メリットの法則 行動分析学・実践編

【概要】

  • 著者:奥田 健次
  • 発売日:2012年11月
  • ページ数:224ページ

本の目次

第1章 その行動をするのはなぜ?
第2章 行動に影響を与えるメカニズム(基本形)
第3章 行動がエスカレートしたり、叱られても直らないのはなぜ?
第4章 行動に影響を与えるメカニズム(応用形)
第5章 行動は見た目よりも機能が大事
第6章 日常のありふれた行動も

【結論(1番の訴求ポイント)】

行動の結果、何を得るか?

本書は人間が行動する理由を行動分析学を使って解説している。

行動分析学についてwikiで見てみると、


行動分析学とは字義通り人間または動物などの行動を分析する学問である。行動は、生物ができるすべての行動を対象とする。具体的には、独立変数(環境)を操作することで従属変数(行動)がどの程度変化したかを記述することによって、行動の「原理」や「法則」を導き出す。
行動分析学の基本的な「原理」は、レスポンデント条件づけとオペラント条件づけの二つにある。

とある。

なるほど、意味不明である。なんとなくは分かるが、ほとんど分からない。これで分かる人は、この後の文章を読むよりはwikiを読んだ方が余程ためになるので、そっ閉じしてもらいたい。

自分なりに行動分析学を簡単にかみ砕くと、行動の原因を心ではなく、行動随伴性で考える事である。

なお行動随伴性とは、行動と直前・直後の3つがセットらしい。行動によって直前の状態と直後の状態にどんな変化があったのか、つまり行動の結果として何を得るかを考える事が重要との事。

結局はこの行動の結果でメリットが大きいか/小さいかで判断しているので、この行動随伴性を考える事が必要らしい。

そしてこれを明らかにしていく事で、時によっては人の行動を変えたりする。

これは健常人だけでなく、何らかの発達障害を持つ人にも有効だったそうな。

つまりやっている事は単純なのであろう。(もちろんその裏には緻密な計算が立てられていると思うが)

何やら楽しみな内容だが、次からもうちょっと詳しく見ていこう。

【ポイント】

基本随伴性

上記で行動分析学は行動前後で何が変わるかを考えると書いた。

ここで重要なワードが出てくる。好子と嫌子、出現と消失の4ワードだ。基本的にこれらがどうなるのがでほとんどの行動に説明がつくらしい。

このままだと何やら分かりずらいので、馴染のある言葉に変えてみよう。

好子はメリット、嫌子はデメリットだ。

メリットがある(出現する)と行動する、デメリットがある(出現する)と行動しなくなる。

メリットがなくなる(消失する)と行動しなくなる、デメリットがなくなる(消失する)と行動する。

こう考えると分かりやすいだろう。これが基本随伴性の基礎的な考え方になる。つまりメリット、デメリットを天秤にかけて行動しているという事である。そしてこれにはいくつか注意点がある。

1、メリットとデメリットは人によって違う

同じ事柄でもある人はメリットに、別の人にはデメリットになったりする。

例えば休暇。ある人にとっては自分の好きな事が出来るので大きなメリットになるが、別の人には休みになる事で家族サービスしなければならないというデメリットが出てきてしまうかもしれない。家族サービスするには色々と考えたりしなければならないだろう。人混みもすごいかもしれない。こう考えると休みだけど休みじゃない。このような人は休みは最低限でいいですと言うかもしれないのだ。

2、行動分析学を使って行動を効率的に変えるには即効性が重要。

行動しても、それから得られるメリット/デメリットが先になると行動が変わらない。例えばダイエット。ダイエットは急激に体重が減らない。つまりすぐ結果が見えないのだ。通常は有酸素運動や食事制限をして、段々と減っていき、時には停滞期も経て理想体重になっていく。日単位で見ると大きく変わる事は無い。モチベーションも維持しずらく、失敗しやすい要素が揃ってしまっている。本書では、行動が起きてから即時に変化が感じられるのが良いとしている。目安は60秒以内らしい。

3、嫌子を利用した弱化には副作用が伴う事がある。

嫌子(デメリット、このケースは罰とも言い換えられる事ができる)を使っての弱化は、その嫌子が無くなると元に戻ってしまう。宿題しなさいと怒っている母親がいる時は、宿題をする(したふり)が、いなくなった途端にゲームを再開するのと一緒だ。本書では原則的に嫌子を利用して弱化は使わない方がいいと言っている。

消去抵抗と消去バースト

好子出現の強化などにより行動が変化したとする。しかしずっと続ける訳にもいかないケースも多いだろう、

一般的に、一定期間続けるとこの強化が無くなってもすぐに行動が無くなる訳ではない。

これを消去抵抗といい、簡単に言うと、行動が消えにくい度合いとされている。

特に毎回ではなく、ランダムに好子強化の出現が起きると、消去抵抗が強くなる事が分かっているらしい。

競馬、競輪、パチンコなどのギャンブルが、これにモロに該当する。毎回外れているとつまらなくなり、次第に足が遠のく。しかしたまに当たって少しでも設けてしまうと再度やってしまう。何もギャンブルだけじゃない。クレーンゲームなんかもそうだろう。

