読影の流れ その7

MRIの基礎 ~拡散強調とは~

今回は拡散強調についてです。

拡散現象とは

さぁやってきましたね、拡散強調。この拡散強調という撮影法が出てから、脳梗塞の診断がどんなに楽になった事か。CT画像を前にEarly CT signやASPECTSスコアを必死になって見ていた時代が懐かしい・・・

と昔話はこの辺にして、まずは拡散現象がどういうものなのかから話していきましょう。

拡散現象とは、よく水の中にインクを垂らして広がっていく様子という例えがされます。見ての通り1滴のインクが水の中で拡散していくのが分かります。簡単に言うと、散らばっていくようなイメージですね。

体内で言うと、水分子が自由に広がっていくと思ってください。

拡散強調とは

MRIではこの水の動きを画像化する事ができます。

通常、水分子は水の中で自由に、そしてランダムに動いています。(これをブラウン運動とも言ったりしますが、最初は覚えなくてもいいです)

ここに何らかの原因で腫瘍や膿瘍などが出来ると、水分がゼリー状の粘液になったり病変によって水分子の動きが制限されます。(自由に動けなくなるイメージです)

動きが制限される=拡散しにくくなる=拡散低下 となり、この動き(拡散度合)を画像化したのが拡散強調となります。

一般的に拡散制限があると、高信号として描出されます。

拡散強調画像の特徴

拡散強調画像が得意なものは次の3つです。

  • 細胞性浮腫(急性期脳梗塞など)
  • 粘液度が高い病変(膿瘍など)
  • 細胞密度が高い腫瘍(悪性リンパ腫など)

ブラウン運動という言葉は忘れてもいい(本当はダメ)ですが、これらはとても重要なので必ず覚えておきましょう!

画像を見る時に必ずと言っていいほど、必要な知識になります。

b値とADCマップ

拡散強調には重要な項目があります。それがb値とADC。

文字だけみると何やら難しそうな印象ですが、最初はポイントだけを抑えておけば十分です。

まずb値ですが、これは値が大きいほど拡散が強調された画像になります。

加えて通常はb値が違う2つの画像を撮影します。普通はb値が0と1000程度の事が多いですね。診断で使うのはb値が大きい方の画像がほとんどです。

なぜ2種類の画像を作成するかというと、後ほどADCという数値を計算しそれをマップした画像を作成するためです。

次にADCについてですが、これは見かけの拡散係数とも言います。

このADCは、b値が異なる2つの拡散強調画像から計算され、ADCが低い(低信号)ほど拡散が制限されている事を示しています。画像上は黒く(低信号)になります。

b値が1つだけだと計算できないので注意が必要です。

T2-shine-through

ではなぜADCを作る必要があるのか?

それは拡散強調画像で高信号でも、それがアーチファクトのケースがあるからです。

その名は、T2-shine-through(超有名)

基本的に拡散強調画像はT2画像をベースに撮像されてます。そのためT2画像上で高信号なものがあると、それに引きずられて拡散強調でも高信号になる事があるのです。

脳梗塞のように本当に拡散制限が起きていれば問題ありませんが、アーチファクトの場合、余計な追加検査をしてしまう可能性があります。出来ればこれは避けたい。なのでアーチファクトかどうかを見極めるのにADCを使います。

本当に拡散制限が起きていれば、拡散強調は高信号、ADCは低信号になりますが、T2-shine-throughでは拡散強調は高信号ですが、ADCは等信号で変化ありません。つまり拡散強調画像とADC画像はワンセットで見なければダメという事ですね。

拡散強調画像は、特定の病変に対しては超有効な検査です。

ただし、T2-shine-throughのような事も知っておく必要があります。

技師:拡散強調画像で高信号だ。ヤバい、早く放射線科医に知らせなきゃ!先生!画像確認お願いします!

医師:ん?これT2-shine-throughやで?

技師:・・・・

みたいな事になると、超恥ずかしいので是非覚えておきましょう。

ではまた次回!

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