整形62

【臨床症状】40代 男性 交通事故

【問題】画像所見と診断名は?

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➡ 横断像(椎間板スライス)
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    ▶答えはこちら
    • L2椎体にT2WIで高信号、T1WIで高信号の病変を認める
    • 信号強度から血管腫と考えられた
    左からT2WI、T1WI、T2-FS
    • またL5の両側に陳旧性の分離所見あり
    • その他、ヘルニアや圧迫骨折等の所見なし
    • 上記より、L5陳旧性分離、L2血管腫と診断された
    左からT1WI、T2-FS、3D-T1(非提示)

    【血管腫】

    ・血管腫(hemangioma)は、血管の異常増殖からなる良性の骨腫瘍で、脊椎腫瘍の中で最も多く見られる

    ・多発する事がある(30%程度)

    ・好発部位は胸椎で、通常は無症状で偶然発見される事が多い

    ・稀に骨折や脊髄圧迫症状をきたす事がある

    ・各種画像所見は次の通り

    1. X-p/CTでは矢状断や冠状断では椎体を縦走する骨梁構造を認める(corduroy cloth appearance)
    2. また横断像では、限局性の骨濃度低下域と、内部の肥大化した骨梁を認める(polka dot appearance)
    3. MRIでは、脂肪間質や血管、浮腫などを反映してT1WI、T2WI共に高信号だが、脂肪成分が少ない場合はT1WIで低信号となる事もある
    参考書籍:エッセンシャル脊椎・脊髄の画像診断

    【腰椎分離症】

    ・関節突起間部に起きた分離のことで、下位腰椎(特に第5腰椎)に好発する

    ・スポーツや部活動をやっている10代に多く、疲労骨折によるものと考えられている

    ・75%で両側に発生する

    ・分離症は病期分類があり、次のように分類される

    • 初期・・・骨折線を認める状態
    • 進行期・・・骨折部の離開を認めるが硬化は認めない状態
    • 終末期・・・完全に分離し硬化を認める状態

    ・分離症が慢性期(終末期)になると、辷り症に移行することも多く、小学生だと80%の確率で辷り症に移行するとも言われている

    ・変性による辷り症は脊柱管狭窄を来すが、分離による辷り症は脊柱管の前後径は増大する

    ・小児における2週間以上の腰痛は分離の可能性が高い

    ・単純写真でのスコッチテリアの首輪サインが有名

    ・CTも有効で骨折線や骨硬化も確認できる

    ・MRIでは骨折そのものの指摘は難しい事があるが、椎体の浮腫性変化がサインになる

    ・保存療法が基本的な治療法で、進行するほど骨癒合の期間の延長や癒合割合が低下していく

    ・日常生活に支障が来す場合は、外科的治療も選択されることがある

    参考文献:骨軟部疾患の画像診断 第2版