もくじ
【概要】
- 著者:井出 正和
- 発売日:2022年12月
- ページ数:208ページ
本の目次
序章 発達障害の人とその周囲の人は、どんなことで困っているのか第1章 そもそも発達障害とは
第2章 最新研究でわかった発達障害の人が見ている世界
第3章 発達障害の人の苦しみを知る
第4章 発達障害の人と共によりよく暮らすには
終章 発達障害者が活躍できる社会に
【結論(1番の訴求ポイント)】
誰一人として同じ人間はいない
発達障害とは、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如/多動症(ADHD)、限局性学習症(LD)の3つを含む、総合的な概念の事である。
本書では主にASDの人がどう感じているのかについて記載されている。
ASDとは、社会性とコミュニケーションの問題と、反復する行動/興味の限局が主要な障害特性を持つケースの事を指す。それ故、日常生活や社会生活に支障を来すケースも少なくない。
発達障害と言っても程度がある。症状が軽ければ個性の範囲として捉えられる事もあるだろう。また個々によって症状が全く違ったりする。そういった意味では一元的な対応が難しい面もある。
自分と皆は何がが違う。
発達障害と言われる人には、こう思える時期や時があるという。そんな彼ら彼女らがどんな風に世界を見て感じているのかを少しでも知ってみる事をお勧めする。
【ポイント】
感覚過敏と感覚鈍麻
ASDは感覚に関する問題を抱えているケースが多い事が明らかになりつつあって、具体的には感覚過敏と感覚鈍麻と言われるものだ。
読んで文字の通り、敏感になるケース(例えば少しの気圧の変化でも体調不良を起こしたりする)や、逆に痛みに対して鈍感なため気が付くと骨折していたりするケースなどが該当する。
これが原因で、生きずらさを抱えているケースも少なくない。
例えば、学校指定の体操着が合わなく着ているとむずむずしてしまう。粘土の感覚がどうも苦手で、触っていると気持ち悪くなる、などだ。
一見すると本人の気持ちの問題と捉えられてしまうケースもあるだろう。しかし当の本人からすると、気持ちで解決できる次元を超えていたりもする。なのに先生や親からは我儘と捉えられてしまう。その葛藤に苦しむ。
発達障害には聴覚障害を持つケースは多いのは知られているが、実は感覚障害を持つケースも多い。
その事を知っておかないと、単なる我儘に見えてしまう事があるので注意が必要だ。
木を見て森を見ず
ASDの人には、ある特定の分野で大きな能力を発揮しているケースも少なくない。
一目見ただけで細部まで記憶できたりするし、絶対音感を持っている人もそうかもしれない。
しかし特定の分野で能力を発揮する一方で、マルチタスクのような事は苦手なケースも多い。これが時に友達とのミスコミュニケーションに繋がる事もある。
これはリミッターをかけずに情報を処理している結果、様々な問題が発生しているためと考えられている。つまり興味がある事のみに集中してしまうのだ。それゆえ他の事にまで気が回らない。
複数人での友達との会話はマルチタスクのオンパレードだ。誰かが話した内容が次の人が膨らませる。特に問題ない人なら話の流れという形で理解できるが、ASDの人は一つの事を理解するのに集中してしまう傾向がある。結果として会話の流れに追いつかない。
これがコミュニケーションが困難になる原因にもなるらしい。
本書では、これを木を見て森を見ずと表現している。つまり局所的な処理は得意中の得意だが総合的な処理は苦手という事だ。ASDの人は何かに集中する傾向があるという事を覚えておこう。
エゴセントリック
エゴセントリックとは、自分中心で世界を捉えるものの見方の事である。
ASDの人にはこの傾向が強いという。ASDの人の中には1対1なら全く問題無くコミュニケーションが取れる人もいる。しかし複数人となると途端に理解が追い付かなくなってしまう。
これは全てにおいて自分と相手という関係性で見るからだ。会話では自分とだけでなく、相手同士の関係性もある。自分と相手、相手同士、これらの関係性が重なりあって会話というコミュニケーションが取られる。
しかしASDは自分と相手との関係性に集中してしまう。別の人が話し出すとまた自分との関係性を確認する必要がある。会話はいちいち止まってはくれない。とめどなく流れている。結果として反応に遅れたり、何を話しているのか分からなくなったり、距離感をミスってしまうのだ。
そういった意味だと、変化や変更を嫌う事が多いのも納得できる。特に大学生になった時、社会人になった時のような、周囲との完成性を一から構築する必要が出てきた時に気がつくケースも少なくないらしい。
本書ではこれらのケースに該当するケーススタディが掲載してある。それを読んで解説を見る事で、おおよそのイメージは掴めるだろう。
【個人的補足】
普段の生活で出来ること
このようにASDを始めとする発達障害の人達は生きずらさを抱えている人が多い。
そんな中で何ができるのか?本書では次の3つを提唱している。
- 感覚の問題を抱えている事を知る事
- 先入観を持たず、じっくりと観察する事(何かしらのサインである事がある)
- 行動の背景に思いをはせる事
これらを持つ事で共存できる一歩になるのではないだろうか。