【臨床症状】80代 男性 検診精査
【問題】画像所見と診断名は?
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- 膵頭~鉤部にかけて約6cmの多房性嚢胞性病変が確認できる
- また主膵管にも拡張を認める
- 画像上は嚢胞壁に充実部を伴う腫瘤は認めなく、また膵癌の併発も確認できない
- 周囲に炎症所見やリンパ節腫大は認めないが、上記よりまずはIPMNの混合型と考えられる
- しかし嚢胞径が3cm以上である事、主膵管拡張が9mmである事から、悪性を否定する必要があり、診断確定のために他院へ紹介された
- その他の所見として、両腎萎縮、腎嚢胞、肝嚢胞、胸部下行大動脈瘤、左下葉の肺炎疑いなど
【膵管内乳頭粘液性腫瘍】
・膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm:IPMN)は、「粘液産生能を有し、乳頭状増殖を特徴とする上皮より構成される膵管内腫瘍」と定義されている
・高齢男性の膵頭部に好発する
・粘液が増殖する場所によって次の3つに分類され、頻度としては分枝型が多い
- 主膵管型(主膵管が全長にわたって拡張する)
- 分枝型(膵頭部に多く、ブドウの房状に見える多数の嚢胞として確認できる)
- 混合型
・主膵管型(混合型)は分枝型よりも悪性の可能性が高く、原則手術対象になる
・癌化したものを乳管内乳頭粘液腺癌(intraductal papillary mucinous carcinoma:IPMC)と呼ばれる
・一般的には、小さな分子型のIPMNで自覚症状が無い場合は、浸潤癌の頻度はかなり低いと考えられるが、約10%に膵癌が合併することがあるので注意する
・IPMNの悪性化の指標には次のようなものがある
high-risk stigmata(悪性を強く示す所見)
- 閉塞性黄疸を伴う膵頭部嚢胞性病変
- 造影される5mm≧の壁在結節
- 主膵管径≧10mm
worrisome feature(悪性の疑いを示す所見)
参考書籍:肝胆膵の画像診断 -CT・MRIを中心に-
- 膵炎症状
- 嚢胞径≧30mm
- 肥厚し造影される<5mmの壁在結節
- 造営される壁肥厚
- 主膵管径5~9mm
- 尾側に閉塞性膵炎を伴う主膵管狭窄
- リンパ節腫大
- CA19-9高値
- 2年間で5mm以上の嚢胞径の増大
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