿管膀胱移行部

    ・尿管結石の診断に有用な画像所見は次のようなものがある

    • rim sign:結石により尿管壁に浮腫性変化が起こり、リング状の軟部組織陰影を認めること
    • comet sign:尿管結石と静脈石の鑑別に有効な事があり、静脈石で偏在性の軟部組織濃度を認めること

    静脈石は通常、遠位尿管よりも外側、足側に多いことも鑑別点として有効

    尿管結石の治療法は次のようなものがあり、結石径が10mmで治療方針が違ってくる

    • 自然排石/投薬
    • 体外衝撃波粉石術(ESWL)
    • 経尿道的結石粉石術(f-TUL)
    • 経皮的腎、尿管粉石術(PNL)
    • 開腹手術
    参考書籍:知っておきたい泌尿器のCT・MRI 改定第2版

    【水腎症】

    ・水腎症(hydeonephrosis)は尿路閉塞や機能障害にて、腎盂や腎杯が拡張をしている状態の事を指す

    ・尿路に閉塞が起きると、腎盂内圧が上昇し腎盂と腎杯の拡張、腎実質の菲薄化が起きる

    ・水腎症を来す疾患には多くのものがあり、大きく分けて先天性疾患と後天性疾患がある

    • 先天性疾患には、狭窄、尿管瘤、先天性尿道狭窄症、下大静脈後尿管など
    • 後天性疾患には尿路結石や悪性腫瘍、外傷、BPH、妊娠など

    ・主な症状は、背部痛や腎機能低下、発熱などがある

    ・紛らわしい病変に、腎外腎盂、傍腎盂嚢胞などがある

    ・治療法はステント留置など

    参考文献:研修医のための泌尿器救急疾患に対する対応 https://kyoto-urology.com/pdf/2021-10-19/2.pdf

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