自分で書いてて思い当たる節がいくつも出てくる。これがなかなかやめられない原因の一つだ。

これは行動とメリットが結びついていた期間が長ければ長いほど消去抵抗が強くなるらしい。つまりギャンブル依存症は中々治らないという事なのかもしれない。

また同じような言葉で、消去バーストというのがある。

これはある行動が無くなっていく初期段階で逆に行動が増える現象である。

今までは行動する事でメリットがあった。しかしそれが無くなった。この状況に混乱が生じる。そしてその穴埋め(自分への納得のために)今まで以上に過剰に行動してしまう事だ。

昔の同僚でこんなヤツがいた。

他業種(看護師)のある人を好きになった。その人とは飲み会で一度話した程度なので、相手は覚えているかどうかも分からない程度。連絡先も交換し損ねたらしい。ただ病棟看護師だったので、ポータブルで検査に行く時に見かける事が多かった。

そんなある日、その技師は配置替えでポータブルの担当外になってしまったらしい。それで、そいつはどんな事をしたか?

用事があるふりをして何かと病棟に行っていたらしいのだ。何とかして会おうとしていたのだろう。

実はそれと同時期に、その看護師が転職していて、永遠に会う事は無くなってしまっていたのだが。

その事実が分かるまで、その技師は頻繁に病棟に行っていた。

これが消去バーストである。

他にも回復の原理、阻止の随伴性などの項目が記載されている。興味が湧いた人は是非とも読んでもらいたい。ただ阻止の随伴性など日頃、使わない言葉が多く出てくるので、とっつきにくい面はあるのは否定できない。しかし阻止の随伴性を理解できると、なぜルールがあるのかというのが根っこから分かるようになる。

是非ともチャレンジしてもらいたい。

行動で得られる4つの機能

行動する事で得られる4つの機能がある。それはモノや活動、注目、逃避/回避、感覚の4つだ。

対象の行動がこれら機能のどれに該当するのかを見極める必要がある。厄介なのが単一ではなく複合的になっている場合もあるという事だ。

例えばだが、、、、

よく休む技師がいたとする。病気のためという事なので、当初は皆心配していた。

しかし何度もこれが続くようになり段々と疑問に思い始めてきた。よく調べてみると休んでゲームをしているのがSNSにアップされている。

表面上は体調不良によるものという事だが、毎回ゲームのイベント日に重なっている。これは確定的だと皆が確信し、もはや病欠だとは誰も信じなくなってしまった。

なお、当日休みはシフト配置にも影響が出るので、日頃から体調管理はしっかりと行っておくように、もしくは事前に休み申請しておくよう再三注意しているが改善する気配は一考に無いのは言うまでもない。

有休という国で認められた制度を使っているので、現場も表立って文句は言えなかったりする。。。

こんなケースだ。

この場青、休むという行動には面倒な仕事を回避するという機能がある一方で、自由時間が得られる(ゲームが出来る)という活動の機能も含まれている。言ってみればズル休み(有休を使っているので、ルール上は問題無いが)という背徳感(感覚)もあるかもしれない。

つまりこの辺りを対策していかないと改善しないのだ。

業務上でもゲーム的な要素を取り入れて、ワクワクさせるような感じにしてもいいだろう。もしくは皆勤賞のようなものを作ってもいいかもしれない。その皆勤賞の副賞でゲームに課金してみては?と言ってみるのも一つの手だろう。

先入観を持って対応してしまうと、思いがけない地雷を踏んでしまう事もあるので注意されたい。

【個人的補足】

任意の努力を見つけて伸ばしていく

上記で嫌子を利用した行動変化は長続きしないと記載した。これは専門的に言うと、回復の原理というらしいが、まぁ言葉自体は忘れても構わないと思う。

重要なのは、嫌子ではなく好子出現の強化で変化させる事だ。

好子出現の強化の状態とはどんな状態か?言葉で書くと分かりずらいが、簡単に言うと、「やりたいからやっている状態」だ。誰でも身に覚えがあるだろうが、この状態は無敵モードだ。何せモチベーションの低下が無い。

その人の好子は何か、それが出現させ強化するにはどうしたらいいか?

ここを目指そう。

行動分析学は原因と結果を真逆に考える事、つまりその行動の結果で何が変わったかを考える事だ。こうなりたいから、行動を選択している。
行動を選択した結果、こうなったではない。

この辺りはアドラー心理学に通じるものがあるかもしれない。

少なくとも自分にはそう感じた。

興味があれば、そちら(嫌われる勇気が代表的な著書)も読んでみるといいだろう。

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