もくじ
【概要】
- 著者:バルファキス・ヤニス、訳)関 美和
- 発売日:2019年3月
- ページ数:248ページ
本の目次
プロローグ 経済学の解説書とは正反対の経済の本第1章 なぜ、こんなに「格差」があるのか? 答えは1万年以上前にさかのぼる
第2章 市場社会の誕生―いくらで売れるか、それがすべて
第3章 「利益」と「借金」のウエディングマーチ すべての富が借金から生まれる世界
第4章 「金融」の黒魔術―こうしてお金は生まれては消える
第5章 世にも奇妙な「労働力」と「マネー」の世界 悪魔が潜むふたつの市場
第6章 恐るべき「機械」の呪い 自動化するほど苦しくなる矛盾
第7章 誰にも管理されない「新しいお金」 収容所のタバコとビットコインのファンタジー
第8章 人は地球の「ウイルス」か? 宿主を破壊する市場のシステム
エピローグ 進む方向を見つける「思考実験」
【結論(1番の訴求ポイント)】
全ては余剰から生まれた
経済って何だろう?ニュースでは毎日経済の事を流している。
なんとなくは分かるけど、でも全然分からないと言えばそんな気もする。実査に経済って何?って聞かれると、答えに困る。
そんなあなた、心配しないでください。
私もです。
本書では経済について難しい言葉を出来るだけ使わずに、過去の歴史も踏まえて解説している。ストーリー仕立てになっていて非常に読みやすくもなっているので、経済に疎い人でもすんなり入れるだろう。実際、自分も本書を読んで多少経済について知れたような気がしている。もちろん気のせいである可能性も少なくないが。
本書における経済とは、「余剰によって生まれる債務と通貨と信用、国家の複雑な関係について語る事」としてある。
簡単に言うと、余剰が全ての始まりという事だ。では余剰とはなんなのか、それをまとめていく。
【ポイント】
余剰とは
太古の昔、人は動物を狩って生活していた。腹が減れば狩りをする。言ってみればその日暮らしだった。一人で狩りをするにも限界がある。獲物が取れる日と取れない日があった。
しかしある日、複数人で狩りをすると獲物が取れる可能性が高くなるのが分かった。そこから人々は集まりだし、集団ができ、生活を共にして、色々な役割分担が出来た。
食料が取れるようになると次第に人口が増えていく。しかし人が多くなと食料も多く必要になる。食べていかなければ死んでしまう。
自分が生きていけるかどうかは優秀なハンターがいるかどうがにかかっていた。なので優秀なハンターがいる集団には多くの人が集まる。人が集まるとその中でリーダー的な役割の人も出てきて、そして国というものが出来る事になる。
しかし動物は有限だ。狩りをすると次第に数が減っていく。上手く獲物が取れても、そのままだと腐ってしまうので長期の保存はできない。
ではどうするか?人々は悩んだ。
そんな時に農耕という革命が起きた。
農耕によって人々は食料を長期で保存できるようになった。保存できるという事はどういう事か。それは余剰が生まれるという事である。余剰が生まれると物々交換する事が出来るようになる。例えば、米と肉という感じに。
ここに市場が生まれる。市場とは売り手と買い手が集まる場所だ。市場が大きくなればなるほど、経済は活発になる。
ここで冒頭の経済の定義を見直してみよう。
「余剰によって生まれる債務と通貨と信用、国家の複雑な関係について語る事」
なんとなく言っている意味が分かってきたのではないだろうか?余剰が生まれると、それを守る必要が出てくる。誰かが奪いに来るとも限らないからだ。そのためには武装集団が必要になる。後の軍隊だ。
ここからなぜヨーロッパがアフリカやオーストラリアを植民地にしていくのが可能だったのかも説明できるのだが、それは本書を読んでもらいたい。
交換価値と経験価値
価値には2つの価値がある。交換価値と経験価値だ。
交換価値は、物々交換などある物に対しての対価、またはそれと同等の価値のものを交換できる事だが、経験価値は自分の経験に重きを置いている。
交換価値がある所には市場が出来る。市場ができると市場価値が生まれる。そして市場社会が出来る。これはある程度見える化ができる。今でいうなら、自分が転職をしようとした時に企業がどれくらいの待遇を出すのかがそれにあたるだろう。
一方で経験価値は金額や物で価値を測れないものだ。子育てをしていて子供が成長する喜びや、旅行する事で異文化に触れて感動したりする経験などだ。経験価値には見返りを求めない面がある。他人から頼まれると一肌脱ぐ人もいるだろう。もちろん無償で。
これらの人はこの経験価値を得たいがためにやっていたりする。この人に頼みごとをしてお礼にお金を渡そうものなら、印象が悪くなる事さえある。
このように価値にはお金で対価できる交換価値と、お金で代替えできない価値がある。
現代は全てのものに価値が付くと思われている。簡単に言うとお金で買えないものは無いと思っているようなものだ。実際はそんな事はないのだが、事実として経験価値よりは交換価値の方が大きなウェイトを占めている。つまり交換価値が経験価値を打ち負かしているとも言える。
その結果、市場価値が高いものを重要視するようになった。つまり資本主義の誕生である。
本来はお金は、それで価値のあるものを買う事が目的であったが、お金を溜める事が目的になった。つまり手段から目的に変化したのだ。
では資本主義で重要な、お金について事項でまとめていく。
信頼が通貨を通過たらしめる
1万円の原価はいくらか知っているだろうか?
答えは約20円だ。不思議に思わないだろうか?20円で作られたものが、その何十倍の価値を持つ事に。
原価通りの20円だと現代では、ほとんど何も買えない。ただこの20円で作られた1万円なら、ある程度のものを買う事が出来る。
この差はなんだろうか?この裏には何があるのだろうか?
それは信頼である。
日本円は日本という国がお墨付きを与えて初めて価値が生まれれる。子供銀行だと信頼が無いので価値を生まない。よって子供銀行のお札では何も買えない。アメリカドルならアメリカのお墨付きが、ユーロならユーロ圏のお墨付きが付いている。それ故、価値を持つのだ。
ではこの信頼が無くなったらどうなるのか?
その答えはすでにアルゼンチンが出している。この例を見てみよう。
アルゼンチンは、過去に何度もデフォルトを起こしている。デフォルトとは国家債務不履行とも言うが、簡単に言うと借りたお金が返せなくなる事だ。
借りたお金が返せない、つまり国の信頼がガタ落ちになる。そうなるとアルゼンチンがお墨付きを与えている自国通貨(ペソ)も信頼が無くなる。ペソの信頼が無いので、誰もペソで交換をしうようとはしなくなる。
ペソで何かを買おうとしても、信頼が無いので多くのペソが必要になる。アメリカドルなら5ドルで買えたものも、ペソなら1万ペソが必要になるかもしれない。
この構図、どこかで見た事はないだろうか?
そう為替だ。為替は国の信頼の差を表しているのだ。
ドルに対して円安になる。これは円の信頼が下がったという事だ。何気なく聞いているニュースで円安という言葉が出てきたら、これを思い出してみよう。少しは世の中の流れが分かるかもしれない。
【個人的補足】
最後に
本書で重要な事は下記を常に考える事だと言っている。
これを記載して最後にしたい。
「自分の身の回りで、そしてはるか遠い世界で誰が誰に何をしているのか?」