MRIの基礎 ~脂肪抑制とは~
MRI編第2回目、今回は脂肪抑制についてです。
脂肪抑制とは
さて、今回は脂肪抑制について話していきます。
脂肪抑制画像は、T1強調画像、T2強調画像と一緒にルーチンで撮影している施設も多いと思います。この脂肪抑制画像ですが、読んで字のごとくT1画像やT2画像の脂肪成分を抑制した(落とした)画像です。
画像を見ていると、脂肪が邪魔な事ってよくあるんですよね。
実は皆さん同じ事を考えていたようで、何とかならんもんかなぁと思っていた所に、MRIの天才が現れて脂肪を抑制した画像を作ってくれました。これにより診断の精度が格段に上がったのは言うまでもありません。
新鮮な圧迫骨折なんかは、秒で分かるようになりました。サンキュー天才!
そんな便利な脂肪抑制画像ですが、いくつか種類があります。
各々に脂肪抑制の特徴があるので、画像を読む際に知っておくといいですよ!
脂肪抑制の方法
一言で脂肪抑制と言っても、いくつか方法があるのは前述した通りです。
ここでは代表的なものを記載するので、簡単にでも覚えておきましょう。シーケンス名は知っていても、どんな方法で脂肪抑制しているかまで知っている人は実は少ないのかなと思います。(あくまで僕の体感ですが・・・)
なので、これらを知っててスラスラ言えると、後輩から羨望の眼差しで見られるかもしれませんよ。
1、選択的脂肪抑制
→水と脂肪の周波数の差を利用した方法、CHESSやSPIRなど
2、非選択的脂肪抑制
→水と脂肪の緩和時間の差を利用した方法、STIRなど
3、水と脂肪信号相殺法
→水と脂肪の位相差を利用した方法、Dixon、IDEALなど
では各々を確認していきましょう。
選択的脂肪抑制
選択的脂肪抑制とは、水と脂肪の共鳴周波数の差が3.5ppmである事を利用したものです。
励起パルスの前に脂肪抑制(脂肪の共鳴周波数)パルスを打つ事で脂肪を抑制します。簡単に言うと、脂肪成分を消してから信号収集する方法。
弱点として、静磁場の不均一に弱く抑制ムラが出る事があります。
この抑制ムラが結構厄介だったりします。
非選択的脂肪抑制方法
次に非選択式脂肪抑制方法です。選択式脂肪抑制法は、共鳴周波数の差を利用していますが、非選択式脂肪抑制は緩和時間を利用しています。
最初に180度の反転パルスを打ち、脂肪成分がnull pointになってから信号収集する方法です。
CHESS法などの選択式と比較して静磁場不均一に強い事が特徴ですが、理論上、脂肪と同程度のT1値を持つ組織も抑制されてしまいます。(脂肪特異度は低い)
なので、造影後の画像に使う事はほとんどありません。(造影後にT1値が脂肪と同じ信号強度になると抑制されてしまうためです)
位相差
位相差から脂肪抑制画像を作る方法は、次のように作られています。
水と脂肪の共鳴周波数にズレがあるのは選択式の時に話した通りですが、このズレを利用して水画像と脂肪画像を作成します。
そして超簡単に言うと、これらの画像を足したり引いたり、割ったりする事で脂肪抑制画像を作ります。
特徴として、静磁場の不均一に強いという特徴がありますが、撮影時間が長くなります。
※もうちょっと詳しく話すと・・・
位相の差を利用してin-phase、out-phaseの画像を作成。
1.5テスラでは、約4.6msecの周期の差があり、in-phaseは水と脂肪が同位相(TE=0もしくは4.6)の時の画像、out-phaseは水と脂肪が逆位相(TE=2.3)の時の画像になる。
in-phaseとout-phaseを足して2で割ったものがwater画像(≒脂肪抑制画像)になり、in-phaseからout-phaseを引いた画像を2で割ったものが脂肪画像となる。
2つのTEで取得した画像からwater画像、fat画像を作成するのが2point Dixon、3つのTEで取得した画像を元に作成する方法を3point Dixonと呼ぶ。
まぁ、最初のうちは覚えなくて大丈夫です。(認定を取る時に覚えれば・・・)
まとめ
簡単にでもこの辺りを知っておくと実際の検査の時に役に立ちます。
あれっ?脂肪抑制のムラが出てる。読影依頼するにはちょっと微妙かも。SNRは低くなるけどSTIRでやるか。
みたいな判断も出来るようになります。
画像を読む際の注意点としては、STIRは脂肪特異度が低く、同じようなT1値を持つ組織は抑制されてしまう事がある点でしょうかね。
脂肪抑制画像はどの部位でも必ずと言っていいほど撮影されるものです。
実は脂肪を抑制する技術には色んなものがあるんだよっていう事を知っておいてもらうだけでも全然違いますよ!
ではまた次回!